FP3級 学習ページ|CH02 リスク管理

損害保険の仕組みと火災保険・地震保険

損害保険は実際の損害をてん補する

損害保険では、保険事故によって生じた実際の損害をてん補することが基本です。保険の目的物の価額を保険価額、契約で定めた保険給付の限度額を保険金額といいます。

保険金額が保険価額を超える超過保険でも、損害を超えて利益を得られる仕組みではありません。保険金額が保険価額より少ない一部保険では、保険法の原則として、保険金額の保険価額に対する割合に応じて保険給付額を計算します(比例てん補)。

保険給付額 = 損害額 × 保険金額 ÷ 保険価額

この割合の決め方は約款で変えられます。火災保険では、保険金額が保険価額の80%以上なら損害額を保険金額まで全額支払い、80%未満なら次の式で比例てん補する方式があります。

保険金 = 損害額 × 保険金額 ÷(保険価額 × 80%)

一部保険で保険金額と保険価額の割合に応じて保険金を計算する考え方を、比例てん補(比例補償)といいます。実際に生じた損害を限度として保険金を支払う考え方を実損てん補といい、損害を超えて利益を得ることを目的とするものではありません。再調達価額(新価)は、損害を受けた物と同等の物を新たに取得するために必要な金額です。

保険価額2,500万円、保険金額1,500万円、損害額800万円の例で、保険価額の80パーセントである2,000万円と保険金額を棒で比較し、80パーセント未満の比例てん補により保険金600万円を計算する。80パーセント以上の場合との違いも示す。こう聞かれたら: 保険価額の80パーセント未満なら比例てん補の式、80パーセント以上なら損害額を保険金額まで全額、保険金額が保険価額より少ないのは一部保険、多いのは超過保険(損害より多くは出ない)。

超過=保険金額>保険価額、一部=保険金額<保険価額

失火・自動車事故・製造物の賠償責任

失火責任法により、失火者に重大な過失がない場合、民法上の不法行為による損害賠償責任は原則として負いません。ただし、賃借人が借家を焼失させた場合の家主に対する責任は、賃貸借契約上の債務不履行責任が問題となるため、軽過失だから当然に免責されるわけではありません。一方、軽過失による失火で隣家を焼失させた場合は、原則として失火責任法により不法行為責任を負いません。

自動車損害賠償保障法では、自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命・身体を害した場合、一定の免責要件を満たさない限り損害賠償責任を負います。

製造物責任法では、製造物の欠陥により生命・身体または他の財産に損害が生じた場合、被害者は製造業者等の過失そのものではなく、製造物の欠陥などを立証して損害賠償を求めます。

失火:家主への契約責任と隣家への不法行為責任を分ける

火災保険と地震保険の境界

一般的な火災保険では、火災などのほか契約内容に応じた損害を補償しますが、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失は、通常の火災保険では補償されません。これらに備えるのが地震保険です。

地震保険の対象は居住用の建物と家財で、事業専用の建物や現金・有価証券などは対象になりません。地震保険は単独では契約できず、火災保険に付帯します。地震保険金額は火災保険金額の30%以上50%以下の範囲で設定し、上限は建物5,000万円、家財1,000万円です。

損害の程度は全損・大半損・小半損・一部損に区分され、保険金はそれぞれ地震保険金額の100%・60%・30%・5%を基本として支払われます。

火災保険では建物と家財は別の保険の対象であり、建物だけを契約しても家財が自動的に補償されるわけではありません。

地震保険の金額の決め方。例題: 建物の火災保険金額は3,000万円。付けられる地震保険金額は、いくらからいくらまで? 図: 火災保険金額3,000万円の棒に対し、30%(900万円)から50%(1,500万円)の範囲を示す。式: 3,000万×30〜50%=900万〜1,500万円。上限は建物5,000万円・家財1,000万円(火災保険1億2,000万円なら50%は6,000万円だが上限5,000万円)。損害の区分は全損100%・大半損60%・小半損30%・一部損5%で、地震保険金額1,500万円の大半損なら900万円。こう聞かれたら: 地震による火災は火災保険だけでは出ない、地震保険だけでは契約できない(火災保険に付帯)、事業用の建物・現金・有価証券は対象外、火災保険金額の30〜50%。

地震保険=火災保険の30〜50%、上限は建物5,000万・家財1,000万

本番の形で解いてみる

学科・○×式(日本FP協会 2026年5月の公開問題 学科問9と同じ形)

地震保険は、火災保険とは別に単独で契約することができる。

正しければ○、誤っていれば×。

答えと解説を見る

正解: ×

地震保険は単独では契約できず、火災保険に付帯して契約する。まちがえやすい点: 火災保険とは別の補償制度だが、契約自体は火災保険への付帯が必要である。

4択の確認問題

損害保険の基本的な仕組みに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 損害保険では、保険金額が保険価額を超えた部分(超過保険)については、超過部分の保険金も支払われる。
  2. 実損払いの損害保険では、実際の損害額が保険金額の範囲内で支払われる。
  3. 損害保険の保険料は予定危険発生率のみによって決まる。
  4. 損害保険において、一部保険の場合は損害額の全額が支払われる。
答えと解説を見る

正解: 実損払いの損害保険では、実際の損害額が保険金額の範囲内で支払われる。

損害保険では実損填補が原則で、実際の損害額を限度として保険金が支払われる。超過保険の場合でも保険価額を超える部分について追加の保険金が支払われることはない。一部保険では、契約内容に応じて比例てん補となる場合がある。

4択の確認問題

地震保険に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 地震保険は単独で加入することができ、火災保険とセットで加入する必要はない。
  2. 地震保険の保険料は保険会社によって異なり、割引制度はない。
  3. 地震保険の保険金の支払いは、損害程度が全損・大半損・小半損・一部損の4区分で判定される。
  4. 地震保険の保険金額は、主契約の火災保険の保険金額と同額まで設定することができる。
答えと解説を見る

正解: 地震保険の保険金の支払いは、損害程度が全損・大半損・小半損・一部損の4区分で判定される。

地震保険の損害認定は、全損・大半損・小半損・一部損の4区分。地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%〜50%の範囲内で設定し、建物5,000万円・家財1,000万円が上限。地震保険は単独では契約できず、火災保険に付帯して契約する。保険料率は保険会社によって自由に異なるものではないが、建物構造や所在地等によって異なり、一定の割引制度もある。

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どこから読むかはFP3の勉強の順番(過去の傾向から)にまとめています。試験に出る数字は勉強の順番のページの一覧にまとめています。このページの数字・制度は、2026年4月1日時点の法令などにもとづきます(2026年10月確認)。