登録販売者 参考書|第3章 主な医薬品とその作用

一般用検査薬

一般用検査薬の目的と範囲

一般用検査薬は、一般の生活者が自ら用いて健康状態を把握し、速やかな受診につなげ、疾病の早期発見に役立てるためのものです。専門的診断におきかわるものではありません。

検体は、尿、糞便、鼻汁、唾液、涙液など、採血や穿刺などの侵襲を伴わずに採取できるものが原則です。

悪性腫瘍、心筋梗塞、遺伝性疾患など、重大な疾患の診断に関係するものは一般用検査薬の対象外です。販売時には、専門的診断に代わるものではないこと、使い方、保管、採取時間、妨害物質、性能、判定方法を説明し、必要に応じて受診を勧めます。

一般用検査薬は「診断する薬」ではなく、健康状態を把握して受診につなげる検査薬です。

検出感度と偽陰性・偽陽性

検査薬は対象物質を特異的に検出するよう設計されていますが、対象物質があっても濃度が低すぎれば反応しません。検出反応が起こるための最低限の濃度を、検出感度または検出限界といいます。

用語状態
偽陰性対象物質が存在するのに、検出感度以下である場合や妨害物質の影響などにより陰性となる
偽陽性対象物質が存在しないのに、対象外の物質との非特異的な反応で陽性となる

生体から採取した検体には、予期しない妨害物質や構造のよく似た物質が混在することがあります。このため、偽陰性・偽陽性を完全に排除することは困難です。

検査薬を高温になる場所に放置したり、冷蔵庫内に保管したりすると、設計どおりの検出感度を発揮できなくなるおそれがあります。

存在するのに陰性が偽陰性、存在しないのに陽性が偽陽性です。

尿糖と尿タンパクの採尿条件

尿糖検査と尿タンパク検査では、採尿するタイミングが異なります。ここは両者を入れ替えないようにします。

検査採尿の基本
尿糖食後1~2時間等、検査薬の使用方法に従って採尿する
尿タンパク原則として早朝尿(起床直後の尿)を用い、激しい運動の直後は避ける
尿糖・尿タンパク同時検査早朝尿を用い、尿糖が検出されたときは食後の尿で改めて検査する

採尿では、出始めの尿ではなく中間尿を用いるのが望ましいとされています。出始めの尿には、尿道や外陰部などに付着した細菌や分泌物が混入することがあるためです。

尿糖は食後1~2時間等、尿タンパクは早朝尿・運動直後を避けます。

尿検査を狂わせる要因

尿糖・尿タンパク検査では、採尿方法や検査薬の扱いによって結果が変わることがあります。清浄な容器を使い、採尿後はなるべく速やかに検査します。尿を放置すると、雑菌の繁殖などにより尿中成分の分解が進むためです。

要因正しい扱い・影響
容器糖分やタンパク質が付着した容器を避け、清浄な容器を使う
検出部分直接手で触れると正確な結果が得られなくなることがある
尿への浸漬長時間浸すと検出成分が溶け出し、正確な結果が得られなくなることがある
尿の性状通常は弱酸性。食事などで中性~弱アルカリ性に傾くと正確な結果が得られなくなることがある
医薬品医療用医薬品だけでなく一般用医薬品にも結果へ影響する成分がある

医療用医薬品や一般用医薬品を使用している場合には、医師等または薬剤師に相談するよう説明します。

尿糖・尿タンパク検査は、尿中の糖やタンパク質の有無を調べるものです。陽性でも、それだけで疾患の有無や種類を確定することはできません。陽性なら早期に医師の診断を受け、陰性でも症状がある場合は再検査または受診が必要です。

尿は通常弱酸性。中性~弱アルカリ性への変化や医薬品も検査結果に影響します。

妊娠検査薬はhCGを調べる

妊娠が成立すると、胎児を取り巻く絨毛細胞からヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)が分泌され、やがて尿中にも現れます。妊娠検査薬は、尿中のhCGの有無を調べるものです。

通常、妊娠が成立してから4週目前後の尿中hCG濃度を検出感度としています。一般的な妊娠検査薬は、月経予定日が過ぎて概ね1週目以降の検査が推奨されています。

検体には、hCGを検出しやすい早朝尿(起床直後の尿)が向いています。ただし、尿が濃すぎるとかえって正確な結果が得られないことがあります。採尿後の尿は放置せず、なるべく速やかに検査します。

妊娠検査薬は尿中hCGを調べ、一般には月経予定日から概ね1週後以降に使います。

妊娠検査の誤判定と受診

妊娠検査薬の反応には抗体や酵素が用いられるため、温度の影響を受けます。検査場所の室温が極端に高い、または低い場合には、正確な結果が得られないことがあります。

要因検査結果への影響
検査時期が早すぎる妊娠していても尿中hCGが検出感度に達せず、偽陰性となることがある
高濃度のタンパク尿・糖尿非特異的な反応により偽陽性を示すことがある
尿を放置する雑菌の繁殖などで尿中成分が分解され、結果に影響することがある
極端な室温反応が温度の影響を受け、正確な結果が得られないことがある

妊娠検査薬は妊娠の早期判定を補助するものであり、陽性という結果だけで妊娠を確定することはできません。正常な妊娠かどうかも判別できないため、早期に医師の診断を受けます。

陰性でも月経の遅れが著しい場合は、実際には妊娠している偽陰性や、続発性無月経などの可能性があるため、医療機関を受診して専門医に相談します。

妊娠検査薬は補助検査です。陽性でも確定診断にはならず、陰性でも著しい月経遅延なら受診します。

本番の形で解いてみる

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

一般用検査薬に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

  • a 一般用検査薬は、一般の生活者が健康状態を把握し、速やかな受診につなげることで疾病を早期発見するためのものである。
  • b 検出反応が起こるための最低限の濃度を、検出感度又は検出限界という。
  • c 検体中に対象物質が存在しないにもかかわらず、非特異的な反応によって陽性となることを偽陰性という。
  • d 悪性腫瘍や心筋梗塞の診断に関係する検査も、一般用検査薬の対象に含まれる。
  1. a正 b正 c誤 d誤
  2. a正 b誤 c正 d誤
  3. a誤 b正 c誤 d正
  4. a正 b誤 c誤 d正
  5. a誤 b正 c正 d誤
答えと解説を見る

正解: a正 b正 c誤 d誤

a、bは正しい記述です。cは誤りで、対象物質が存在しないのに非特異的反応で陽性となるのは偽陽性です。偽陰性は、対象物質が存在するのに陰性となる場合です。dも誤りで、悪性腫瘍や心筋梗塞など重大な疾患の診断に関係するものは一般用検査薬の対象外です。まちがえやすい点:偽陰性と偽陽性では、「対象物質が存在するか」と「検査結果が陽性か」を別々に確認します。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

尿糖・尿タンパク検査薬及び妊娠検査薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

  • a 尿タンパク検査では、原則として早朝尿を用い、激しい運動の直後は避ける。
  • b 尿糖検査では、原則として早朝尿のみを検体とする。
  • c 妊娠検査薬は、尿中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)の有無を調べる。
  • d 一般的な妊娠検査薬は、月経予定日が過ぎた直後からの検査が推奨されている。
  1. aとb
  2. aとc
  3. aとd
  4. bとc
  5. cとd
答えと解説を見る

正解: aとc

正しいのはaとcです。尿タンパク検査は原則として早朝尿を用い、激しい運動の直後を避けます。尿糖検査は食後1~2時間等、使用方法に従って採尿します。妊娠検査薬は尿中hCGを調べ、一般的には月経予定日が過ぎて概ね1週目以降の検査が推奨されます。まちがえやすい点:早朝尿は尿タンパク検査と妊娠検査で登場しますが、尿糖検査の基本は食後1~2時間等です。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

一般用検査薬について購入者から相談を受けた。次の説明のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 「尿糖検査は原則として起床直後の尿を使い、尿タンパク検査は食後1~2時間の尿を使います」
  2. 「妊娠検査薬は尿中hCGではなく、尿中エストラジオールの有無を調べます」
  3. 「妊娠検査薬で陽性なら、その結果だけで妊娠が成立していると確定できます」
  4. 「尿タンパク検査では原則として早朝尿を用い、激しい運動の直後を避けます。妊娠検査薬は月経予定日が過ぎて概ね1週目以降の検査が推奨されます」
  5. 「尿糖・尿タンパク検査では、通常の尿は弱アルカリ性なので、中性~弱酸性に傾くと正確な結果が得られなくなることがあります」
答えと解説を見る

正解: 「尿タンパク検査では原則として早朝尿を用い、激しい運動の直後を避けます。妊娠検査薬は月経予定日が過ぎて概ね1週目以降の検査が推奨されます」

尿タンパク検査は原則として早朝尿を用い、激しい運動の直後を避けます。また、一般的な妊娠検査薬は月経予定日が過ぎて概ね1週目以降の検査が推奨されます。尿糖検査は食後1~2時間等に採尿し、妊娠検査薬は尿中hCGを調べます。陽性だけで妊娠を確定することはできません。また、通常の尿は弱酸性で、食事などの影響で中性~弱アルカリ性に傾くと結果へ影響することがあります。まちがえやすい点:尿糖と尿タンパクの採尿時期、弱酸性と弱アルカリ性は入れ替えられやすい組合せです。

出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方