宅建士 参考書|第4章 税・価格の評定
地価公示法
地価公示の目的と区域
地価公示は、土地鑑定委員会が標準地を選び、その正常な価格を公示する制度です。一般の土地取引価格に指標を与え、公共事業用地の取得価格の算定などに役立て、適正な地価の形成に寄与することを目的とします。
地価公示を行う公示区域は、都市計画区域だけに限られません。都市計画区域のほか、土地取引が相当程度見込まれる区域として定められた区域も対象になります。ただし、国土利用計画法による規制区域は除かれます。
したがって、「都市計画区域外の土地は標準地にならない」と決めつけることはできません。
地価公示は土地鑑定委員会が行い、公示区域は都市計画区域だけではありません。
標準地は通常の土地から選ぶ
標準地は、土地鑑定委員会が、自然的・社会的条件からみて類似の利用価値を持つ地域の中から選定します。選ぶのは、土地の利用状況や環境などがその地域で通常と認められる土地です。
施行規則では、土地の用途が同質と認められるまとまりのある地域について、利用状況、環境、地積、形状などが通常である土地を選ぶものとされています。「特に環境が良い土地」「最も価格が高い土地」を選ぶ制度ではありません。
標準地に建物があったり、地上権など土地の使用・収益を制限する権利が存在したりしても、それだけで標準地から除外されるわけではありません。正常な価格を判定するときに、これらがないものとして評価します。
標準地は特別に良い土地ではなく、その地域で利用状況などが通常の土地です。
正常な価格は1月1日時点
土地鑑定委員会は、公示区域内の標準地について毎年1回、2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、その結果を審査・調整して価格を判定します。価格判定の基準日は1月1日です。
公示されるのは、その標準地の単位面積当たりの正常な価格です。土地全体の価格総額を合わせて公示する制度ではありません。
正常な価格とは、土地について自由な取引が行われるとした場合に、通常成立すると認められる価格です。建物などの定着物がある場合や、地上権その他の使用・収益を制限する権利がある場合には、それらがないものとして土地の価格を判定します。
地価公示は年2回行うものではなく、前回公示価格からの変化率そのものを法定の公示価格として公示する制度でもありません。
毎年1回、1月1日時点の更地としての単位面積当たり正常価格を判定します。
鑑定評価は三方式を勘案
標準地の鑑定評価では、近隣の取引価格、地代などから求める価格、同等の効用を持つ土地を造成する費用などを勘案します。試験では、取引事例比較法・収益還元法・原価法という三つの考え方で整理すると判断しやすくなります。
鑑定評価を行った不動産鑑定士は、鑑定評価書を土地鑑定委員会へ提出します。複数の鑑定士が一つの鑑定評価書に連名して提出する、という仕組みではありません。
また、公示区域内の土地について不動産鑑定士が正常な価格を求める場合には、標準地の公示価格を規準としなければなりません。「公示価格と実際の取引価格の双方を必ず規準にする」という規定ではありません。
標準地の鑑定は三方式を勘案し、公示区域の鑑定では公示価格を規準にします。
公示事項と一般閲覧
土地鑑定委員会が正常な価格を判定すると、標準地の価格その他の事項を公示します。公示事項には、標準地の所在、単位面積当たりの価格、地積、形状などが含まれます。
価格総額を公示するわけではなく、「前年から何%上昇したか」という変化率も、地価公示法が定める公示価格そのものではありません。
公示された事項を記載した書面や関係図書は関係市町村に送付され、市町村長はその事務所で一般の閲覧に供します。
公示するのは単価・地積・形状などで、関係市町村では資料を一般閲覧できます。
公示価格は指標・規準になる
土地取引をする者は、対象土地と類似する利用価値を持つ標準地の公示価格を指標として取引するよう努めるものとされています。公示価格で売買しなければならない義務はありません。
使うのは単に距離が最も近い標準地ではなく、対象土地と類似する利用価値を持つ標準地です。
| 場面 | 公示価格の扱い |
|---|---|
| 一般の土地取引 | 指標として取引するよう努める |
| 不動産鑑定士が公示区域内の土地の正常価格を鑑定 | 公示価格を規準とする |
| 公共事業用地の取得価格 | 公示価格を規準とする |
公共事業用地についても、公示価格と全く同額で取得しなければならないという意味ではありません。対象地と標準地の位置、地積、環境その他の価格形成要因を比較し、均衡を保って価格を求めます。
一般取引は公示価格を「指標」、鑑定や公共用地取得では「規準」とします。
本番の形で解いてみる
基本の問題(まなクエの問題集から)
地価公示法の目的として正しいものはどれか。
- 相続税評価の基準設定
- 不動産登記の際の価格の公示
- 土地の取引価格の指標となる標準地の正常な価格を公示すること
- 固定資産税の課税標準の決定
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正解: 土地の取引価格の指標となる標準地の正常な価格を公示すること
地価公示法1条:一般の土地の取引価格に対して指標を与え、公共の利益となる事業のための土地取得価格算定の基準とする等の目的。
基本の問題(まなクエの問題集から)
地価公示における標準地の選定について正しいものはどれか。
- 標準地は農地に設定される
- 標準地は都市計画区域その他の土地取引が相当程度見込まれる区域内の土地
- 標準地は全国一律の基準で選定される
- 標準地は都道府県知事が単独で選定する
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正解: 標準地は都市計画区域その他の土地取引が相当程度見込まれる区域内の土地
標準地(地価公示法3条):都市計画区域等の土地取引が見込まれる区域内から選定。土地鑑定委員会が選定。
事例で判断する問題(この節のために作った問題)
都市計画区域外であるが土地取引が相当程度見込まれるため公示区域に含まれている地域に、地上権が設定された土地がある。地価公示法による標準地と正常な価格について正しいものはどれか。
- 都市計画区域外の土地である以上、標準地に選定することはできない。
- 地上権が設定されている土地は、標準地に選定することができない。
- 標準地に選定された場合、正常な価格は地上権が存在しないものとして通常成立すると認められる土地価格を基礎に判定する。
- 正常な価格は、土地と地上権を合わせた価格総額として公示しなければならない。
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正解: 標準地に選定された場合、正常な価格は地上権が存在しないものとして通常成立すると認められる土地価格を基礎に判定する。
公示区域は都市計画区域だけではありません。また、地上権等が存在する土地も標準地となり得ますが、正常な価格はその権利が存在しないものとして判定し、単位面積当たりの価格を公示します。
この内容を問題で確かめる
読んだところを、問題で思い出してみましょう。
宅建の問題を解く →出典: e-Gov法令検索「地価公示法」・e-Gov法令検索「地価公示法施行規則」。このページの法令は令和8年(2026年)4月1日現在の法令にもとづきます(e-Govで確かめた日 2026年10月11日)。このページの作り方と確かめ方