FP3級 学習ページ|CH06 相続・事業承継
株式などの評価と相続対策
上場株式は4つの価額を比べる
上場株式は、原則として課税時期の最終価格で評価します。ただし、その価格が次の3つの月平均額のうち最も低い額を上回るときは、その最も低い額で評価します。
①課税時期の属する月の毎日の最終価格の月平均額
②その前月の月平均額
③その前々月の月平均額
つまり、相続や通常の贈与では「課税時期の最終価格+3つの月平均額」の4つのうち最も低い額になります。
上場株式=当日・当月平均・前月平均・前々月平均の最安値
相続では死亡日が課税時期
相続によって上場株式を取得した場合の課税時期は、被相続人の死亡の日です。贈与の場合は、贈与により財産を取得した日です。
死亡日の最終価格が一番安いとは限らないため、資料問題では4つの候補をすべて比較します。
相続の課税時期=死亡日。4候補を全部見る
取引相場のない株式の評価
非上場会社などの取引相場のない株式は、会社の規模や株主の立場によって、類似業種比準方式・純資産価額方式などで評価し、同族株主以外の少数株主は原則として配当還元方式で評価します。
取引相場のない株式は、会社規模や株主の立場などによって用いる評価方式が異なります。非上場会社の自社株も取引相場のない株式として、会社規模や株主の立場などに応じた方法で評価します。株式等保有特定会社は、取引相場のない株式を評価する際の「特定の評価会社」の一つで、一般の会社とは評価方法が異なります。取引相場のない株式では、会社規模を判定し、その区分などに応じて評価方式を決めます。類似業種比準価額は、類似する上場会社の株価などを基に取引相場のない株式を評価する方法で用いる価額です。土地保有特定会社は、取引相場のない株式を評価する際の「特定の評価会社」の一つで、一般の会社とは評価方法が異なります。
会社規模で類似業種・純資産、少数株主は配当還元
財産評価は課税時期の時価が原則
財産は、原則として課税時期(相続なら死亡時)の時価で評価します。預貯金は残高に既経過利子の手取額を加えるなど、財産ごとに定められた評価方法があります。
相続財産は原則として課税時期の時価で評価しますが、具体的な評価方法は財産の種類によって異なります。相続税・贈与税の財産評価では、国税庁の財産評価基本通達に定める評価方法が実務上の基準となります。
評価の基準は課税時期の時価。方法は財産ごとに違う
生命保険契約に関する権利は解約返戻金で評価
保険事故がまだ起きていない生命保険契約に関する権利は、原則として相続開始時に解約した場合の解約返戻金の額で評価します。払込保険料の合計や死亡保険金の額ではありません。
保険事故発生前の契約上の権利→解約返戻金
不動産の相続対策は評価額だけで考えない
不動産は、取引価格と相続税評価額が一致するとは限らないため、相続対策では評価額だけでなく、納税資金や遺産の分けやすさも合わせて考えます。
宅地の相続税評価には、主に路線価方式と倍率方式があります。路線価方式では、路線価を基礎に土地の形状などによる補正を行い、地積を掛けて評価します。
相続対策=評価額・納税資金・分けやすさをあわせて考える
生命保険は代償金や納税資金の準備に使える
生命保険は、分けにくい不動産などを補う代償金や納税資金の準備に活用できます。相続人が受け取る死亡保険金には、500万円×法定相続人の数の非課税限度額もあります。
生命保険=代償金・納税資金の準備に使いやすい
最近の改正(相続時精算課税・教育資金)
最近の改正として、2024年から相続時精算課税に年110万円の基礎控除が設けられ、教育資金の一括贈与は新たな信託等ができる期間が2026年3月31日で終了しました。
遺産分割前でも、各共同相続人は一定の範囲で単独で預貯金の払戻しを受けられる制度があります。遺産分割前に預貯金を一切引き出せないわけではありません。事業承継税制では、一定の要件を満たす後継者が非上場株式などを贈与・相続で取得した場合に、その贈与税・相続税の納税が猶予される制度があります。事業承継とは、経営者から後継者へ経営権や事業用資産、自社株式などを引き継ぐことです。親族内承継のほか、従業員や第三者への承継もあります。相続人がいない場合、被相続人と特別の縁故があった人は、一定の手続を経て家庭裁判所に相続財産の分与を請求できる場合があります。後継者がいない場合には、M&Aによって第三者へ事業を引き継ぐ方法もあります。M&Aは事業承継の一つの選択肢です。法定相続人がいない場合でも、相続財産が直ちに国庫へ帰属するわけではなく、相続財産清算人による清算などの手続が行われます。相続人の存在が明らかでない場合には、家庭裁判所が相続財産清算人を選任し、相続財産の管理・清算などを行わせることがあります。
精算課税110万円(2024年〜)・教育資金は新規終了
本番の形で解いてみる
学科・三答択一式(日本FP協会 2026年5月の公開問題 学科問58と同じ形)
相続開始時に保険事故が発生していない生命保険契約に関する権利は、原則として相続開始時の( )により評価する。
- 死亡保険金額
- 解約返戻金相当額
- 既払込保険料総額
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正解: 解約返戻金相当額
保険事故がまだ発生していない生命保険契約に関する権利は、原則として相続開始時の解約返戻金相当額により評価する。まちがえやすい点: 死亡保険金額や払込保険料の累計額で評価するわけではない。
4択の確認問題
被相続人が死亡した日に保有していた上場株式Xについて、死亡日の最終価格2,250円、死亡月の最終価格の月平均額2,300円、前月の月平均額2,180円、前々月の月平均額2,210円であった。1株当たりの相続税評価額として、最も適切なものはどれか。
- 2,250円
- 2,210円
- 2,180円
- 2,300円
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正解: 2,180円
上場株式は原則として課税時期の最終価格と、当月・前月・前々月の月平均額を比較し、最も低い価額で評価します。この場合は2,180円です。まちがえやすい点: 死亡日の終値だけで決めず、4つの候補をすべて比較します。
この内容を問題で確かめる
読んだところを、問題で思い出してみましょう。
5問を解く →どこから読むかはFP3の勉強の順番(過去の傾向から)にまとめています。試験に出る数字は勉強の順番のページの一覧にまとめています。このページの数字・制度は、2026年4月1日時点の法令などにもとづきます(2026年10月確認)。