宅建士 参考書|第2章 権利関係

不動産登記法

まず表題部と権利部を分ける

不動産登記では、最初に表示に関する登記か、権利に関する登記かを区別します。

種類主な内容
表示に関する登記土地の所在・地番・地目・地積、建物の所在・家屋番号・種類・構造・床面積など、物理的状況を公示します
権利に関する登記所有権、地上権、賃借権、抵当権などの権利関係を公示します

表示に関する登記は、申請がなくても登記官が職権で行える場合があります。これに対し、権利に関する登記は原則として当事者の申請または官庁・公署の嘱託などによって行います。

登記事項は権利の種類によって異なります。地上権では存続期間を登記でき、賃借権では賃料・存続期間のほか敷金などが登記事項となり得ます。事業用定期借地権等である旨も登記の対象となります。

表示登記は不動産の物理的状況、権利登記は所有権・担保権などの権利関係です。

表示登記は1か月の期限を押さえる

新築した建物について表題登記がないときは、所有権を取得した者は原則として所有権取得の日から1か月以内に建物の表題登記を申請します。建物が滅失した場合も、原則として滅失の日から1か月以内に滅失登記を申請します。

建物の床面積など表題部の登記事項に変更が生じた場合も、原則として変更の日から1か月以内に変更登記を申請します。表題部所有者が死亡した場合には、その一般承継人が被承継人名義で必要な表示登記を申請できる場合があります。

土地の一部だけ地目が変わった場合には分筆が問題となり、登記官が職権で分筆の登記をすることができる場合があります。他の権利の登記があるというだけで、土地の分筆が一律に禁止されるわけではありません。

一方、土地や建物の合筆・合併には制限があります。所有者が異なる土地を合筆することはできず、建物についても権利関係などによって合併できない場合があります。

新築・滅失・床面積などの表示変更では「1か月」をまず確認します。

権利登記は共同申請が原則、例外は単独申請

売買による所有権移転など、権利に関する登記は登記権利者と登記義務者が共同で申請するのが原則です。売買による所有権移転なら、買主が登記権利者、売主が登記義務者です。

ただし、すべての権利登記が共同申請ではありません。相続による所有権移転、法人の合併による権利移転など、法律が定める場合は単独で申請できます。収用による所有権移転などにも単独申請の制度があります。

登記申請を代理する権限は、本人が死亡したというだけで当然には消滅しません。申請した不動産がその登記所の管轄外であるなど、法律上の却下事由に当たる場合には申請が却下されます。

所有権移転登記などでは、原則として登記原因を証する情報を提供します。登記が完了して新たに登記名義人となった者には、原則として登記識別情報が通知されますが、通知を希望しない旨を申し出た場合などには通知されません。

権利登記は「共同申請が原則→相続・合併などの例外」を順に判断します。

住所・氏名の変更登記は2年以内になった

令和8年4月1日から、不動産の所有権の登記名義人は、登記された住所・氏名・名称に変更があったとき、その変更の日から2年以内に住所等変更登記を申請することが義務付けられています。

令和8年4月1日より前に住所などが変わり、まだ変更登記をしていない場合も義務化の対象で、原則として令和10年3月31日までに申請します。正当な理由なく義務を怠ったときは、5万円以下の過料の対象となります。相続登記の申請義務を怠った場合は10万円以下の過料です。

住所等変更登記は所有権の登記名義人が単独で申請できます。また、検索用情報を申し出るなど法律所定の手続をした場合には、登記官が住所等の変更を確認して職権で変更登記をする仕組みも設けられています。

相続によって不動産の所有権を取得した場合の相続登記には、原則として取得を知った日から3年以内という別の申請義務があります。住所変更の2年と混同しないようにします。

令和8年4月から、所有者の住所・氏名変更は原則2年以内です。

仮登記は順位を保全するが、それ自体に対抗力はない

仮登記は、本登記をするための条件がまだ整っていない場合などに、将来行う本登記の順位を保全するための登記です。

仮登記をしただけでは、本登記と同じように第三者へ権利を対抗できるわけではありません。その後、仮登記に基づく本登記をすると、その本登記の順位は原則として仮登記の順位によります。

そのため、仮登記後に第三者の権利登記が入っているとき、本登記によってその第三者の登記上の権利に影響を与えることがあります。本登記をする場面では、登記上の利害関係を有する第三者の承諾などが必要となることがあります。

仮登記=対抗力ではなく「将来の本登記の順位を保全」です。

証明書・申請情報・登記識別情報を区別する

登記事項証明書は、登記記録に記録された事項を証明する書面です。特別の利害関係がなくても交付を請求でき、窓口のほか郵送やオンラインによる請求もできます。

これに対し、登記申請書やその附属書類の閲覧は、登記事項証明書と同じく無条件に誰でも自由に閲覧できる制度ではありません。法律所定の利害関係など、閲覧対象ごとの要件を確認します。

登記識別情報は、登記によって新たに登記名義人となった者に原則として通知され、後の登記申請で本人確認に用いられる情報です。登記事項証明書のように誰でも閲覧できる情報ではありません。

登記には実体上の権利関係を公示する機能がありますが、登記内容を信じた者の権利取得を常に保護する公信力はありません。売買などによる不動産の物権変動は、登記を備えなければ原則として第三者に対抗できません。

証明書は誰でも請求できますが、登記識別情報は名義人の本人確認に使う秘密情報です。

本番の形で解いてみる

基本の問題(まなクエの問題集から)

不動産登記の申請について正しいものはどれか。

  1. 不動産登記の申請は書面によらなければならない
  2. 所有権移転登記は登記権利者と登記義務者が共同して申請するのが原則である
  3. 登記申請は必ず司法書士が行わなければならない
  4. 所有権移転登記は登記権利者のみが申請できる
答えと解説を見る

正解: 所有権移転登記は登記権利者と登記義務者が共同して申請するのが原則である

共同申請の原則(不動産登記法60条):所有権移転等は権利者と義務者が共同申請。ただし相続等の例外あり。電子申請も可。

基本の問題(まなクエの問題集から)

表示の登記(表題登記)について正しいものはどれか。

  1. 建物の新築後1ヶ月以内に表題登記を申請する義務がある
  2. 建物の新築後2ヶ月以内に表題登記を申請する義務がある
  3. 土地の分筆の場合にも表題変更の登記が必要となる
  4. 表題登記の申請義務者は司法書士のみである
答えと解説を見る

正解: 建物の新築後1ヶ月以内に表題登記を申請する義務がある

建物の新築(不動産登記法47条):表題登記の申請義務あり(1ヶ月以内)。所有者が申請義務者。土地の分筆は『分筆の登記』という別の登記手続であり、表題部の変更登記とは異なる。

事例で判断する問題(この節のために作った問題)

所有権の登記名義人Aは、令和8年6月1日に引っ越して住所が変わった。検索用情報の申出による職権登記などは利用せず、住所変更登記を自ら申請する場合について正しいものはどれか。

  1. 住所変更の日から1か月以内に申請しなければならない
  2. 住所変更の日から1年以内に申請しなければならない
  3. 住所変更の日から2年以内に申請しなければならない
  4. 次に所有権を移転するまで住所変更登記をしなくてもよい
答えと解説を見る

正解: 住所変更の日から2年以内に申請しなければならない

令和8年4月1日から、所有権の登記名義人は住所・氏名等の変更の日から2年以内に変更登記をすることが義務付けられています。建物の表題登記などの1か月と混同しないことが重要です。

この内容を問題で確かめる

読んだところを、問題で思い出してみましょう。

宅建の問題を解く →

出典: e-Gov法令検索「不動産登記法」。このページの法令は令和8年(2026年)4月1日現在の法令にもとづきます(e-Govで確かめた日 2026年10月11日)。このページの作り方と確かめ方