基本情報技術者 学習ページ|科目A・システム開発技術

統合テストと検証

ソフトウェアを組み合わせた後は、モジュール間の連携や要件への適合を確かめます。統合順序、テストの種類、ファジング、トレーサビリティを整理します。

トップダウンテスト

トップダウンテストは、上位モジュールから下位モジュールへ向かって順に結合しながら確認する統合テストです。上位の制御や主要な処理の流れを早い段階から確認しやすい特徴があります。

まだ完成していない下位モジュールの代わりにはスタブを置き、上位からの呼出しに仮の応答を返します。トップダウンでは未完成の下位側をスタブで代用すると覚えると、ドライバとの取り違えを防げます。

トップダウンは下位未完成部分をスタブで代用する。

ボトムアップテスト

ボトムアップテストは、下位モジュールから上位モジュールへ向かって結合範囲を広げる統合テストです。下位の共通処理などを先に組み合わせて確認し、その後に上位モジュールを追加します。

まだ完成していない上位モジュールからの呼出しを代行するためにドライバを用います。ドライバはテスト対象の下位モジュールへ入力を渡し、結果を受け取る役割を持つため、スタブとは置き換える方向が逆です。

ボトムアップは上位未完成部分をドライバで代用する。

テスト目的を区別

機能テストは要求された機能が仕様どおり動くかを確認します。性能テストは応答時間や処理量などの性能を、負荷テストは想定する負荷や高い負荷を与えたときの動作を確認します。

セキュリティテストは脆弱性や不正利用への耐性などを確認します。変更後に既存機能へ悪影響が出ていないかを確かめる回帰テストは、修正した機能だけを再確認するテストとは目的が異なります。

機能・性能・負荷・セキュリティ・回帰で目的を分ける。

ファジングで異常入力

ファジングは、対象ソフトウェアへ不正形式、境界付近、予期しにくい値など多数の入力を与え、クラッシュや異常動作、脆弱性につながる欠陥を探すテスト手法です。入力を機械的に生成・変形して繰り返せる点が特徴です。

ファジングは仕様に書かれた正常系の機能確認だけを目的とするものではありません。想定外の入力に対する挙動を観察することで、通常のテストケースでは見つけにくい問題を発見します。

ファジングは多様な異常入力で欠陥を探す。

双方向に追跡する

双方向のトレーサビリティは、要求事項から設計・実装・テストへたどれるだけでなく、テスト結果や成果物から対応する要求事項へも逆向きにたどれる状態です。要求の検証漏れや、根拠のない実装・テストを見つける助けになります。

統合テストや検証テストの結果は、予定した要件や受入基準と照らして評価します。要求からテスト、テストから要求の両方向を確認することが、単方向の対応表との違いです。

要求とテストを両方向にたどれる状態を保つ。

本番の形で解いてみる

科目Aの形: 四肢択一(表を読む)(このページのために作った問題)

次の呼出し関係をもつモジュールをトップダウンテストする。M1とM2は完成しているが、M3とM4は未完成である。この段階でM1とM2を実モジュールとして結合してテストするとき、スタブとして用意する必要があるモジュールの組合せはどれか。

モジュール呼び出すモジュール
M1M2, M3
M2M4
M3なし
M4なし
  1. M2だけ
  2. M3だけ
  3. M4だけ
  4. M3とM4
答えと解説を見る

正解: M3とM4

M1から呼ばれる未完成のM3と、M2から呼ばれる未完成のM4をスタブで代用します。M2は完成して実モジュールとして使うため、スタブにはしません。

まちがえやすい点: トップダウンでは、まだ完成していない下位の被呼出しモジュールをスタブで置き換える。

科目Aの形: 四肢択一(このページのために作った問題)

プログラム修正後、修正箇所以外の既存機能が以前と同じように動作することを確認するテストはどれか。

  1. 機能テスト
  2. 性能テスト
  3. 回帰テスト
  4. 受入れテスト
答えと解説を見る

正解: 回帰テスト

回帰テストは、変更によって既存機能へ悪影響が生じていないかを確認するために行います。機能テストは要求された機能が仕様どおり動くか、性能テストは応答時間など、受入れテストは発注者が要件を満たすかを確かめます。

まちがえやすい点: 修正した機能そのものの確認だけでなく、既存機能への影響を見るのが回帰テスト。

科目Aの形: 四肢択一(このページのために作った問題)

双方向のトレーサビリティが確保されている状態の説明として、最も適切なものはどれか。

  1. 要求事項から対応するテストへたどれるが、テストから要求事項へはたどれない
  2. テスト結果から対応する要求事項へたどれるが、要求事項からテストへはたどれない
  3. 要求事項から対応するテストへも、テストから対応する要求事項へもたどれる
  4. 要求事項から設計・実装へはたどれるが、テストとの対応は記録しない
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正解: 要求事項から対応するテストへも、テストから対応する要求事項へもたどれる

双方向のトレーサビリティでは、要求からテストへの順方向と、テストから要求への逆方向の両方を追跡できます。これにより検証漏れや根拠のないテストを見つけやすくなります。

まちがえやすい点: 片方向だけ追跡できる状態は、双方向のトレーサビリティとはいえない。

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このページの内容は、IPA「基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2」(2026年1月公表)と試験要綱Ver.5.6の範囲にもとづきます(2026年10月確認)。IPAは2027年度春ごろから新しい試験制度に移る予定です。