ITパスポート 学習ページ|ストラテジ系・企業と法務

法律・ガイドラインと情報倫理

企業や個人には、法律を守るだけでなく、社会的な規範や倫理に沿って行動することが求められます。組織を健全に運営する仕組みも併せて整理します。

法令と倫理を守る

コンプライアンスは、法令だけでなく、社内規程や社会的な規範、倫理なども踏まえて適切に行動する考え方です。違法でなければ何をしてもよいという意味ではありません。

企業活動では、人権への配慮やハラスメントの防止なども重要です。組織としてルールを整備し、従業員が適切に行動できるようにすることがコンプライアンス向上につながります。

コンプライアンスは法令だけに限らない

情報を扱う倫理を持つ

情報社会では、個人情報やプライバシー、他人の権利などを尊重して情報を扱う必要があります。情報倫理は、情報を収集、利用、発信するときの法令や社会的規範、モラルを含む考え方です。

他人の文章やデータを自分の成果であるかのように利用する盗用や、都合よくデータを書き換える改ざんは不適切です。技術的にできることと、社会的・倫理的に許されることは同じではありません。

情報利用では法令と社会的規範の両方を見る

SNS利用のルールを定める

企業が従業員などのSNS利用に関する考え方や注意事項を定めたものをソーシャルメディアポリシーといいます。機密情報の投稿や、企業の信用を損なう発信などのリスクを抑える目的があります。

インターネット上では、一度拡散した情報を完全に消すことが難しい場合があります。このように長く残り続ける情報をデジタルタトゥーと表現します。

SNSでは公開後の拡散や残存も考える

偏った情報環境に注意する

似た意見を持つ人同士が交流することで、同じ考えが繰り返し強化される状態をエコーチェンバーといいます。一方、サービスの推薦機能などによって利用者の関心に合う情報に囲まれやすくなる状態をフィルターバブルといいます。

情報の真偽を複数の資料などから検証する取組をファクトチェックといいます。目にした情報をそのまま信じず、発信元や根拠を確認します。

情報の偏りを意識し根拠を確認する

経営を監視する仕組み

コーポレートガバナンスは、企業経営を適切に監視・監督し、健全な経営を行うための仕組みです。株主をはじめとする利害関係者からの信頼を高めることにつながります。

例えば、経営陣から独立性のある社外取締役による監督を強化することは、ガバナンス向上の取組の一つです。売上を増やす営業施策や業務効率化そのものを指す言葉ではありません。

ガバナンスは経営の監視・監督の仕組み

内部の不正を抑える

組織が業務を適正に行うため、業務手順や権限分担、確認の仕組みなどを整えることを内部統制といいます。不正や誤りの防止、業務の有効性などに関係します。

不正などを一定の通報先へ知らせた労働者などを保護するための制度には公益通報者保護法があります。問題を報告できる仕組みを整えることは組織の健全性に関係します。

内部統制は組織内の適正な業務を支える

行政文書の開示を求める

情報公開法に基づき、行政機関が保有する行政文書について、所定の手続で開示を請求できます。請求できる人を特定の利害関係者だけに限定する制度ではありません。

ただし、請求された行政文書に含まれる情報の全てが公開されるとは限りません。個人情報や国の安全などに関わる一定の不開示情報があります。

行政文書は請求できるが不開示情報もある

環境に配慮する法律

事業活動では、廃棄物の適正な処理や資源の循環利用など、環境への配慮に関係する法律があります。廃棄物処理法は廃棄物の処理などに関するルールを定めています。

資源の循環や脱炭素化などに関連する制度も企業活動に影響します。環境対応は企業の自主的な活動だけではなく、法令上の義務が関係する場合があります。

環境対応には法令上のルールもある

本番の形で解いてみる

基本の問題(このページのために作った問題・本番と同じ四肢択一)

コーポレートガバナンスを強化する取組として、最も適切なものはどれか。

  1. 経営会議への権限集中を進め、意思決定を迅速化する。
  2. 独立性のある社外取締役による経営監督を強化する。
  3. 業績連動型の報酬制度を導入し、従業員の成果を評価する。
  4. 部門別採算制度を導入し、事業ごとの収益責任を明確にする。
答えと解説を見る

正解: 独立性のある社外取締役による経営監督を強化する。

経営者を監視・監督し、適正な経営を促す仕組みの強化はコーポレートガバナンスに当たります。社外取締役の独立性は経営監督の実効性に関係します。

まちがえやすい点: 経営効率や人事評価の改善ではなく、経営を監督する仕組みかを見る。

基本の問題(このページのために作った問題・本番と同じ四肢択一)

企業がソーシャルメディアポリシーを定める主な目的として、最も適切なものはどれか。

  1. 従業員のSNS利用時の注意事項や情報発信のルールを示す。
  2. 企業が運営するSNSの投稿承認手順だけを定める。
  3. SNS上で収集した個人情報の保存期間だけを定める。
  4. SNS広告の出稿金額や配信対象だけを定める。
答えと解説を見る

正解: 従業員のSNS利用時の注意事項や情報発信のルールを示す。

ソーシャルメディアポリシーは、SNS利用や情報発信に関する組織の方針やルールを示すものです。特定の投稿手順や広告運用だけを定めるものではありません。

まちがえやすい点: SNSに関する個別業務の手順書ではなく、利用・発信全体の方針を示す。

基本の問題(このページのために作った問題・本番と同じ四肢択一)

情報公開法に基づく行政文書の開示請求について、最も適切なものはどれか。

  1. 行政機関が保有する行政文書について、所定の手続で開示を請求できる。
  2. 行政機関が保有する文書は、請求があれば全て無条件で開示される。
  3. 行政機関が保有する文書のうち、紙で作成されたものだけが開示請求の対象になる。
  4. 行政機関が保有する文書の開示請求は、その文書の作成者本人だけが行える。
答えと解説を見る

正解: 行政機関が保有する行政文書について、所定の手続で開示を請求できる。

情報公開法では、行政機関が保有する行政文書について所定の手続で開示請求できます。ただし、不開示情報に該当する部分などは開示されない場合があります。

まちがえやすい点: 対象は行政文書だが、全てが無条件に開示されるわけではない。

この内容を問題で確かめる

読んだところを、本番と同じ四肢択一の10問セットで思い出してみましょう。

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このページの内容は、IPA「ITパスポート試験 シラバス Ver.6.5」(2026年1月公表)の範囲にもとづきます(2026年10月確認)。