宅建士 参考書|第1章 宅建業法

従業者証明書・従業者名簿・帳簿

従業者証明書は業務中に携帯

宅建業者は、従業者に従業者証明書を携帯させなければ、その者を宅建業の業務に従事させることができません。宅建士だけを対象とする制度ではありません。

従業者は、取引の関係者から請求を受けたときに従業者証明書を提示します。請求がないのに常に相手へ見せ続ける義務ではありません。宅建士が重要事項説明をするときに提示する宅建士証とは別の制度です。

従業者証明書を携帯させる対象には、通常の従業員だけでなく、法の運用上、代表者、非常勤役員、単に一時的に事務を補助する者も含まれます。証明書を発行した者は従業者名簿にも記載します。

従業者証明書は業務中に携帯し、取引関係者から請求されたときに提示します。

従業者名簿は事務所ごとに備える

宅建業者は、事務所ごとに従業者名簿を備えます。本店で各支店分をまとめて備えて済ませることはできません。

令和8年4月1日現在、従業者名簿には、従業者の氏名、従業者証明書の番号、主たる職務内容、宅地建物取引士であるか否か、当該事務所の従業者となった年月日、従業者でなくなったときはその年月日を記載します。退職したからといって、その者の記録を直ちに消してよいわけではありません。

従業者名簿は最終の記載をした日から10年間保存します。取引の関係者から請求があれば閲覧に供しなければならず、守秘義務を理由に一律に閲覧を拒むことはできません。

従業者名簿は事務所ごと、最終記載日から10年保存、取引関係者の請求で閲覧です。

帳簿は取引のつど記載する

宅建業者は、事務所ごとに業務に関する帳簿を備え、宅建業に関して取引があったつど所定事項を記載します。支店の取引を本店の帳簿だけで一括管理して法定帳簿の備付けに代えることはできません。

帳簿には、取引年月日、宅地・建物の所在や面積、売買・交換・貸借の別、代理・媒介の別、当事者、売買代金・賃料、報酬額、取引に関する特約などを記載します。

ここでいう帳簿は「宅地建物取引業に関する取引」が対象です。宅建業者が自ら所有する建物を単に貸主として賃貸する行為は宅地建物取引業に当たらないため、その自ら貸借だけを理由に宅建業法49条の帳簿へ記載するものではありません。

帳簿は各事務所に備え、宅建業の取引があったつど報酬額などを記載します。

帳簿は原則5年、新築自売は10年

帳簿は各事業年度の末日に閉鎖し、閉鎖後5年間保存します。「取引の日から5年」ではなく、帳簿を閉鎖した後から数える点を区別します。

ただし、宅建業者が自ら売主となる新築住宅に係る帳簿は、閉鎖後10年間保存します。この場合には、引渡年月日や床面積など新築住宅について定められた事項も帳簿に記載します。

書類保存期間
従業者名簿最終記載日から10年
帳簿原則、閉鎖後5年
自ら売主となる新築住宅の帳簿閉鎖後10年

名簿は最終記載から10年、帳簿は閉鎖後5年、新築住宅の自売帳簿は10年です。

名簿は閲覧、帳簿は閲覧規定なし

従業者名簿と帳簿は、どちらも事務所ごとに備えるため混同しやすい制度です。しかし閲覧については違いがあります。

従業者名簿は取引の関係者から請求があれば閲覧に供します。これに対し、宅建業法49条の帳簿には、取引関係者の請求による閲覧義務は定められていません。

また、従業者証明書は「携帯し、請求されたときに提示」、従業者名簿は「事務所に備え、請求されたときに閲覧」という違いがあります。証明書の提示と名簿の閲覧を入れ替えないようにします。

証明書は本人が提示、名簿は事務所で閲覧、帳簿には同じ閲覧義務がありません。

電子記録でも備付けに代えられる

従業者名簿や帳簿は、一定の電子記録による方法を利用できます。所定事項を電子計算機のファイルや電磁的記録媒体に記録し、必要に応じてその事務所で明確に表示できる状態であれば、紙への記載に代えることができます。

従業者名簿を電子化した場合も、取引関係者から閲覧請求があれば、紙面または画面に表示して閲覧させます。電子化したから保存期間や閲覧義務がなくなるわけではありません。

名簿・帳簿は電子化できますが、事務所ごとの備付け、保存、閲覧のルールは残ります。

本番の形で解いてみる

基本の問題(まなクエの問題集から)

宅建士の従業者証明書について正しいものはどれか。

  1. 宅建業者は従業者(宅建士含む)全員に従業者証明書を携帯させる義務がある
  2. 従業者証明書の携帯は宅建士のみの義務
  3. 従業者証明書の提示は求められた場合でも拒否できる
  4. 従業者証明書の様式は宅建業者が自由に定める
答えと解説を見る

正解: 宅建業者は従業者(宅建士含む)全員に従業者証明書を携帯させる義務がある

従業者証明書(宅建業法48条):宅建業者は従業者全員に証明書を携帯させる義務あり。取引関係者から請求があれば提示義務。

基本の問題(まなクエの問題集から)

宅建業者の帳簿の備付けについて正しいものはどれか。

  1. 帳簿の保存期間は5年間である
  2. 各事務所ごとに帳簿を備え付けなければならない
  3. 帳簿は本店のみに備え付ければよい
  4. 帳簿への記載事項は免許番号のみでよい
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正解: 各事務所ごとに帳簿を備え付けなければならない

帳簿(宅建業法49条):各事務所ごとに備え付け。取引年月日・物件・当事者等を記載。閉鎖後5年間保存(新築住宅は10年)。

事例で判断する問題(この節のために作った問題)

宅建業者A社の甲事務所で勤務していた従業者Bが退職した。甲事務所の従業者名簿と従業者証明書について正しいものはどれか。

  1. Bが退職した時点で、従業者名簿からBに関する記録を直ちに削除しなければならない。
  2. Bが従業者でなくなった年月日を従業者名簿に記載し、その名簿は最終の記載をした日から10年間保存する。
  3. 従業者名簿は帳簿と同じく、各事業年度の末日に閉鎖して5年間だけ保存する。
  4. 従業者証明書は宅建士だけに携帯させる制度であるため、Bが宅建士でなければ交付する必要はない。
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正解: Bが従業者でなくなった年月日を従業者名簿に記載し、その名簿は最終の記載をした日から10年間保存する。

従業者でなくなった年月日も名簿の記載事項です。従業者名簿は最終の記載をした日から10年間保存し、従業者証明書は宅建士だけを対象とする制度ではありません。

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読んだところを、問題で思い出してみましょう。

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出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」・e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」。このページの法令は令和8年(2026年)4月1日現在の法令にもとづきます(e-Govで確かめた日 2026年10月11日)。このページの作り方と確かめ方