宅建士 参考書|第1章 宅建業法
住宅瑕疵担保履行法
宅建業者が非業者に新築住宅を自ら売る場合が対象
住宅瑕疵担保履行法は、新築住宅について売主等が負う瑕疵担保責任を履行できるよう、保証金の供託や保険によって資力を確保する制度です。
宅建試験で中心になるのは、宅建業者が自ら売主として、宅建業者ではない買主に新築住宅を販売する場合です。
| 取引 | 宅建業者の資力確保義務 |
|---|---|
| 宅建業者が非宅建業者へ新築住宅を自ら売る | 必要 |
| 買主も宅建業者である | 対象外 |
| 宅建業者が新築住宅の売買を媒介するだけ | 媒介業者には義務なし |
買主が建設業者であるだけでは対象外になりません。見るべきなのは、その買主が宅地建物取引業者かどうかです。また、買主との合意や免責特約だけで法律上の資力確保義務をなくすことはできません。
宅建業者が非宅建業者へ新築住宅を自ら売るとき、資力確保措置が必要です。
資力確保は保証金の供託か瑕疵保険の2つ
対象となる宅建業者は、次のいずれかによって資力を確保します。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 住宅販売瑕疵担保保証金の供託 | 基準額以上の保証金を供託する |
| 住宅販売瑕疵担保責任保険契約 | 国土交通大臣が指定する住宅瑕疵担保責任保険法人との保険契約を利用する |
保険だけが認められているのではなく、供託または保険です。保険を利用した住宅は、保証金の基準額を算定するための販売新築住宅の戸数から除かれます。
住宅販売瑕疵担保保証金は、主たる事務所の最寄りの供託所へ供託します。また、一定の国債証券・地方債証券などの有価証券を保証金に充てることもできます。
資力確保は「住宅販売瑕疵担保保証金の供託」または「住宅販売瑕疵担保責任保険」です。
保険は主要構造部と雨水浸入防止部分の10年責任に備える
対象となる瑕疵は、新築住宅の構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分に関するものです。給水設備やガス設備に生じたあらゆる不具合を、この制度の10年間の対象とするわけではありません。
住宅販売瑕疵担保責任保険契約は、住宅瑕疵担保責任保険法人との間で締結し、新築住宅の引渡しから10年以上の期間にわたって有効であることなどが必要です。保険金額についても法律上の要件があり、買主の承諾だけで任意に500万円へ減額できる制度ではありません。
保険付き住宅について紛争が生じた場合には、指定住宅紛争処理機関による紛争処理を利用できる仕組みがあります。
対象は主要構造部と雨水浸入防止部分で、保険期間は引渡しから10年以上です。
供託額は基準日前10年間の引渡戸数を基礎にする
住宅販売瑕疵担保保証金の基準額は、基準日前10年間に自ら売主として引き渡した新築住宅のうち、保険契約で資力を確保した住宅を除いた戸数を基礎に算定します。
戸数を数えるときには小規模住宅の特例があります。
| 住宅 | 戸数の数え方 |
|---|---|
| 床面積55㎡以下 | 2戸をもって1戸として算定 |
| 床面積が55㎡を超える住宅 | 通常どおり1戸として算定 |
「100㎡以下なら2戸で1戸」や「25㎡以下なら3戸で1戸」ではありません。
保証金算定は基準日前10年間の対象住宅が基礎で、55㎡以下は2戸を1戸として数えます。
供託を選んだ業者は契約締結までに供託所等を説明する
住宅販売瑕疵担保保証金を供託している宅建業者は、新築住宅の買主に対し、売買契約を締結するまでに、保証金を供託している供託所の所在地などを説明しなければなりません。
原則は必要事項を記載した書面を交付して説明しますが、買主の承諾を得た場合には、書面の交付に代えて電磁的方法による提供をすることができます。「必ず紙の書面でなければならない」という肢は誤りです。
説明時期も重要で、「住宅の引渡しまで」でよいのではありません。契約締結までに行います。
供託所等の説明は契約締結まで。買主の承諾があれば書面交付に代えて電磁的方法も使えます。
基準日は3月31日、届出は3週間以内
資力確保措置を講じるだけで手続は終わりません。宅建業者は基準日ごとに、保証金の供託と保険契約の締結の状況を免許を受けた行政庁へ届け出ます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基準日 | 毎年3月31日 |
| 届出期限 | 基準日から3週間以内 |
| 届出先 | 免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事 |
「住宅を1戸引き渡すたびに3週間以内に届出」ではなく、基準日から3週間以内です。
3月31日が基準日、資力確保状況の届出は基準日から3週間以内です。
供託・届出をしないと50日経過後に新規契約が制限される
必要な住宅販売瑕疵担保保証金の供託をし、かつ基準日の届出をしなければ、基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結できません。
届出期限である3週間を過ぎた瞬間に新規契約が禁止されるわけではありません。また、制限されるのは新たな売買契約の締結であって、すでに締結済みの契約に基づく住宅の引渡しまで一律に禁止する規定ではありません。
基準額に不足する額を供託し、その供託について免許行政庁の確認を受けた場合は、その確認を受けた日以後、契約制限は解除されます。
未供託・未届出の契約制限は、基準日の翌日から50日を経過した日以後の新規契約です。
本番の形で解いてみる
基本の問題(まなクエの問題集から)
住宅瑕疵担保履行法(新築住宅)における資力確保措置として正しいものはどれか。
- 供託または保険の資力確保措置が義務付けられている
- 保険のみで供託は認められない
- 銀行保証のみ
- 任意加入の保険のみ
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正解: 供託または保険の資力確保措置が義務付けられている
住宅瑕疵担保履行法:新築住宅の建設・売買について、瑕疵担保責任を果たすための資力確保措置(供託または住宅瑕疵担保責任保険)が義務。
基本の問題(まなクエの問題集から)
宅建業者が自ら売主となり、宅建業者ではない買主に新築住宅を販売する場合の住宅瑕疵担保履行法について正しいものはどれか。
- この場合、資力確保措置(保証金の供託または住宅瑕疵担保責任保険への加入)は不要である
- 買主が宅建業者であれば資力確保措置は不要となるが、買主が宅建業者でない今回は資力確保措置が必要である
- 資力確保措置は保険にのみ限られ、保証金の供託は認められない
- 新築住宅の引渡しから5年間のみ保証すればよい
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正解: 買主が宅建業者であれば資力確保措置は不要となるが、買主が宅建業者でない今回は資力確保措置が必要である
住宅瑕疵担保履行法:宅建業者が自ら売主として、宅建業者ではない買主に新築住宅を販売する場合、原則として保証金の供託または住宅瑕疵担保責任保険への加入による資力確保措置が必要である(買主が宅建業者である場合は資力確保措置は不要)。
事例で判断する問題(この節のために作った問題)
宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者ではないBに床面積50㎡の新築住宅を販売する。Aは住宅販売瑕疵担保保証金を供託する方法で資力を確保する。この場合の説明として正しいものはどれか。
- 床面積50㎡の住宅は保証金算定上3戸をもって1戸として数える
- 供託所の所在地等は住宅を引き渡すまでに説明すればよい
- 床面積55㎡以下の住宅は保証金算定上2戸をもって1戸として数え、供託所の所在地等は売買契約締結までに説明する
- Bの承諾があっても、供託所の所在地等を記載した書面の交付を電磁的方法による提供に代えることはできない
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正解: 床面積55㎡以下の住宅は保証金算定上2戸をもって1戸として数え、供託所の所在地等は売買契約締結までに説明する
床面積55㎡以下の販売新築住宅は2戸を1戸として算定します。供託を選んだ宅建業者は契約締結までに供託所等を説明し、買主の承諾があれば書面交付に代えて電磁的方法による提供もできます。
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宅建の問題を解く →出典: e-Gov法令検索「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」。このページの法令は令和8年(2026年)4月1日現在の法令にもとづきます(e-Govで確かめた日 2026年10月11日)。このページの作り方と確かめ方