宅建士 参考書|第2章 権利関係

区分所有法

専有部分・共用部分・敷地利用権を分ける

区分所有建物では、住戸や店舗など構造上・利用上独立して使える部分が専有部分です。廊下、階段など構造上区分所有者全員の利用に供される部分は法定共用部分となり、専有部分となり得る部分でも規約で共用部分とすることがあります。

共用部分は区分所有者の共有です。各共有者の持分は、規約に別段の定めがなければ専有部分の床面積の割合によります。共用部分の持分だけを専有部分から切り離して処分することはできず、専有部分の処分に従います。

建物の敷地について区分所有者が持つ所有権・地上権などが敷地利用権です。専有部分と敷地利用権も、規約に別段の定めがある場合を除き、原則として分離して処分できません。

共用部分の持分と敷地利用権は、原則として専有部分と一緒に動きます。

共用部分は保存・管理・変更の順に判断する

共用部分について問われたら、まず行為を保存行為・管理・重大な変更に分けます。

行為基本ルール
保存行為各共有者が単独でできます
管理出席した区分所有者とその議決権の各過半数で決するのが原則です。規約で別段の定めができます
形状または効用の著しい変更特別決議が必要です

令和8年4月1日以後、共用部分の重大な変更は、原則として区分所有者数と議決権の各過半数を有する区分所有者が出席し、出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上で決します。この4分の3は、規約で過半数まで引き下げることができます。また、共用部分の設置・保存の瑕疵の除去など法律所定の事情がある変更では、各3分の2以上となる場合があります。

管理に要する費用などは、規約に別段の定めがなければ各共有者が持分割合に応じて負担します。一部の区分所有者だけが共用する部分でも、規約により区分所有者全員の共有とすることができます。

保存は単独、管理は出席者の各過半数、重大変更は原則として出席者の各4分の3です。

規約は設定・変更・保管まで押さえる

規約には、建物・敷地・附属施設の管理や使用について区分所有者相互の事項を定めることができます。専有部分を住居専用とするなど、専有部分の使用方法について定めることもできます。

令和8年4月1日以後の規約の設定・変更・廃止は、区分所有者数と議決権の各過半数を有する区分所有者が出席し、出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上の賛成が必要です。規約の設定などが一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼす場合には、その区分所有者の承諾も問題になります。

規約は管理者などが保管し、その保管場所を建物内の見やすい場所に掲示します。利害関係人から閲覧請求を受けたときは、正当な理由なく拒むことはできません。規約や集会決議は、区分所有者から専有部分を取得した特定承継人にも効力を生じます。また、専有部分を借りている占有者も、建物などの使用方法については区分所有者と同じ義務を負います。

規約の特別決議は「各過半数が出席+出席者の各4分の3」です。

集会は招集・通知・発言と議決権を分ける

管理者は、少なくとも毎年1回集会を招集します。管理者がいない場合などには、区分所有者数と議決権の各5分の1以上を有する区分所有者が集会の招集を求める制度があり、この割合は規約で減らすことができます。

招集通知は、会日の少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項と議案の要領を示して発します。この期間は規約で伸ばすことはできますが、短くすることはできません。建替え決議を目的とする集会の通知は、会日の少なくとも2か月前に発します。

集会の招集通知は、区分所有者が通知を受ける場所を届け出ていればその場所に送れば足ります。届出がない場合は、原則として専有部分の所在地に送ります。区分所有者全員の同意があれば、招集手続を経ずに集会を開くこともできます。

集会では原則として通知した事項について決議します。区分所有者全員の承諾があれば、集会を開かず書面または電磁的方法で決議することもできます。

専有部分を共有する者は、集会で議決権を行使する者を1人定めます。賃借人などの占有者は、集会の目的について利害関係を有するときは意見を述べることができますが、区分所有者としての議決権はありません。

占有者は利害関係があれば意見を述べられますが、議決権は持ちません。

普通決議と特別決議は分母の違いに注意する

令和8年4月施行の改正では、管理に関する多くの決議で、欠席して議決権も行使しない区分所有者を決議の分母から外し、出席者を分母として判断する仕組みに変わりました。書面・電磁的方法や代理人によって議決権を行使した者は出席者に含まれます。

主な事項決議の目安
通常の管理原則として出席区分所有者・その議決権の各過半数
規約の設定・変更・廃止各過半数の出席を要し、出席区分所有者・その議決権の各4分の3以上
共用部分の重大な変更各過半数の出席を要し、原則として出席区分所有者・その議決権の各4分の3以上
管理組合法人の設立・解散各過半数の出席を要し、出席区分所有者・その議決権の各4分の3以上
建替え原則として区分所有者・議決権の各5分の4以上。法律所定の客観的事由がある場合は各4分の3以上

建替えのように区分所有権の処分を伴う決議は、通常の管理決議のように単純に出席者だけを分母とするものではありません。問題では何の決議かを先に特定します。

令和8年改正後は「何を決めるか」を先に決め、出席者基準か全区分所有者基準かを判定します。

管理組合・管理者・管理組合法人を区別する

区分所有者は、区分所有関係が生じれば全員で建物・敷地・附属施設の管理を行う団体を構成します。加入するかどうかを個別に選ぶ団体ではありません。

管理者は規約または集会の決議で選任でき、集会の決議で解任することもできます。管理者は毎年1回一定の時期に、その事務について区分所有者へ報告します。規約に定めれば、管理者に共用部分を所有させることもできます。

管理組合は法人である必要はありませんが、法律所定の特別決議をして登記することにより管理組合法人となります。法人では理事が事務を執行し、理事が複数いる場合は原則としてその過半数で事務を決します。

集会の議事については議事録を作成します。書面の議事録には、法律が定める者の署名が必要です。

管理組合は区分所有者全員で当然に構成し、法人化には特別決議と登記が必要です。

本番の形で解いてみる

基本の問題(まなクエの問題集から)

区分所有建物の規約の設定について正しいものはどれか。

  1. 規約の設定は区分所有者及び議決権の各2分の1以上の多数決で行う
  2. 区分所有者および議決権について所定の定足数を満たして集会を開催し、出席した区分所有者およびその議決権の各4分の3以上の賛成で決議する
  3. 規約の設定は管理組合の理事会決議で行う
  4. 規約の設定は区分所有者全員の同意が必要である
答えと解説を見る

正解: 区分所有者および議決権について所定の定足数を満たして集会を開催し、出席した区分所有者およびその議決権の各4分の3以上の賛成で決議する

規約の設定・変更・廃止(区分所有法31条、2026年4月1日施行改正後):区分所有者および議決権の各過半数以上が出席して集会を開催し、出席した区分所有者およびその議決権の各4分の3以上の賛成で決議する。改正前のように『全区分所有者・全議決権』を分母として4分の3以上の賛成を要する制度ではない。

基本の問題(まなクエの問題集から)

区分所有建物の共用部分について正しいものはどれか。

  1. 共用部分の持分は各自が自由に処分できる
  2. 共用部分の持分は専有部分の処分に従う
  3. 共用部分は各区分所有者が単独で使用できる
  4. 共用部分は管理組合の財産となる
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正解: 共用部分の持分は専有部分の処分に従う

共用部分(区分所有法15条):共用部分の持分は専有部分の処分に従い、単独での処分は不可。

事例で判断する問題(この節のために作った問題)

区分所有者10人がそれぞれ同じ議決権を持つマンションで、令和8年4月1日以後に規約変更を議題とする集会を開いた。8人が出席し、そのうち6人が規約変更に賛成した。特別の事情や別段の定めはない。この決議について正しいものはどれか。

  1. 全区分所有者10人の4分の3以上の賛成がないため成立しない
  2. 出席者が全区分所有者の過半数で、出席者とその議決権の各4分の3以上が賛成しているため成立する
  3. 規約変更には区分所有者全員の同意が必要なので成立しない
  4. 出席者の過半数が賛成すれば足りるため、賛成者が5人でも成立する
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正解: 出席者が全区分所有者の過半数で、出席者とその議決権の各4分の3以上が賛成しているため成立する

規約の変更には、区分所有者数と議決権の各過半数を有する者の出席と、出席した区分所有者・その議決権の各4分の3以上の賛成が必要です。8人中6人の賛成は4分の3に当たります。

この内容を問題で確かめる

読んだところを、問題で思い出してみましょう。

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出典: e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」。このページの法令は令和8年(2026年)4月1日現在の法令にもとづきます(e-Govで確かめた日 2026年10月11日)。このページの作り方と確かめ方