宅建士 参考書|第1章 宅建業法

宅建士の登録と宅建士証

試験合格後、実務経験等を満たして試験地の知事に登録する

宅建試験に合格しただけでは、宅地建物取引士として法定事務を行えません。試験に合格し、登録を受け、さらに有効な宅建士証の交付を受けて宅建士として業務を行います。

登録は、原則として宅地・建物の取引に関する2年以上の実務経験を有する者、または国土交通大臣がそれと同等以上の能力を有すると認めた者が申請できます。登録実務講習の修了は、実務経験に代わる要件を満たす方法です。登録先は現在の住所地ではなく、合格した試験を行った都道府県知事です。

登録そのものに5年の有効期間はありません。5年なのは宅建士証です。

登録は試験地の知事へ。2年以上の実務経験等が必要で、5年の有効期間があるのは宅建士証です。

登録の欠格事由は未成年・刑罰・取消し・破産などを確認する

登録要件を満たしても、登録の欠格事由に当たる者は登録できません。

主な欠格事由判断
宅建業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者原則として登録できない
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者登録できない
一定の免許取消し等に関係し、所定期間を経過していない者登録できない
拘禁刑以上の刑の執行終了等から5年を経過していない者登録できない
宅建業法違反など一定の犯罪で罰金刑を受け、執行終了等から5年を経過していない者登録できない
心身の故障により宅建士の事務を適正に行うことができない者として省令で定める者登録できない

未成年者でも、宅建業に関し成年者と同一の行為能力を有する者は、未成年であることだけを理由に欠格とはなりません。また、成年被後見人・被保佐人という名称だけで一律に欠格とする制度ではなく、心身の故障によって事務を適正に行えるかで判断します。

未成年は一律不可ではなく、刑罰・取消し・破産などは欠格期間と要件を確認します。

氏名・住所・本籍・勤務先業者などは遅滞なく変更登録する

資格登録簿の登録事項に変更が生じたときは、登録している都道府県知事に遅滞なく変更の登録を申請します。「30日以内」ではありません。

氏名、住所、本籍のほか、宅建業者の業務に従事している者は、勤務する宅建業者の商号・名称や免許証番号など、登録簿に載る事項の変更が対象です。一方、勤務先の事務所の所在地は登録事項ではないため、その所在地が変わっただけでは宅建士本人の変更登録は要りません。

氏名または住所を変更したときは、変更登録とあわせて宅建士証の書換え交付も申請します。本籍や勤務先業者の変更だけなら、宅建士証の氏名・住所を書き換える手続にはつながりません。

登録事項の変更は遅滞なく。氏名・住所が変われば宅建士証の書換えも行います。

他県の事務所で従事するときの登録移転は任意で、住所移転だけではできない

登録を受けている都道府県以外にある宅建業者の事務所で、現に業務に従事し、または従事しようとするときは、その事務所所在地の都道府県知事への登録移転を申請できます。

登録移転は任意です。宅建士の登録は全国で効力があるため、他県の事務所に勤務するからといって移転が義務になるわけではありません。また、自宅住所を他県へ移しただけでは登録移転はできません。その場合は、元の登録知事に住所の変更登録をします。

申請は、現在登録している都道府県知事を経由して移転先の知事に行います。事務禁止処分の期間中は登録移転を申請できません。登録移転に伴って新しい宅建士証の交付を受ける場合、その有効期間は従前の宅建士証の残存期間です。

登録移転は他県の事務所で従事するときに任意で行い、住所変更だけではできません。

死亡や欠格事由への該当は変更登録とは別に届出期限を見る

登録後に一定の事由が生じたときは、変更登録とは別に、登録している都道府県知事への届出が必要です。

事由届出の考え方
登録者が死亡した相続人が、死亡を知った日から30日以内に届け出る
登録者が一定の欠格事由に該当した法律上の届出義務者が、所定の30日以内に届け出る

死亡届の起算点は「死亡日」ではなく、相続人が死亡を知った日です。刑罰などの欠格事由に該当した場合も、単なる住所・氏名変更として処理するのではなく、届出と登録消除の問題として判断します。

死亡は相続人が「知った日から30日以内」。欠格該当の届出と変更登録を混同しません。

宅建士証は5年で、重要事項説明では請求がなくても提示する

宅建士証は、登録を受けた者が登録知事に申請して交付を受けます。原則として交付申請前6か月以内に都道府県知事が指定する講習を受講しますが、試験合格の日から1年以内に交付を受けようとする者は、この講習を受ける必要がありません。

宅建士証の有効期間は5年です。更新時も、原則として交付申請前6か月以内の指定講習を受けます。

場面宅建士証の扱い
重要事項説明をするとき請求がなくても提示する
取引の関係者から提示を求められたとき提示する
登録が消除された・宅建士証が失効した速やかに返納する
事務禁止処分を受けた速やかに提出する

「返納」は使えなくなった証を返す場面、「提出」は事務禁止期間中に預ける場面です。

宅建士証は5年。重要事項説明では自ら提示し、消除・失効は返納、事務禁止は提出です。

本番の形で解いてみる

基本の問題(まなクエの問題集から)

宅建士の登録欠格事由として正しいものはどれか。

  1. 宅建業法違反で罰金刑に処された後3年を経過した者
  2. 刑の執行を終えた翌日から欠格期間がスタートする
  3. 宅建業法違反により罰金刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者
  4. 成年被後見人であれば、その状態だけで当然に登録欠格となる
答えと解説を見る

正解: 宅建業法違反により罰金刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者

宅建士の登録欠格(宅建業法18条):宅建業法違反等の罰金刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者は欠格となる。成年被後見人・被保佐人であること自体を一律の欠格事由とはしない。現在は、心身の故障により宅建士の事務を適正に行うことができない者として省令で定める者が欠格となる。

基本の問題(まなクエの問題集から)

宅建士の登録の移転について正しいものはどれか。

  1. 登録の移転をしても、従前の宅建士証をそのまま使用できる
  2. 登録の移転は免許権者の許可が必要
  3. 他の都道府県に所在する事務所に従事することになった場合、登録の移転ができる
  4. 登録の移転は義務である
答えと解説を見る

正解: 他の都道府県に所在する事務所に従事することになった場合、登録の移転ができる

登録の移転(宅建業法19条の2):任意。他の都道府県の宅建業者の事務所に勤務することになった場合等に可能。登録移転後、従前の宅建士証は効力を失い、新知事から宅建士証の交付を受ける。

事例で判断する問題(この節のために作った問題)

東京都知事の登録を受け、東京都内の宅建業者の事務所で勤務する宅地建物取引士Aが、自宅だけを埼玉県へ移した。勤務先は変わらない。この場合の手続として正しいものはどれか。

  1. Aは埼玉県知事への登録移転をしなければならない。
  2. Aは埼玉県知事へ直接、登録移転を申請できる。
  3. Aは東京都知事に住所の変更登録を遅滞なく申請し、宅建士証の書換え交付も申請する。
  4. 住所だけの変更は資格登録簿の変更事項ではないので、何もする必要はない。
答えと解説を見る

正解: Aは東京都知事に住所の変更登録を遅滞なく申請し、宅建士証の書換え交付も申請する。

住所変更だけでは登録移転の理由になりません。登録先である東京都知事に遅滞なく住所の変更登録を申請し、氏名・住所の変更なので宅建士証の書換え交付も行います。

この内容を問題で確かめる

読んだところを、問題で思い出してみましょう。

宅建の問題を解く →

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」。このページの法令は令和8年(2026年)4月1日現在の法令にもとづきます(e-Govで確かめた日 2026年10月11日)。このページの作り方と確かめ方