ITパスポート 学習ページ|ストラテジ系・企業と法務

業務分析とデータ活用

業務上の問題を見つけ、データを根拠に改善するための基本を学びます。分析手法やグラフは、何を調べたいのかと結び付けて覚えると整理しやすくなります。

業務を調べる方法

業務改善の出発点は、現在の仕事がどのように行われているかを把握することです。担当者へのインタビューやアンケート、実際の作業現場を観察するフィールドワークなどを使って情報を集めます。

インタビューには質問項目をあらかじめ決める方法や、話の流れに応じて質問を追加する方法があります。目的に応じて複数の情報収集方法を使い分けることが大切です。

現状把握は、聞く・調べる・現場を見る

原因を分析する図

問題の原因を整理するときには、目的に合った図を選びます。特性要因図は、結果に影響する原因を枝分かれさせて整理する図で、魚の骨のような形からフィッシュボーンチャートとも呼ばれます。

一方、項目を件数などの大きい順に棒で並べ、累積割合を折れ線で示すのがパレート図です。少数の重要項目を見つけ、改善の優先順位を決める用途に向きます。

原因整理は特性要因図、重点化はパレート図

ABC分析と管理図

ABC分析は、売上高や在庫金額などの重要度が高い順に対象を並べ、A・B・Cなどのグループに分けて管理する方法です。すべてを同じように扱わず、重要度に応じて管理の力を変えます。

管理図は、時系列の測定値と管理限界を使って、工程が通常の変動範囲にあるかを確認する図です。パレート図は優先順位、管理図は異常の検出という違いを押さえます。

ABCは重要度分類、管理図は異常検出

作業日程とクリティカルパス

複数の作業の前後関係と所要時間を整理するときには、PERTやアローダイアグラムを使います。作業を順序関係に沿って配置することで、全体の日程を把握できます。

開始から終了までの経路のうち、所要時間が最も長く、遅れると全体の終了も遅れる経路をクリティカルパスといいます。短縮効果を得るにはクリティカルパス上の作業に注目するのが基本です。

全体日程を左右する最長経路がクリティカルパス

グラフを使い分ける

数値の大小を比べるなら棒グラフ、時間による変化を見るなら折れ線グラフ、二つの量の関係を見るなら散布図が適しています。値の分布を見るときにはヒストグラムや箱ひげ図も使われます。

グラフは見せ方によって印象が変わります。縦軸の範囲を不自然に狭めるなど、差を必要以上に大きく見せる表現に惑わされないようにします。

比較・推移・関係・分布でグラフを選ぶ

データの種類

数値として測れる売上額や時間などは量的データ、商品区分や回答カテゴリなどは質的データです。また、自ら調査して集めたデータを1次データ、既に他者が収集した統計などを2次データと考えます。

表の行と列のように形式が決まったものは構造化データ、文章・画像・音声など一定の表形式にしにくいものは非構造化データです。分析目的に応じて、必要な種類のデータを集めることが出発点です。

データは内容・入手方法・構造で分類できる

分析前の前処理

集めたデータをそのまま分析すると、表記揺れや欠損などによって結果がゆがむことがあります。同じ人物や企業の複数の表記を統合する名寄せや、欠損値・外れ値の確認などを行います。

画像や文章などに、学習や分析に使う正解情報や分類情報を付ける作業をアノテーションといいます。分析前にデータ品質を整える前処理が必要です。

分析の前に表記揺れ・欠損・外れ値を整える

標本とバイアス

対象全体を母集団といい、その一部を取り出して調べることを標本調査といいます。母集団の特徴を適切に推測するには、標本の選び方が重要です。

特定の人だけが回答しやすい調査では、結果が一方向に偏ることがあります。選択バイアスなどの統計的バイアスがあると、計算自体が正しくても結論が不適切になることがあります。

標本の選び方が悪いと分析結果も偏る

BIとデータマイニング

BIは、企業内のデータを集計・分析し、経営や業務の意思決定に役立てる考え方や仕組みです。そのために、分析しやすい形で大量のデータを蓄積するデータウェアハウスが使われることがあります。

大量のデータから有用な規則性や傾向を見つけることをデータマイニングといいます。データサイエンスでは分析技術だけでなく業務分野の知識も重要です。

データをため、分析し、意思決定に生かす

モデルとシミュレーション

現実の対象から必要な特徴を取り出して表現することをモデル化といいます。条件が決まれば結果も一意に決まる確定モデルと、確率的な要素を含む確率モデルがあります。

モデルを使って条件を変えながら結果を試す方法がシミュレーションです。実際に試すのが難しい状況でも、モデル上で複数案を比較できる点が利点です。

モデルで現実を単純化し、条件を変えて試す

在庫と発注の考え方

在庫管理では、在庫切れを防ぎながら保管費用や発注費用を抑える必要があります。一定量を発注する定量発注方式では、在庫量が決めた水準まで減ったら一定数量を発注します。

発注量を増やすと発注回数は減りますが、平均在庫は増えやすくなります。発注費用と在庫維持費用の両方を考えて発注量を決めることが基本です。

在庫は発注費用と保管費用のバランスで考える

発想を広げる方法

ブレーンストーミングは、参加者が自由にアイデアを出し合う方法です。発想段階では批判を避け、量を出し、他人の案に便乗して発展させることを重視します。

発言ではなく紙や電子的な記入で案を出す方法をブレーンライティングといいます。集めた情報を似たもの同士でまとめる親和図法は、意見や原因の整理に使えます。

発想時は評価よりアイデアを広げる

本番の形で解いてみる

表を読む問題(このページのために作った問題・本番と同じ四肢択一)

ある店舗で、返品理由を調べたところ次の結果になった。改善対象を件数の多い項目から絞り込みたいとき、最も適した手法はどれか。

返品理由件数
サイズ違い48
色の違い25
配送遅延14
その他13
  1. 特性要因図
  2. パレート図
  3. 散布図
  4. 管理図
答えと解説を見る

正解: パレート図

件数の大きい順に並べ、累積割合を使って重点項目を判断するにはパレート図が適しています。改善の優先順位付けに向く手法です。

まちがえやすい点: 特性要因図は原因の分類整理に使う。

基本の問題(このページのために作った問題・本番と同じ四肢択一)

顧客データを分析する前処理として、同一人物の「山田太郎」と「山田 太郎」という二つの登録を一つにまとめる作業を表す用語はどれか。

  1. データクレンジング
  2. 名寄せ
  3. アノテーション
  4. データマスキング
答えと解説を見る

正解: 名寄せ

表記揺れなどを照合して同一人物や同一企業の重複レコードを統合する処理が名寄せです。データクレンジングは誤記や欠損などを含めてデータ品質を整える、より広い処理を指します。

まちがえやすい点: 重複する同一対象の統合は名寄せと判断する。

基本の問題(このページのために作った問題・本番と同じ四肢択一)

ある業務について、作業Aの遅延は全体の終了日に影響しないが、作業Bが1日遅れると全体も1日遅れる。作業Bについて最も適切な説明はどれか。

  1. フロートがある
  2. マイルストーンである
  3. クリティカルパス上にある
  4. ダミー作業である
答えと解説を見る

正解: クリティカルパス上にある

作業Bの遅延がそのまま全体の終了日の遅延につながるので、作業Bはクリティカルパス上にあります。余裕時間であるフロートをもつ作業なら、その範囲の遅れは全体日程に影響しません。

まちがえやすい点: 全体日程に直結する作業はクリティカルパス上にある。

この内容を問題で確かめる

読んだところを、本番と同じ四肢択一の10問セットで思い出してみましょう。

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このページの内容は、IPA「ITパスポート試験 シラバス Ver.6.5」(2026年1月公表)の範囲にもとづきます(2026年10月確認)。