宅建士 参考書|第3章 法令上の制限

開発許可

開発許可は「開発行為→区域→面積→例外」の順で判断する

開発許可が問題になったら、最初にその行為が「開発行為」かを確認します。開発行為とは、主として建築物の建築または特定工作物の建設を目的として行う土地の区画形質の変更です。単に土地を売買するだけでは開発行為ではありません。

次に区域と規模を確認します。条例による面積基準の引下げがない場合の基本線は次のとおりです。

区域原則として許可対象となる規模
市街化区域1,000㎡以上。三大都市圏の一定区域では500㎡以上
区域区分が定められていない都市計画区域3,000㎡以上
準都市計画区域3,000㎡以上
都市計画区域・準都市計画区域外1ha以上
市街化調整区域小規模を理由とする許可不要の扱いはない

市街化区域の基準は条例で300㎡まで、区域区分が定められていない都市計画区域や準都市計画区域も政令の範囲内で条例により引き下げられることがあります。本試験で条例の指定が示されていなければ、問題文の条件に従って判断します。

特定工作物にも注意します。ゴルフコースは規模にかかわらず第二種特定工作物に含まれますが、野球場・遊園地などの一定の運動・レジャー施設は1ha以上のものが第二種特定工作物となります。そのため、8,000㎡の野球場や3,000㎡の遊園地というだけでは第二種特定工作物にはなりません。

開発許可は「開発行為か→区域→面積→許可不要事由」の順で判定します。

面積を超えていても許可がいらない開発行為がある

面積基準を超えれば常に許可が必要というわけではありません。都市計画法29条には許可不要となる開発行為が定められています。

主な許可不要事由判断のポイント
農林漁業用施設・農林漁業者の住宅市街化調整区域、区域区分が定められていない都市計画区域、準都市計画区域で一定のもの。市街化区域ではこの例外を使わない
公益上必要な一定の建築物駅舎、図書館、公民館、変電所など政令で定めるもの
都市計画事業の施行として行うもの開発許可不要
土地区画整理事業・市街地再開発事業等の施行として行うもの開発許可不要
非常災害のため必要な応急措置開発許可不要
通常の管理行為・軽易な行為政令で定めるものは許可不要

病院は「公益施設だから当然に開発許可不要」とは判断しません。施設の名前だけで決めず、政令で定める公益上必要な建築物に当たるか、ほかの許可不要事由があるかを確認します。

農林漁業者の住宅の例外も区域が重要です。例えば市街化区域で1,500㎡の土地を造成して農家住宅を建てる場合、農家住宅であることだけを理由に29条の許可不要とはなりません。

農家住宅の例外は市街化区域では使わず、公益施設も施設名だけで決めません。

申請前の公共施設管理者との調整から許可変更まで

開発許可は工事を始めてから取るものではなく、原則としてあらかじめ許可を受けます。申請書には開発区域の位置・区域・規模、予定建築物等の用途、設計、工事施行者など法定事項を記載します。

道路・排水施設など既存の公共施設に関係する開発では、申請前にその公共施設の管理者と協議し、原則として同意を得ます。新たに設置される公共施設を管理することになる者とも協議します。

許可を受けた内容を変更するときは、原則として変更許可が必要です。ただし、政令で定める軽微な変更は許可ではなく届出です。

開発行為に関する工事を廃止したときも「廃止の許可」を取り直すのではなく、都道府県知事等に届け出ます。

公共施設は申請前に協議、許可内容の変更は原則許可・軽微変更と工事廃止は届出です。

許可基準では災害区域と権利者の同意を区別する

開発許可の審査では、道路、公園、排水施設、給水施設、地盤の安全などの技術基準に適合するかが審査されます。

災害のおそれが高い区域については、主として自己の居住用住宅を建てる目的の開発行為を除き、原則として開発区域に災害危険区域、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、土砂災害特別警戒区域などを含めないことが基準になります。「土砂災害警戒区域」と「土砂災害特別警戒区域」は同じではありません。

また、開発行為を行う土地や妨げとなる権利を持つ者について、相当数の同意を得ていることも許可基準の一つです。全員の同意がなければ申請そのものが一切できない、という規定ではありません。

災害区域の基準は自己居住用の例外と「土砂災害特別警戒区域」の語を正確に見ます。

完了届・検査・公告で工事中の建築制限が切り替わる

許可を受けた開発工事が完了したら、開発許可権者に届け出ます。許可権者は工事が許可内容に適合しているかを検査し、適合していれば検査済証を交付し、工事完了を公告します。

工事完了の公告前は、原則として開発区域内に建築物を建築したり特定工作物を建設したりできません。ただし、知事が支障がないと認めた場合や、開発許可の際に同意をしていない土地所有者等がその権利を行使する場合などには例外があります。

新設された公共施設は、他の法律に基づく管理者がいる場合や協議で別段の定めをした場合を除き、原則として工事完了公告の日の翌日からその公共施設の存する市町村が管理します。

完了公告後も自由に何でも建築できるわけではありません。開発許可で予定された建築物等以外の建築・用途変更は原則として制限され、知事の許可が問題になります。

完了届→検査→検査済証→公告で、公告前の建築制限から公告後の予定建築物等の制限へ移ります。

市街化調整区域では開発行為がなくても建築許可を確認する

市街化調整区域は市街化を抑制する区域なので、「土地を造成しないから自由に建築できる」とはなりません。開発許可を受けた区域以外で、開発行為を伴わず建築物を新築・改築したり用途を変更したりするときは、原則として都市計画法43条の許可が必要です。

したがって、開発行為がない=許可が一切不要という判断は誤りです。29条の開発許可と43条の建築等の許可を分けて考えます。

また、開発許可を受けた者から土地の所有権その他工事を施行する権原を取得して許可に基づく地位を承継しようとする者は、一般承継とは別に知事の承認が必要となる場合があります。

市街化調整区域では「造成ありは29条、造成なしの建築は43条」を分けて確認します。

本番の形で解いてみる

基本の問題(まなクエの問題集から)

市街化調整区域における開発許可について、正しいものはどれか。

  1. 農林漁業を営む者の居住用建築物の建築を目的とする一定の開発行為は、開発許可を要しない。
  2. 市街化調整区域内であっても、公益上必要な建築物の建築を目的とする開発行為は、面積にかかわらず開発許可が必要である。
  3. 市街化調整区域内の開発行為は、規模が小さければ常に許可を要しない。
  4. 市街化調整区域内での開発行為は、都道府県知事の裁量で全て不要とすることができる。
答えと解説を見る

正解: 農林漁業を営む者の居住用建築物の建築を目的とする一定の開発行為は、開発許可を要しない。

市街化調整区域における開発許可(都市計画法29条1項各号):農林漁業を営む者の居住の用に供する建築物の建築を目的とする一定の開発行為は、開発許可を要しない。市街化調整区域では原則として規模にかかわらず開発許可が必要であり、公益上必要な建築物の建築を目的とする開発行為など、別の許可不要事由に該当する場合を除き、小規模だからといって一律に許可が不要になるわけではない。

基本の問題(まなクエの問題集から)

開発許可を受けた者が工事完了後に行う手続きとして正しいものはどれか。

  1. 工事完了後は登記のみすればよい
  2. 工事完了後は市区町村長に届け出る
  3. 開発許可を受けた工事が完了した場合、開発許可権者に届け出て、検査を受ける
  4. 工事完了後は特段の手続きは不要
答えと解説を見る

正解: 開発許可を受けた工事が完了した場合、開発許可権者に届け出て、検査を受ける

工事完了の届出(都市計画法36条):工事完了後は開発許可権者(都道府県知事。指定都市・中核市等ではその長が権限を有する場合がある)に届出を行い、検査を受ける→検査済証の交付→完了公告。完了公告により37条による建築制限は終了するが、開発許可の内容に適合しない予定建築物等の建築が制限される42条等の規定とは別であり、『完了公告後なら無条件で何でも建築できる』わけではない。

事例で判断する問題(この節のために作った問題)

条例による開発許可の面積基準の引下げがないものとする。次の開発行為のうち、都市計画法29条の開発許可を要しないものはどれか。

  1. 市街化区域内で、農業を営む者が自己の住宅を建築するために行う1,200㎡の開発行為
  2. 区域区分が定められていない都市計画区域内で、住宅を建築するために行う2,500㎡の開発行為
  3. 市街化調整区域内で、農林漁業とは関係のない者が自己の住宅を建築するために行う200㎡の開発行為
  4. 都市計画区域及び準都市計画区域外で、住宅を建築するために行う12,000㎡の開発行為
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正解: 区域区分が定められていない都市計画区域内で、住宅を建築するために行う2,500㎡の開発行為

区域区分が定められていない都市計画区域では、条例による引下げがなければ3,000㎡未満の開発行為は面積による許可対象から外れます。市街化区域の農林漁業者住宅には農林漁業関係の許可不要特例を使わず、市街化調整区域には小規模を理由とする除外がなく、区域外は1ha以上が許可対象です。

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読んだところを、問題で思い出してみましょう。

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出典: e-Gov法令検索「都市計画法」。このページの法令は令和8年(2026年)4月1日現在の法令にもとづきます(e-Govで確かめた日 2026年10月11日)。このページの作り方と確かめ方