宅建士 参考書|第5章 5問免除の範囲
建物の構造・材料
建物は上部構造と基礎に分けて考える
建物の荷重は、柱や壁などの上部構造から基礎を通じて地盤へ伝えられます。基礎は建物の荷重を安全に地盤へ伝える部分です。
基礎には、地盤に直接荷重を伝える直接基礎と、杭を通じて深い地盤へ荷重を伝える杭基礎などがあります。直接基礎と杭基礎は別の方式であり、「直接基礎は杭基礎の一種」ではありません。
直接基礎には、柱の下ごとに設ける独立基礎、壁などの下に連続して設ける布基礎、建物下部を広い版で支えるべた基礎などがあります。
基礎は建物荷重を地盤へ伝える。直接基礎と杭基礎は別物です。
木造は乾燥・骨組・壁のつくりを見る
木材は含水率が高いと変形や腐朽などの原因になりやすいため、構造材には十分に乾燥した木材を用いることが望まれます。「乾燥するほど強度が低くなる」とは考えません。
在来軸組工法の木造建築では、柱・土台・桁・胴差・耐力壁などで軸組をつくり、床組や小屋組と組み合わせます。小屋組には和小屋やトラスを用いた洋小屋などがあります。
壁には、柱などの構造材を表面に見せる真壁と、柱を壁面内に覆う大壁があります。同一の建物で両者を使い分けることもできます。
集成材は、木材を接着して大きな断面や長い部材をつくることができ、大規模な木造建築にも利用されます。
木造は乾燥した木材、軸組・床組・小屋組、真壁と大壁の違いを押さえます。
鉄骨造は強いが、火とさびに弱い
鋼材は強度が高く粘りがあり、比較的小さな断面でも大きな荷重を負担できるため、高層建築や工場・体育館などの大空間にも用いられます。住宅や店舗にも広く利用されています。
一方で、鋼材は高温で強度が低下し、さびも生じるため、必要に応じて耐火被覆や防錆処理を行います。鉄骨を使っただけで、耐火被覆なしに当然に耐火構造になるわけではありません。
鋼は一般に炭素量などによって性質が変化しますが、「炭素量が多いほど、あらゆる性能が一律によくなる」と覚えてはいけません。炭素量の増加は一般に硬さや強さを増す一方、延性や溶接性などにも影響します。
鋼材の密度は、木材や普通コンクリートより大きいという性質も押さえます。
鉄骨は高強度・大空間向き。ただし火とさびへの対策が必要です。
RC造は鉄筋とコンクリートを一体化する
鉄筋コンクリート造(RC造)は、引張力に強い鉄筋と、圧縮力に強いコンクリートを組み合わせた構造です。両者の熱膨張率が比較的近く、鉄筋とコンクリートが付着して一体として働きます。
鉄筋には表面が滑らかな丸鋼と、表面に突起を設けた異形棒鋼があります。異形棒鋼は突起によってコンクリートとの付着を高めます。
RC造は剛性が大きく変形が比較的小さいほか、耐火性・耐久性を確保しやすい構造です。一方、部材断面が大きくなりやすく、建物の自重も大きくなります。
コンクリートは打設直後に所定の強度を得るものではなく、養生しながら時間の経過とともに強度を発現します。このため施工には所要の期間が必要です。
また、コンクリートの中性化やひび割れが進むと鉄筋腐食につながるため、これらを抑えることが耐久性の確保に重要です。
RC造は鉄筋の引張力とコンクリートの圧縮力を組み合わせ、異形棒鋼で付着を高めます。
ラーメン・ブレース・壁式構造を区別する
| 構造形式 | 特徴 |
|---|---|
| ラーメン構造 | 柱と梁の接合部を剛接合し、柱・梁の骨組で外力に抵抗します。 |
| ブレース構造 | 骨組の対角線方向に斜材(ブレース)を入れて変形を抑えます。 |
| 壁式構造 | 原則として柱や梁による骨組ではなく、壁と床などの面で構成します。 |
| 組積造 | れんが・石・ブロックなどを積み上げます。一般に耐震性の確保に注意が必要ですが、遮熱・遮音性などの特性があります。 |
ブレース構造は単独でしか使えない構造ではなく、ラーメン構造などと組み合わせることがあります。補強コンクリートブロック造は、壁を主要な構造体とする壁式構造として小規模住宅などにも使われます。
ラーメンは柱・梁、ブレースは斜材、壁式は壁と床で抵抗します。
耐震・制震・免震は揺れへの対処法が違う
| 方式 | 考え方 |
|---|---|
| 耐震 | 柱・梁・耐力壁など建物自体の強度や粘りで地震力に耐えます。 |
| 制震 | ダンパーなどで地震エネルギーを吸収し、建物の揺れを抑えます。 |
| 免震 | 建物と地盤の間などに免震装置を設け、地盤の揺れが上部構造へ伝わりにくくします。 |
耐震技術は新築だけのものではありません。既存建物でも、耐力壁や補強部材を追加するなどの耐震補強が行われます。
耐震は建物で耐える、制震は揺れを吸収する、免震は揺れを伝えにくくします。
本番の形で解いてみる
事例で判断する問題(この節のために作った問題)
建物の構造と材料について、最も不適当なものはどれか。
- 鋼材は高温になると強度が低下するため、鉄骨造では必要に応じて耐火被覆を施す。
- 異形棒鋼は表面の突起により、丸鋼よりコンクリートとの付着を高めることができる。
- 鉄筋コンクリート造は一般に剛性が大きいが、躯体の自重も大きくなりやすい。
- 木材は含水率が高いほど構造材として常に強度が高くなるため、十分に乾燥させない方がよい。
答えと解説を見る
正解: 木材は含水率が高いほど構造材として常に強度が高くなるため、十分に乾燥させない方がよい。
構造用木材には十分に乾燥したものを使うことが重要です。含水率が高いほど常に強度が高くなるわけではありません。
事例で判断する問題(この節のために作った問題)
建物の構造形式について、最も適切なものはどれか。
- ラーメン構造は、柱と梁をすべてピン接合する構造である。
- ブレース構造は、他の構造形式と併用することができない。
- 壁式構造は、原則として壁と床などで構成し、面によって荷重に抵抗する。
- 直接基礎は、杭を介して深い支持地盤へ荷重を伝える基礎である。
答えと解説を見る
正解: 壁式構造は、原則として壁と床などで構成し、面によって荷重に抵抗する。
壁式構造は、原則として柱や梁による骨組ではなく、壁と床などで構成します。ラーメン構造は柱梁を剛接合し、直接基礎は杭を用いません。
事例で判断する問題(この節のために作った問題)
既存建物の地震対策を検討している。建物の柱・梁や耐力壁を補強して、建物自体が地震力に耐える能力を高める方法として最も適切なものはどれか。
- 耐震
- 制震
- 免震
- 断熱
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正解: 耐震
建物自体の強度や粘りを高めて地震力に耐える方法は耐震です。制震はダンパーなどで揺れを吸収し、免震は地盤の揺れを建物へ伝わりにくくします。
この内容を問題で確かめる
読んだところを、問題で思い出してみましょう。
宅建の問題を解く →出典: 一般財団法人不動産適正取引推進機構「宅地建物取引士資格試験」の試験問題(平成29年度〜令和7年度)の出題をもとに整理(2026年10月11日)。このページの作り方と確かめ方