基本情報技術者 学習ページ|科目A・システム戦略

情報システム戦略を進める

情報システム戦略では、経営や業務の方向性と情報システムの将来像を結び付けます。現状と目標像を整理し、指標で実行状況を確認する考え方を押さえます。

戦略策定の流れ

情報システム戦略は、経営や業務の方向性を踏まえ、情報システムの将来像と実現の考え方を定めるものです。策定では、対象業務を理解し、現行業務と現行情報システムを調査・分析し、IT動向も確認します。その上で基本戦略を定め、業務の新しい全体像と投資対象を選び、活動・成果指標を設定して承認につなげます。現状調査を飛ばして将来像だけを決めるのではない点を押さえます。

現状分析から将来像・指標・承認へ進める。

EAで全体を整理

エンタープライズアーキテクチャは、組織全体の業務や情報システムを体系的に整理し、全体最適を考えるための枠組みです。現状を表すAs-isモデルと、目標とするTo-beモデルを対比して改善の方向を明らかにします。EAでは、ビジネス、データ、アプリケーション、テクノロジの四つのアーキテクチャで業務とシステムを体系化します。ビジネスアーキテクチャは組織の目標や業務を、データアーキテクチャは業務に必要なデータの構成や関連を、アプリケーションアーキテクチャは業務とアプリケーションの関係を、テクノロジアーキテクチャはハードウェアやソフトウェア、ネットワークなどの技術を体系化します。部分最適ではなく全体の整合を意識することが要点です。

As-isとTo-beを比べ、全体最適を考える。

複数施策を束ねる

プログラムマネジメントでは、相互に関係する複数の取組をまとめて扱い、個別の取組だけでは得にくい全体としての成果を狙います。PMOはプログラムマネジメントを支援する組織の例です。情報システム戦略の実行では、複数の計画やプロジェクトが同時に動くことがあるため、目的や優先順位、進捗などを横断的に確認する視点が必要になります。一つの作業だけを管理する考え方と取り違えないようにします。

関連する複数の取組を横断して管理する。

枠組みと指標

情報システム戦略の策定や管理では、COBIT、ITIL、システム管理基準、共通フレームなどの枠組みや基準が参照されます。また、目標達成の度合いを見るKGIと、目標に向かう活動や業績の状況を見るKPIを使い分けます。指標は設定するだけでなく、戦略の目的と対応させて継続的に確認できる形にします。目標そのものの指標と、その達成過程を見る指標を混同しないことが大切です。

KGIは目標達成、KPIは達成過程を見る指標。

品質を統制する

品質統制では、情報システムに関する標準への準拠性を確保し、その遵守状況を継続的にモニタリングして品質を確保します。品質統制フレームワークや管理プロセスを用い、確認方法や判断基準をそろえることで、担当ごとのばらつきを抑えます。個別の作業結果だけを見るのではなく、品質をどのように確保し、問題が見つかったときにどう是正するかという管理の流れを持つことが重要です。品質統制は単なる最終検査だけを意味しない点に注意します。

品質は基準と管理プロセスで継続的に統制する。

実行を監視する

情報システム戦略実行マネジメントでは、戦略を実行した後の状況を継続して確認します。あらかじめ定めたモニタリング指標で実績を把握し、計画や目標との差を差異分析で確認します。差異の原因や影響を見極め、必要に応じてリスクへの対応や計画の見直しにつなげます。測定して終わるのではなく、差異を対応へ結び付けることがポイントです。

指標で監視し、差異を分析して対応につなげる。

本番の形で解いてみる

科目Aの形: 四肢択一(表を読む)(このページのために作った問題)

情報システム戦略の策定に関する次の活動P〜Rの組合せとして、最も適切なものはどれか。

活動内容
P現行業務の流れや課題を調査する
Q目標とする業務の全体像を定める
R戦略展開後の活動・成果を測る指標を定める
  1. P=To-beの策定、Q=As-isの調査、R=活動・成果指標の設定
  2. P=As-isの調査、Q=To-beの策定、R=活動・成果指標の設定
  3. P=As-isの調査、Q=活動・成果指標の設定、R=To-beの策定
  4. P=活動・成果指標の設定、Q=To-beの策定、R=As-isの調査
答えと解説を見る

正解: P=As-isの調査、Q=To-beの策定、R=活動・成果指標の設定

現行業務を調べるPはAs-isの調査、目標とする業務像を定めるQはTo-beの策定です。Rは戦略を展開した後の状況を測るための活動・成果指標の設定に当たります。

まちがえやすい点: As-isは現状、To-beは目標像であり、指標設定は両者とは別の活動。

科目Aの形: 四肢択一(このページのために作った問題)

情報システム戦略の目標達成状況を測る指標と、その達成に向けた活動や業績の状況を測る指標の組合せとして、最も適切なものはどれか。

  1. 目標達成状況=KPI、活動や業績の状況=KGI
  2. 目標達成状況=KPI、活動や業績の状況=ITIL
  3. 目標達成状況=COBIT、活動や業績の状況=KGI
  4. 目標達成状況=KGI、活動や業績の状況=KPI
答えと解説を見る

正解: 目標達成状況=KGI、活動や業績の状況=KPI

KGIは重要目標達成指標で、目標がどの程度達成されたかを見るために用います。KPIは重要業績評価指標で、目標達成に向かう活動や業績の状況を測ります。

まちがえやすい点: KGIとKPIは似た略語だが、目標そのものと達成過程を見る役割が異なる。

科目Aの形: 四肢択一(このページのために作った問題)

情報システム戦略の実行後、設定した指標の実績が目標値を下回っていた。次に行う対応として、最も適切なものはどれか。

  1. 差異の原因と影響を分析し、必要な対応や計画見直しにつなげる
  2. 差異の原因を分析する前に、指標の定義を変更して実績が目標に届くようにする
  3. 差異が出た指標を報告対象から外し、残りの指標を中心に評価する
  4. 実績の確認を次回の戦略策定時まで先送りし、それまでは対応を待つ
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正解: 差異の原因と影響を分析し、必要な対応や計画見直しにつなげる

戦略実行マネジメントでは、モニタリング指標で実績を把握し、目標との差異を分析します。その原因や影響を確認した上で、リスク対応や計画の見直しへ結び付けます。

まちがえやすい点: 差異を数値上だけ消すのではなく、原因を分析して対応へつなげる。

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このページの内容は、IPA「基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2」(2026年1月公表)と試験要綱Ver.5.6の範囲にもとづきます(2026年10月確認)。IPAは2027年度春ごろから新しい試験制度に移る予定です。