登録販売者 参考書|第3章 主な医薬品とその作用

皮膚に用いる薬(きず口の消毒・抗炎症・痛みと痒み)

外皮用薬の使い方

外皮用薬は、皮膚表面の創傷や症状、皮膚の下にある血管・筋組織・関節などの症状を改善・緩和するため、患部に直接用いる薬です。

患部に汚れや皮脂が多いと有効成分が浸透しにくくなるため、使用前に患部を清浄にします。表皮の角質層が柔らかくなり浸透しやすくなるため、入浴後に用いるのが効果的とされています。

剤形扱い方
塗り薬必要量をいったん手の甲などに取り、塗布後は手についた薬剤を十分に洗い流します。
貼付剤汗や汚れを除いてから貼り、同じ部位への連続貼付を避けます。連続するとかぶれを生じやすくなります。
スプレー剤・エアゾール剤目の周囲や粘膜を避け、患部から十分離して噴霧します。同じ部位への連続噴霧は避け、連続噴霧は3秒以内が望ましいとされます。

一定期間使っても改善しないときは、症状そのものと区別しにくい発疹・発赤・痒みなどの副作用も考え、漫然と使用を続けず専門家に相談します。

外皮用薬は患部を清潔にして使い、貼付剤の連続使用や長い連続噴霧を避けます。

きず口の殺菌消毒成分

殺菌消毒薬は、小さなきり傷、擦り傷、掻き傷などの化膿防止や、手指・皮膚の消毒に用います。火傷や化膿した創傷面の消毒、口腔内の殺菌・消毒も目的とする製品は医薬品としてのみ認められています。

成分作用・特徴
アクリノール黄色の色素。一般細菌類の一部に作用しますが、真菌、結核菌、ウイルスには効果がありません。
オキシドール活性酸素による酸化と、酸素の泡による物理的洗浄で作用します。持続性は乏しく、組織への浸透性も低い成分です。
ポビドンヨード・ヨードチンキヨウ素の酸化作用で、結核菌を含む一般細菌類、真菌類、ウイルスに作用します。
クロルヘキシジングルコン酸塩・同塩酸塩一般細菌類、真菌類に比較的広く作用しますが、結核菌とウイルスには作用しません。
イソプロピルメチルフェノール等細菌や真菌類のタンパク質を変性させ、殺菌消毒作用を示します。

ポビドンヨードはヨウ素をPVPに結合させたもので、徐々にヨウ素が遊離します。きず口用では口腔咽喉薬や含嗽薬より高濃度で配合されるため、原液を口腔粘膜へ用いないようにします。

ヨウ素系は細菌・真菌・ウイルスに作用し、クロルヘキシジンは結核菌・ウイルスには作用しません。

消毒薬の使い分けと創傷対応

ヨウ素の殺菌力はアルカリ性で低下するため、石けんと併用するときは石けん分を十分に洗い落としてから使用します。ベンザルコニウム塩化物などの陽性界面活性成分も、石けんとの混合で殺菌消毒効果が低下します。

ヨードチンキは皮膚刺激性が強く、粘膜や目の周りへの使用を避けます。化膿している部位では症状を悪化させるおそれがあります。消毒用エタノールも皮膚刺激性が強いため、患部を軽く清拭するにとどめ、脱脂綿やガーゼに浸して貼付することは避けます。

創傷面が汚れているときは、きれいな水でよく洗い流します。殺菌消毒薬を繰り返し使うと、皮膚常在菌まで殺菌され、組織修復も妨げられて治癒しにくくなることがあります。

出血が止まらない・著しい、患部が広範囲、ひどい火傷の場合は受診が必要です。さらに、5~6日経過して痛みが強くなる、傷の周囲が赤く化膿しているような場合も医療機関を受診します。

消毒は繰り返せばよいわけではなく、常在菌や組織修復を損なうことがあります。

ステロイド性抗炎症成分

デキサメタゾン、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、プレドニゾロン酢酸エステル、ヒドロコルチゾンなどは、ステロイド骨格を持つ抗炎症成分です。患部局所の炎症を抑え、痒みや発赤などの皮膚症状を緩和します。

一方で、末梢組織の免疫機能を低下させる作用があります。そのため、水痘、みずむし、たむしなどの白癬症、にきび、化膿している患部では症状を悪化させるおそれがあり、使用を避けます。

対象となるのは、体の一部分に生じた湿疹、皮膚炎、かぶれ、あせも、虫さされなどの一時的な症状です。広範囲の皮膚症状や慢性の湿疹・皮膚炎を対象とするものではありません。

コルチゾン換算で1g又は1mL中0.025mgを超える製品では、特に長期連用を避けます。短期間でも患部が広範囲なら吸収量が相対的に多くなるため、適用部位を限るなど過度の使用を避けます。

ステロイド外用薬は局所の一時的な炎症に用い、感染部位・広範囲・慢性症状には向きません。

非ステロイド性抗炎症成分

インドメタシン、ケトプロフェン、フェルビナク、ピロキシカム、ジクロフェナクナトリウムは、皮膚の下の骨格筋や関節部まで浸透してプロスタグランジンの産生を抑え、筋肉痛、関節痛、打撲、捻挫などに用いられます。

これらには殺菌作用がありません。皮膚感染症を治すことはできず、痛みや腫れを抑えることで感染が気付きにくくなるため、みずむし、たむし、化膿している患部には使用を避けます。喘息を起こしたことがある人や、妊婦又は妊娠していると思われる女性も使用を避けます。

成分試験で区別する点
ケトプロフェン使用中だけでなく使用後も当分の間、塗布部への紫外線を避けます。重篤な光線過敏症を生じることがあります。
インドメタシン皮膚の弱い人が貼付剤を使うときは、小片を腕の内側などに半日以上貼り、異常がないことを確認することが推奨されています。
ピロキシカム光線過敏症を生じることがあり、野外活動が多い人には他成分の製品が望ましいとされます。

塗り薬又はエアゾール剤は1週間あたり50g又は50mLを超える使用、貼付剤は連続2週間以上の使用を避けることとされている製品が多く、いずれも長期連用を避けます。

外用NSAIDsは鎮痛・抗炎症用であり、殺菌作用はなく感染患部には使いません。

痛み・痒みを抑える成分

分類・成分働き
サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール主に局所刺激で血行を促し、末梢知覚神経に軽い麻痺を起こして鎮痛します。
イブプロフェンピコノールイブプロフェンの誘導体ですが、外用での鎮痛作用はほとんど期待されません。吹き出物の発赤・腫れや面皰の拡張を抑える目的で用いられます。
ジブカイン塩酸塩、リドカイン、アミノ安息香酸エチル、テシットデシチン局所麻酔作用により、創傷面の痛みや皮膚の痒みを和らげます。
アンモニア皮下の知覚神経を麻痺させ、主に虫さされによる痒みに用います。
ジフェンヒドラミン等ヒスタミンと受容体との結合を妨げ、ほてり・腫れ・痒みなどを緩和します。

抗ヒスタミン成分にはジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩などがあり、副作用として患部の腫れが現れることがあります。

イブプロフェンピコノールはにきび用で、外用の鎮痛作用はほとんど期待されません。

冷感・温感と保護・修復

成分作用・使い方
メントール、カンフル、ハッカ油、ユーカリ油冷感刺激を与え、血行促進と知覚神経の麻痺による鎮痛・鎮痒を期待します。急性の腫れや熱感を伴う打撲・捻挫には冷感刺激成分が適します。
カプサイシン、ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル温感刺激で末梢血管を拡張し、血行を促します。
クロタミトン皮膚に軽い灼熱感を与え、痒みを感じにくくさせます。
酸化亜鉛患部のタンパク質と結合して皮膜を作り、皮膚を保護します。
ピロキシリン創傷面に薄い皮膜を形成して保護します。
アラントイン、ビタミンA油損傷皮膚の組織修復を促す目的で用います。
ヘパリン類似物質血行促進に加え、抗炎症作用と保湿作用も期待されます。

温感刺激成分を主薬とする貼付剤は、保温器具で温めると強い痛みや低温やけどのおそれがあります。入浴1時間前には剥がし、入浴後は皮膚のほてりが鎮まってから貼ります。

酸化亜鉛やピロキシリンは、患部が浸潤・化膿している場合や傷が深い場合には、表面だけを乾燥させ症状を悪化させるおそれがあるため使用を避けます。ヘパリン類似物質には血液凝固を抑える働きがあるため、出血しやすい人、出血が止まりにくい人、出血性血液疾患の診断を受けた人では使用を避けます。

急性の腫れ・熱感には冷感、温感貼付剤は入浴前後や加温を避けます。

本番の形で解いてみる

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

きず口等の殺菌消毒成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せを選びなさい。

  • a アクリノールは、一般細菌類の一部に殺菌消毒作用を示すが、真菌、結核菌、ウイルスには効果がない。
  • b オキシドールは、過酸化水素の分解で生じる活性酸素による酸化と酸素の泡による物理的洗浄で作用し、作用の持続性は乏しく組織への浸透性も低い。
  • c クロルヘキシジングルコン酸塩は、一般細菌類、真菌類、結核菌、ウイルスに対して比較的広い殺菌消毒作用を示す。
  • d ベンザルコニウム塩化物は、石けんとの混合により殺菌消毒効果が高くなる。
  1. a正 b正 c正 d誤
  2. a正 b正 c誤 d誤
  3. a正 b誤 c誤 d正
  4. a誤 b正 c正 d誤
  5. a誤 b誤 c正 d正
答えと解説を見る

正解: a正 b正 c誤 d誤

a、bは正しい記述です。cは誤りで、クロルヘキシジングルコン酸塩は一般細菌類と真菌類に作用しますが、結核菌やウイルスには殺菌消毒作用がありません。dも誤りで、ベンザルコニウム塩化物などは石けんとの混合で殺菌消毒効果が低下します。まちがえやすい点:ヨウ素系は結核菌・ウイルスにも作用しますが、クロルヘキシジンは作用しません。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

皮膚の炎症、痛み、痒みを抑える成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せを選びなさい。

  • a デキサメタゾンは、ステロイド骨格を持つ抗炎症成分である。
  • b ステロイド性抗炎症成分は、末梢組織の免疫機能を高めるため、化膿している患部に適する。
  • c サリチル酸メチルは、主として局所刺激による血行促進と末梢知覚神経への軽い麻痺により鎮痛作用をもたらす。
  • d イブプロフェンピコノールは、外用で強い鎮痛作用を示すため、打撲や捻挫に用いられる。
  1. aとb
  2. aとc
  3. aとd
  4. bとc
  5. cとd
答えと解説を見る

正解: aとc

正しいのはaとcです。bは誤りで、ステロイド性抗炎症成分は末梢組織の免疫機能を低下させ、化膿患部やみずむし・たむし等では症状を悪化させるおそれがあります。dは誤りで、イブプロフェンピコノールは外用での鎮痛作用がほとんど期待されず、専らにきび治療薬として用いられます。まちがえやすい点:サリチル酸メチルとイブプロフェンピコノールの用途を入れ替えないようにします。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

打撲による痛みのため、ケトプロフェン配合の外皮用薬を購入した人から使用方法について相談を受けた。最も適切な説明はどれか。

  1. 貼付剤の場合、連続して2週間以上使用しても差し支えない。
  2. 皮膚感染症にも殺菌作用を示すため、化膿している部位にも使用できる。
  3. 使用中だけ紫外線を避ければよく、使用を中止した翌日から塗布部を日光に当ててもよい。
  4. 使用している間と使用後も当分の間、天候にかかわらず塗布部を紫外線に当てないようにする。
  5. 喘息を起こしたことがある人でも、外用薬であれば使用して差し支えない。
答えと解説を見る

正解: 使用している間と使用後も当分の間、天候にかかわらず塗布部を紫外線に当てないようにする。

ケトプロフェンでは、使用中だけでなく使用後も当分の間、紫外線による重篤な光線過敏症に注意し、塗布部を衣服やサポーターなどで覆って紫外線を避けます。貼付剤は連続して2週間以上の使用を避けることとされている製品が多く、殺菌作用もありません。内服の解熱鎮痛成分と同様に喘息の副作用を起こす可能性があるため、喘息を起こしたことがある人は使用を避けます。まちがえやすい点:光線過敏症への対策は使用期間中だけでは終わりません。

出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方