宅建士 参考書|第3章 法令上の制限

都市計画の決定と地区計画

都市計画を決める手続

都市計画は、内容に応じて都道府県または市町村が定めます。都市計画区域そのものを指定するのは原則として都道府県であり、市町村が都市計画区域を指定するわけではありません。

都市計画の案を作る段階では、必要があると認めるときに公聴会の開催など、住民の意見を反映させる措置を講じます。公聴会はすべての都市計画で必ず開くものではありません。

都市計画を決定しようとするときは、案を公告し、公告の日から2週間公衆の縦覧に供します。関係市町村の住民と利害関係人は、その縦覧期間中に意見書を提出できます。

案は2週間縦覧、公聴会は必要があるときです。

都市施設と市街地開発事業

都市計画施設とは、都市計画で定められた道路、公園、下水道などの施設です。都市計画区域の外であっても、必要があるときは都市施設を都市計画に定めることができます。

市街化区域と区域区分が定められていない都市計画区域では、少なくとも道路・公園・下水道を定めます。これを「すべての都市計画区域で必ず定める」と読み替えないようにします。

市街地開発事業は、土地区画整理事業や市街地再開発事業など、市街地を面的に整備する事業です。市街化調整区域には市街地開発事業を定めません。準都市計画区域にも市街地開発事業を定めることはできません。

道路・公園・下水道の必定は、市街化区域等が対象です。

地区計画で定めること

地区計画は、地区ごとの道路、公園、建築物などをきめ細かく整える都市計画で、市町村が定めます。用途地域が定められていない土地でも、法律上の要件を満たす区域には地区計画を定めることができます。

地区計画について都市計画に定める事項には、名称・位置・区域のほか、地区計画の目標や区域の整備・開発・保全に関する方針があります。区域については面積も示されます。

地区整備計画では、地区施設の配置・規模のほか、建築物の用途、容積率、建蔽率、高さ、壁面の位置、敷地面積などについて必要な制限を定めることができます。市街化区域と市街化調整区域を分ける区域区分そのものを地区整備計画で決めることはできません。

市街化調整区域で地区計画を定める場合は、市街化を促進することがないよう配慮して定めます。

地区計画は市町村、地区整備計画で建蔽率等は定められます。

地区計画区域内の届出

地区計画の区域のうち、地区整備計画などが定められている区域内で土地の区画形質の変更や建築物の建築などを行おうとする者は、原則として行為に着手する日の30日前までに市町村長へ届出をします。

届出内容が地区計画に適合しないと市町村長が認めるときは、設計変更その他の必要な措置をとるよう勧告できます。通常の地区計画区域内の建築を「都道府県知事の許可制」と考えるのは誤りです。

届出事項を変更するときも、原則として変更に係る行為に着手する日の30日前までに市町村長へ届け出ます。

地区計画は原則30日前までに市町村長へ届出です。

事業認可前の建築制限

都市計画施設の区域または市街地開発事業の施行区域では、将来の事業を妨げる建築を防ぐため、建築物を建築しようとする者は原則として都道府県知事等の許可を受けます。

この規制は都市計画法53条の規制です。対象は「建築物の建築」であり、都市計画事業の認可・承認の告示後に適用される65条の規制とは区別します。非常災害のための応急措置や都市計画事業の施行として行う建築などは許可不要です。

事業前は53条、都市計画施設等の区域で建築に許可です。

事業認可後の制限と先買い

都市計画事業の認可・承認の告示後は、事業地内で事業の障害となるおそれがある土地の形質変更、建築物の建築、工作物の建設、一定の物件の設置・堆積を行うには、原則として都道府県知事等の許可が必要です。これが都市計画法65条の規制です。

さらに施行者が事業について公告した日の翌日から起算して10日を経過した後、事業地内の土地建物等を有償で譲渡しようとする者は、相手方や予定対価などを施行者へ届け出ます。施行者の「許可」を受ける制度ではありません。

届出後30日以内に施行者が買い取る旨を通知したときは施行者が先買いできます。このため、届出後は原則としてその期間中、届出どおりの相手方へ自由に譲渡することはできません。

段階主な規制相手
都市計画決定後・事業告示前建築物の建築都道府県知事等の許可
事業認可等の告示後形質変更・建築・工作物建設等都道府県知事等の許可
施行者公告後の一定時期土地建物等の有償譲渡施行者への届出

認可後は65条の許可、有償譲渡は67条の施行者への届出です。

本番の形で解いてみる

基本の問題(まなクエの問題集から)

都市計画の決定手続きについて正しいものはどれか。

  1. 都市計画は住民の投票によって決定される
  2. 都市計画の決定は国土交通大臣が単独で行う
  3. 都市計画の案について縦覧を行い、一定の場合には住民等が意見書を提出できるなど、法定の手続を経て都市計画を決定する
  4. 都市計画の決定には公聴会・縦覧等の手続きが不要
答えと解説を見る

正解: 都市計画の案について縦覧を行い、一定の場合には住民等が意見書を提出できるなど、法定の手続を経て都市計画を決定する

都市計画の決定手続き(都市計画法16条・17条等):都道府県または市町村は、都市計画の案を作成するに当たって、必要があると認めるときは公聴会の開催等住民の意見を反映させるための措置を講じる。案については2週間縦覧に供し、関係住民等は縦覧期間内に意見書を提出することができる。公聴会は『必要があると認めるとき』に行う手続であり、常に必須というわけではない。

基本の問題(まなクエの問題集から)

地区計画について正しいものはどれか。

  1. 地区計画は市区町村が定める
  2. 地区計画内での建築行為に届出は不要
  3. 地区計画の変更には国土交通大臣の認可が必要
  4. 地区計画は都市計画区域外でも定めることができる
答えと解説を見る

正解: 地区計画は市区町村が定める

地区計画(都市計画法12条の5):市区町村が定める。変更・廃止も市区町村が行う。区域内での建築行為は市区町村長への届出が必要。

事例で判断する問題(この節のために作った問題)

都市計画事業の認可の告示がされた道路事業の事業地内で、Aが土地の形質を変更して建築物を建て、その後、その土地建物をBに有償で譲渡しようとしている。都市計画法上の取扱いとして正しいものはどれか。

  1. 土地の形質変更と建築には原則として都道府県知事等の許可が必要であり、有償譲渡について一定の場合には施行者への届出も必要となる
  2. 土地の形質変更と建築は自由にできるが、有償譲渡には施行者の許可が必要である
  3. 土地の形質変更には市町村長への30日前の届出だけで足り、有償譲渡にも制限はない
  4. 事業認可後も都市計画法53条だけが適用され、土地の形質変更は規制されない
答えと解説を見る

正解: 土地の形質変更と建築には原則として都道府県知事等の許可が必要であり、有償譲渡について一定の場合には施行者への届出も必要となる

事業認可等の告示後は65条により、事業の障害となるおそれのある形質変更や建築等に原則として都道府県知事等の許可が必要です。有償譲渡は67条の要件を満たすと施行者への届出が必要であり、施行者の許可制ではありません。

この内容を問題で確かめる

読んだところを、問題で思い出してみましょう。

宅建の問題を解く →

出典: e-Gov法令検索「都市計画法」。このページの法令は令和8年(2026年)4月1日現在の法令にもとづきます(e-Govで確かめた日 2026年10月11日)。このページの作り方と確かめ方