基本情報技術者 学習ページ|科目A・法務

法律・倫理とコンプライアンス

情報システムの利用や開発では、法令を守るだけでなく、企業倫理や技術者倫理まで含めて判断する必要があります。デジタル社会を支える基本法と、組織や技術者に求められる行動の考え方を整理します。

デジタル社会の基本

デジタル社会形成基本法は、デジタル社会の形成に関する基本理念や国・地方公共団体などの責務、施策の基本となる事項を定めます。多様な主体による情報の円滑な流通、高度情報通信ネットワークの利用、情報通信技術を用いた情報活用、サイバーセキュリティの確保などを総合的に進める考え方が示されています。公的基礎情報データベースは、行政手続などで共通して参照される、住所・所在地や法人名称などの基礎的なデータを整備して利用するためのデータベースです。

デジタル社会の形成を総合的に進める基本法。

官民データの活用

官民データ活用推進基本法は、国、地方公共団体、事業者などが管理・利用・提供する電磁的記録の情報を、適正かつ効果的に活用するための基本的な枠組みを定めます。行政手続でのオンライン利用の推進、国や地方公共団体などが保有するデータの活用、情報通信技術を利用する機会や活用能力の格差への配慮などが論点です。データ活用では安全性や権利保護も合わせて考える必要があります。

官民データを適正かつ効果的に活用する枠組み。

コンプライアンス

コンプライアンスは、法令を守ることを中心に、社内規程や社会的な規範も踏まえて適切に行動する考え方です。企業では、経営を監督・統制するコーポレートガバナンス、業務が適正に行われるよう組織内の仕組みを整える内部統制、社会への責任を意識するCSRなどと関連します。単に違反を避けるだけでなく、責任分担やチェック体制を組み込むことが重要です。

法令遵守を組織の仕組みとして支える。

情報倫理と技術者倫理

情報倫理は、情報を扱う際に他者の権利や社会への影響を考えて行動する考え方です。データのねつ造・改ざん・盗用、偽情報の拡散、プライバシー侵害などは、法令違反に当たるかだけでなく倫理面でも問題になります。技術者倫理では、安全性や社会的影響を考え、専門知識を持つ技術者として責任ある判断をすることが求められます。組織内の圧力より公共の安全を重視すべき場面もあります。偽や誤りの情報は、誤りだと気づかずに広まるミスインフォメーション、人をだます意図のあるディスインフォメーション、事実でも害を与える目的で使われるマルインフォメーションに分けて考えます。

法令だけでなく社会への影響まで考えて判断する。

周辺法令と基準

情報分野では目的の異なる法令や基準を区別します。電気通信事業法は電気通信事業、電波法は電波の公平かつ能率的な利用などに関わります。金融商品取引法には企業内容などの開示や取引の公正性を確保する制度があり、会社法は会社の機関や組織運営などを定めます。また、システム管理基準のように、ITガバナンスや情報システムの管理について、組織が実践すべき事項を示す基準もあります。

法令・基準は目的と対象を対応させて区別する。

本番の形で解いてみる

科目Aの形: 四肢択一(このページのために作った問題)

デジタル社会形成基本法の説明として、最も適切なものはどれか。

  1. 行政手続のオンライン利用に必要な個別の申請画面や入力項目の技術仕様を定める。
  2. 公的機関が保有する情報を公開請求に応じて開示するための手続と不開示情報の範囲を定める。
  3. 国・地方公共団体・事業者が管理する官民データの活用について、官民データ活用推進基本計画などを定める。
  4. デジタル社会の形成に関する基本理念や国・地方公共団体などの責務、施策の基本となる事項を定める。
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正解: デジタル社会の形成に関する基本理念や国・地方公共団体などの責務、施策の基本となる事項を定める。

デジタル社会形成基本法は、デジタル社会の形成に関する基本理念、関係主体の責務、施策の基本事項を定める基本法です。イは官民データ活用推進基本法の説明に近く、ウとエは基本法の内容ではありません。

まちがえやすい点: 官民データ活用推進基本法と範囲が近いため、デジタル社会全体の基本理念を扱う点で区別する。

科目Aの形: 四肢択一(このページのために作った問題)

ある利用者が、誤った内容の情報を事実だと信じ、他人をだます意図なくSNSで共有した。この情報の分類として、最も適切なものはどれか。

  1. マルインフォメーション
  2. ディスインフォメーション
  3. ファクトチェック
  4. ミスインフォメーション
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正解: ミスインフォメーション

誤った情報を、誤りだと認識せずに共有するものはミスインフォメーションです。ディスインフォメーションは人を欺く意図を伴う虚偽情報、マルインフォメーションは真正な情報を害を与える目的などで用いる場合に使われる概念です。

まちがえやすい点: 情報が誤っているかに加え、発信者が虚偽と認識しているか、害する意図があるかも区別する。

科目Aの形: 四肢択一(表を読む)(このページのために作った問題)

次の対象P〜Rと、主に関係する法律の組合せとして、最も適切なものはどれか。

対象内容
P電波の公平かつ能率的な利用
Q電気通信事業の運営や電気通信役務
R企業内容などの開示や取引の公正性の確保
  1. P=金融商品取引法、Q=会社法、R=電気通信事業法
  2. P=電気通信事業法、Q=電波法、R=会社法
  3. P=会社法、Q=金融商品取引法、R=電波法
  4. P=電波法、Q=電気通信事業法、R=金融商品取引法
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正解: P=電波法、Q=電気通信事業法、R=金融商品取引法

電波の利用は電波法、電気通信事業や電気通信役務は電気通信事業法が中心です。企業内容などの開示や取引の公正性の確保は金融商品取引法の論点です。

まちがえやすい点: 電波法と電気通信事業法は通信分野で近いが、電波そのものと事業・役務では対象が異なる。

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このページの内容は、IPA「基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2」(2026年1月公表)と試験要綱Ver.5.6の範囲にもとづきます(2026年10月確認)。IPAは2027年度春ごろから新しい試験制度に移る予定です。