登録販売者 参考書|第5章 医薬品の適正使用・安全対策

「相談すること」と対象成分

「相談すること」は誰を示すか

「相談すること」には、その一般用医薬品を使う前に、医師、薬剤師又は登録販売者への相談が必要となる対象者が示されます。

アレルギーについては、「薬によりアレルギー症状や喘息を起こしたことがある人」の対象として、黄色4号(タートラジン)は喘息誘発のおそれ、ガジュツ末・真昆布末を含む製剤はまれにアナフィラキシーを起こすことがあるため記載されます。

「相談すること」は、使う前に医師、薬剤師又は登録販売者への相談が必要な対象者を示します。

症状から判断する対象成分

「次の症状がある人」は、症状と成分・薬効群の組合せを対応させて覚えます。似た症状への入れ替えに注意します。

症状・状態主な成分・薬効群等理由
高熱かぜ薬、鎮咳去痰薬、鼻炎用内服薬、小児五疳薬かぜ以外のウイルス性の感染症その他の重篤な疾患の可能性があるため
けいれんピペラジンリン酸塩水和物等のピペラジンを含む成分けいれんを起こしたことがある人では発作を誘発する可能性があるため
むくみグリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸、カンゾウ等のグリチルリチン酸を含む成分偽アルドステロン症の発症のおそれが特にあるため
はげしい下痢小児五疳薬大腸炎等の可能性があるため
急性のはげしい下痢又は腹痛・腹部膨満感・吐きけ等を伴う下痢タンニン酸アルブミン、次硝酸ビスマス、次没食子酸ビスマス等の収斂成分を主体とする止瀉薬、ロペラミド塩酸塩下痢を止めるとかえって症状を悪化させることがあるため
発熱を伴う下痢、血便又は粘液便の続く人ロペラミド塩酸塩下痢を止めるとかえって症状を悪化させることがあるため
排尿困難抗ヒスタミン成分尿の貯留などを招くおそれがあるため
排尿困難ジフェニドール塩酸塩、マオウを含む漢方処方製剤、抗コリン成分(対象成分として示される)

症状問題では「小児五疳薬―はげしい下痢」「抗コリン成分等―排尿困難」を対応させます。

交感神経系に関わる基礎疾患

メチルエフェドリン塩酸塩、トリメトキノール塩酸塩水和物、フェニレフリン塩酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩等のアドレナリン作動成分は、複数の基礎疾患で「相談すること」の対象になります。

基礎疾患等主な対象理由
甲状腺機能障害・甲状腺機能亢進症アドレナリン作動成分、アドレナリン作用成分が配合された鼻炎用点鼻薬交感神経系を興奮させ、症状を悪化させるおそれがあるため
高血圧アドレナリン作動成分、アドレナリン作用成分が配合された鼻炎用点鼻薬交感神経興奮作用により血圧を上昇させ、高血圧を悪化させるおそれがあるため
心臓病アドレナリン作動成分、アドレナリン作用成分が配合された鼻炎用点鼻薬、ジプロフィリン心臓に負担をかけ、心臓病を悪化させるおそれがあるため
糖尿病アドレナリン作動成分、アドレナリン作用成分が配合された鼻炎用点鼻薬肝臓でグリコーゲンを分解して血糖値を上昇させ、糖尿病を悪化させるおそれがあるため

ジプロフィリンは、甲状腺機能障害・甲状腺機能亢進症では中枢神経系の興奮作用によって症状の悪化を招くおそれがあり、てんかんでは発作を引き起こすおそれがあります。

一方、沈降炭酸カルシウムなどのカルシウムを含む対象成分は、甲状腺ホルモンの吸収を阻害するおそれがあるため、甲状腺機能障害・甲状腺機能亢進症で相談対象となります。

高齢者については、メチルエフェドリン塩酸塩、トリメトキノール塩酸塩水和物、メトキシフェナミン塩酸塩等のアドレナリン作動成分又はマオウが配合された内服薬などは、心悸亢進、血圧上昇、糖代謝促進を起こしやすいため「相談すること」の対象です。

アドレナリン作動成分は、甲状腺機能障害・高血圧・心臓病・糖尿病との対応をまとめて押さえます。

胃・肝臓・腎臓との対応

解熱鎮痛成分や胃腸薬成分は、基礎疾患との対応が細かく問われます。成分だけでなく、相談が必要となる理由まで区別します。

基礎疾患等主な成分・薬効群等理由
胃・十二指腸潰瘍アスピリン、アスピリンアルミニウム、エテンザミド、イソプロピルアンチピリン、アセトアミノフェン、サリチルアミド胃・十二指腸潰瘍を悪化させるおそれがあるため
胃・十二指腸潰瘍次硝酸ビスマス、次没食子酸ビスマス等のビスマスを含む成分ビスマスの吸収が高まり、血中への移行量が多くなって精神神経障害等が発現するおそれがあるため
肝臓病アスピリン、アスピリンアルミニウム、エテンザミド、イブプロフェン、イソプロピルアンチピリン、アセトアミノフェン肝機能障害を悪化させるおそれがあるため
肝臓病サントニン、ピペラジンリン酸塩等のピペラジンを含む成分肝臓での代謝が円滑に行われず、体内に蓄積して副作用が現れやすくなるため
肝臓病小柴胡湯間質性肺炎の副作用が現れやすいため
肝臓病ガジュツ末・真昆布末を含む製剤肝機能障害を起こすことがあるため
腎臓病スクラルファート、水酸化アルミニウムゲル、合成ヒドロタルサイト、アルジオキサ等のアルミニウムを含む成分が配合された胃腸薬等過剰のアルミニウムイオンが体内に貯留し、アルミニウム脳症、アルミニウム骨症を生じるおそれがあるため
腎臓病制酸成分を主体とする胃腸薬ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等の無機塩類の排泄が遅れたり、体内貯留が現れやすいため
腎臓病酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム等、硫酸ナトリウムが配合された瀉下薬無機塩類の排泄が遅れたり、体内貯留が現れやすいため

エテンザミドは胃・十二指腸潰瘍、肝臓病、腎臓病との組合せを区別せず、いずれも相談対象として確認します。

ビスマス―胃・十二指腸潰瘍、アルミニウム含有胃腸薬―腎臓病の理由まで区別します。

心臓病・緑内障・血栓の対応

心臓病、緑内障、血栓は、異なる薬効群から複数の成分が対象になるため、成分名の入れ替えに注意します。

基礎疾患等主な成分・薬効群等理由
心臓病スコポラミン臭化水素酸塩水和物、メチルオクタトロピン臭化物、イソプロパミドヨウ化物等の抗コリン成分(対象成分として示される)
心臓病硫酸ナトリウム血液中の電解質のバランスが損なわれ、心臓の負担が増加するおそれがあるため
心臓病グリセリンが配合された浣腸薬排便直後に急激な血圧低下等が現れ、心臓病を悪化させるおそれがあるため
緑内障パパベリン塩酸塩眼圧が上昇し、緑内障を悪化させるおそれがあるため
緑内障抗コリン成分が配合された鼻炎用内服薬・点鼻薬房水流出路が狭くなり、眼圧が上昇するおそれがあるため
緑内障ペントキシベリンクエン酸塩、抗コリン成分、ジフェニドール塩酸塩、抗ヒスタミン成分(対象成分として示される)
血栓のある人、血栓症を起こすおそれのある人トラネキサム酸(内服)、セトラキサート塩酸塩生じた血栓が分解されにくくなるため

硫酸ナトリウムは心臓病、酸化マグネシウムなどのマグネシウムを含む瀉下薬は腎臓病という対応も区別します。

緑内障はパパベリン・抗コリン成分・ペントキシベリン等、血栓はトラネキサム酸(内服)です。

授乳中の人などの対象

「相談すること」は基礎疾患だけではありません。授乳中の人、高齢者、小児などにも対象成分が定められています。

対象者主な成分・薬効群等理由・ポイント
授乳中の人ロペラミド塩酸塩を含む止瀉薬乳汁中に移行する可能性がある成分等として対象
授乳中の人メチルエフェドリン塩酸塩、プソイドエフェドリン塩酸塩、ペントキシベリンクエン酸塩、アスピリン、イブプロフェン等乳汁中に移行する可能性がある成分等として対象
高齢者解熱鎮痛薬、鼻炎用内服薬効き目が強すぎたり、副作用が現れやすいため
高齢者アドレナリン作動成分又はマオウが配合された内服薬等心悸亢進、血圧上昇、糖代謝促進を起こしやすいため
高齢者抗コリン成分又はロートエキスが配合された内服薬等緑内障の悪化、口渇、排尿困難又は便秘の副作用が現れやすいため
発熱している小児、けいれんを起こしたことがある小児テオフィリン、アミノフィリン水和物けいれんを誘発するおそれがあるため
水痘又はインフルエンザにかかっている、又はその疑いのある15歳未満サリチルアミド、エテンザミドアスピリンでライ症候群との関連性が示唆されており、原則として使用を避ける必要があるため

ロペラミド塩酸塩を含む止瀉薬では、授乳中の人は「相談すること」に該当します。

ロペラミド塩酸塩では、授乳中の人と、特定の下痢症状の相談対象を混同しないようにします。

本番の形で解いてみる

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

一般用医薬品の「相談すること」に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

  • a エテンザミドが配合された医薬品では、肝臓病の診断を受けた人が相談対象となる。
  • b メチルエフェドリン塩酸塩では、糖尿病の診断を受けた人が相談対象となる。
  • c サントニンでは、甲状腺機能亢進症の診断を受けた人が相談対象となる。
  • d 小児五疳薬では、はげしい下痢の症状がある人が相談対象となる。
  1. a正 b誤 c正 d誤
  2. a正 b正 c誤 d正
  3. a誤 b正 c誤 d正
  4. a正 b誤 c誤 d正
  5. a誤 b正 c正 d誤
答えと解説を見る

正解: a正 b正 c誤 d正

a・b・dは正しい記述です。エテンザミドは肝臓病、メチルエフェドリン塩酸塩は糖尿病、小児五疳薬ははげしい下痢が相談対象です。cは誤りです。サントニンは肝臓病との対応であり、甲状腺機能亢進症との対応ではありません。まちがえやすい点:アドレナリン作動成分と甲状腺機能障害の対応を、他の成分へ広げないようにします。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

  • a トラネキサム酸(内服)は、生じた血栓が分解されにくくなるため、血栓のある人や血栓症を起こすおそれのある人が相談対象となる。
  • b パパベリン塩酸塩は、糖尿病の診断を受けた人が相談対象となる。
  • c スクラルファートが配合された胃腸薬は、腎臓病の診断を受けた人が相談対象となる。
  • d 硫酸ナトリウムは、甲状腺機能障害の診断を受けた人が相談対象となる。
  1. aとb
  2. aとc
  3. aとd
  4. bとc
  5. cとd
答えと解説を見る

正解: aとc

正しいのはaとcです。トラネキサム酸(内服)は血栓が分解されにくくなるため、血栓のある人等が相談対象です。スクラルファートなどのアルミニウムを含む胃腸薬は、腎臓病ではアルミニウムが体内に貯留するおそれがあるため相談対象です。bは誤りで、パパベリン塩酸塩は緑内障との対応です。dは誤りで、硫酸ナトリウムは心臓病や、瀉下薬として腎臓病との対応があります。まちがえやすい点:硫酸ナトリウムをカルシウム成分と取り違えて、甲状腺機能障害に結び付けないようにします。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

ある一般用医薬品の制酸薬には、水酸化マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、沈降炭酸カルシウム、アルジオキサ、炭酸水素ナトリウムが配合されています。この医薬品の「相談すること」の対象として、最も適切なものはどれか。

  1. 糖尿病。沈降炭酸カルシウムが血糖値を上昇させるおそれがあるため。
  2. 腎臓病。制酸成分に含まれる無機塩類の排泄が遅れたり、アルミニウムを含む成分が体内に貯留したりするおそれがあるため。
  3. 高血圧。合成ヒドロタルサイトが交感神経を興奮させ、血圧を上昇させるおそれがあるため。
  4. てんかん。水酸化マグネシウムが中枢神経系を興奮させ、発作を引き起こすおそれがあるため。
  5. 肝臓病。アルジオキサが肝臓で代謝されず体内に蓄積するおそれがあるため。
答えと解説を見る

正解: 腎臓病。制酸成分に含まれる無機塩類の排泄が遅れたり、アルミニウムを含む成分が体内に貯留したりするおそれがあるため。

腎臓病が適切です。制酸成分を主体とする胃腸薬では、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等の無機塩類の排泄が遅れたり体内貯留が現れやすくなります。また、合成ヒドロタルサイトやアルジオキサ等のアルミニウムを含む成分では、過剰のアルミニウムイオンが体内に貯留するおそれがあります。他の選択肢は、それぞれ別の成分に示される理由を入れ替えています。まちがえやすい点:沈降炭酸カルシウムは甲状腺機能障害等との対応もありますが、この成分表では腎臓病を判断できる成分が複数含まれています。

出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方