宅建士 参考書|第3章 法令上の制限

建築基準法① 総則・建築確認・単体規定・防火

単体規定は全国、集団規定は原則として区域内に適用する

建築基準法は、建築物の敷地・構造・設備・用途について最低基準を定める法律です。問題を解くときは、建物そのものの安全・衛生を定める単体規定と、都市の中での建て方を定める集団規定を分けます。

規定主な内容適用区域
単体規定構造、防火、採光、換気、衛生、避難設備など原則として全国
集団規定接道、用途地域、建蔽率、容積率、高さなど原則として都市計画区域・準都市計画区域内

したがって、都市計画区域外だから建築基準法が一切適用されないという判断は誤りです。

法改正や都市計画の変更によって、適法に存在していた建築物が新しい規定に適合しなくなった場合には、一定の要件のもとで既存不適格建築物として扱われ、直ちに違反建築物になるわけではありません。

地方公共団体は条例で災害危険区域を指定し、区域内での住宅等の建築を禁止その他制限できます。「災害危険区域なら全国一律に住宅建築禁止」ではありません。

区域外でも単体規定は適用し、法改正で基準不適合になっただけなら直ちに違反建築物ではありません。

令和7年4月以後の建築確認は3区分で判断する

建築確認は工事後の届出ではありません。確認対象となる建築物について、建築や一定の大規模修繕・大規模模様替を行うときは、原則として工事着手前に確認済証の交付を受けます。確認は建築主事または指定確認検査機関が行います。

令和7年4月施行後は、旧4号建築物のイメージで判断すると誤ります。基本となる区分は次のとおりです。

区分建築物大規模修繕・模様替
1号一定の特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積が200㎡を超えるもの確認対象
2号1号以外で、階数2以上または延べ面積200㎡超の建築物確認対象
3号1号・2号以外で、都市計画区域・準都市計画区域等の指定区域内にある建築物建築は確認対象だが、大規模修繕・模様替は6条1項による確認対象ではない

このため、木造2階建住宅の大規模修繕・大規模模様替は現在は確認対象です。一方、木造平家で延べ面積200㎡以下の新3号建築物は、大規模修繕だからというだけでは確認対象になりません。

大規模の修繕・模様替とは、主要構造部の一種以上について過半を修繕・模様替するものです。主要構造部には壁、柱、床、はり、屋根、階段が含まれます。仕上げ材だけの張替えなどは、それだけで主要構造部の過半の修繕とはなりません。

2階以上または延べ200㎡超は新2号となり、大規模修繕・模様替も建築確認を確認します。

10㎡の例外と用途変更は別々に確認する

増築・改築・移転では、確認対象となる建築物でも、防火地域・準防火地域外でその部分の床面積が10㎡以内なら建築確認を要しない例外があります。反対に、防火地域・準防火地域では、この10㎡以内の例外を使いません。

用途変更も「用途を変えたら常に確認」ではありません。建築物を建築基準法別表第1の特殊建築物の用途に変更し、その用途に供する部分の床面積が200㎡を超える場合は原則として確認が必要です。ただし、政令で定める類似用途相互間の用途変更には確認不要の扱いがあります。

例えば、特殊建築物への用途変更でも200㎡以下ならこの用途変更確認の規定だけを理由に確認が必要とはなりません。また、劇場から映画館のように政令上の類似用途に当たるかも確認します。

増改築の10㎡例外は防火・準防火地域では使えず、用途変更は「特殊用途・200㎡超・類似用途か」で判断します。

確認済証の後も中間検査・完了検査がある

確認済証を受ければ、その後の検査が不要になるわけではありません。工事が特定工程に達したときは中間検査の対象となる場合があり、対象となる工事では特定工程終了後4日以内に中間検査を申請します。原則として中間検査合格証の交付を受けるまで、指定された後続工程へ進めません。

確認を受けた建築物の工事が完了したときは、原則として工事完了の日から4日以内に完了検査を申請し、検査に適合すれば検査済証が交付されます。

一定の建築物は、原則として検査済証の交付前に使用できません。ただし、特定行政庁等が安全上・防火上・避難上支障がないと認めて仮使用を承認した場合など、法定の例外があります。

確認済証は着工前、中間検査は特定工程、完了検査は完了後4日以内が基本です。

単体規定の数字は「何の高さ・面積か」まで覚える

単体規定では、似た数字を入れ替えた肢が出ます。数字だけでなく対象をセットで整理します。

論点判断
居室の天井高2.1m以上。高さの異なる部分があるときは平均の高さで判断するため「最も低い部分が2.1m以上」とは限らない
居室の換気原則として換気に有効な開口部を床面積の1/20以上設ける。ただし換気設備を設ける場合など例外がある
階段の手すり原則として手すりを設けるが、高さ1m以下の階段部分には設けなくてよい
避雷設備高さ20mを超える建築物には原則として設ける
非常用昇降機原則として高さ31mを超える建築物で必要。高さ30mというだけでは必要とならない

ホルムアルデヒドについては、発散する建築材料がすべて一律使用禁止なのではなく、材料の区分に応じた使用面積制限や換気設備などの規制があります。石綿等についても、著しく衛生上有害な物質を発散・飛散させるおそれのある建築材料の使用が規制されます。

共同住宅・劇場・百貨店などの避難設備は、用途、階、床面積等を組み合わせて決まります。「4階建なら一律に敷地内通路2m」「共同住宅の全住戸に必ず非常用照明」のような一律判断はしません。

天井2.1m・換気1/20・避雷20m超・非常用昇降機31m超を対象とセットで区別します。

防火地域・準防火地域は建物の規模と地域を組み合わせる

防火地域・準防火地域では、建築物の階数、延べ面積、構造などに応じて、主要構造部や外壁開口部に必要な防火性能が決まります。「防火地域なら木造は一切建築できない」「防火地域の建物は例外なくすべて同じ耐火建築物」という判断はしません。

建築物が防火地域と準防火地域の両方にまたがる場合は、面積の大きい側ではなく、原則として規制の厳しい防火地域の規定を建築物全体に適用します。ただし、防火上有効に区画された場合には区画した部分ごとに扱う例外があります。

防火地域内で行う増築・改築・移転は、床面積10㎡以内だから確認不要という例外を使えません。

また、防火地域内にある看板・広告塔等で、屋上に設けるものや高さ3mを超えるものは、主要な部分を不燃材料で造るなどの規制があります。

防火地域・準防火地域の規制とは別に、用途・階数・床面積により耐火性能を求める規定もあります。したがって「防火地域外だから耐火性能の規制はない」とも判断しません。

防火・準防火にまたがれば原則は厳しい側、10㎡の確認不要特例も防火・準防火では使いません。

長屋・下水道・違反建築物も一律表現に注意する

長屋・共同住宅の界壁には、遮音・防火上必要な性能が求められます。界壁を小屋裏や天井裏まで達せさせることが原則となる規定には、防火上支障がない構造とした場合など法令上の例外もあるため、「どの長屋でも例外なく必ず小屋裏まで」という言い切りには注意します。

公共下水道の処理区域内では、便所は原則として公共下水道に連結した水洗便所としなければなりません。

違反建築物に対しては、特定行政庁が除却、移転、改築、使用禁止・使用制限など必要な措置を命じることができます。緊急の必要がある場合には、通常の通知等の手続を経ずに使用禁止・使用制限命令を行える制度もあります。

建築基準法上の特定行政庁とは、建築主事を置く市町村ではその長をいい、その他の区域では都道府県知事をいいます。

建築基準法は「常に」「すべて」という肢を、条文上の例外がないか確認して判断します。

本番の形で解いてみる

基本の問題(まなクエの問題集から)

建築確認について正しいものはどれか。

  1. 建築確認は建築後に受ける
  2. 建築確認を受ければ工事中の検査は不要
  3. 建築基準法6条により建築確認の対象となる建築物については、対象となる建築・大規模修繕等を行う場合、原則として工事着手前に建築確認を受ける必要がある
  4. 木造2階建て住宅の建替えに建築確認は不要
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正解: 建築基準法6条により建築確認の対象となる建築物については、対象となる建築・大規模修繕等を行う場合、原則として工事着手前に建築確認を受ける必要がある

建築確認(建築基準法6条、2025年4月施行改正後の建築物区分を前提):同条により建築確認の対象となる建築物について、対象となる建築・大規模修繕等を行う場合は、原則として工事着手前に建築確認を受ける必要がある。『すべての建築物の大規模修繕等に建築確認が必要』というわけではなく、確認の要否は建築物の規模・構造等による区分によって異なる。

基本の問題(まなクエの問題集から)

防火地域・準防火地域での建築制限について正しいものはどれか。

  1. 防火地域内では木造建物を建築できない
  2. 防火地域・準防火地域内の建築物には、その地域、階数、延べ面積等に応じて、耐火性能等に関する基準への適合が求められる
  3. 準防火地域では建物の高さ制限がない
  4. 防火地域内の建物はすべて耐火建築物でなければならない
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正解: 防火地域・準防火地域内の建築物には、その地域、階数、延べ面積等に応じて、耐火性能等に関する基準への適合が求められる

防火地域・準防火地域内の建築物(建築基準法61条・同法施行令):その地域(防火地域か準防火地域か)、階数、延べ面積等に応じて、耐火建築物・準耐火建築物等に関する基準への適合が求められる。面積だけで一律に耐火性能の要否が決まるものではない。

事例で判断する問題(この節のために作った問題)

令和8年4月1日現在の建築基準法による建築確認について、正しいものはどれか。いずれも用途変更や増築を伴わないものとする。

  1. 木造2階建て住宅で、主要構造部である階段の全部を架け替える大規模の修繕を行う場合は、原則として工事着手前に建築確認を受ける必要がある
  2. 都市計画区域内にある木造平家建て・延べ面積150㎡の住宅は、大規模の修繕を行うだけでも必ず建築確認を受けなければならない
  3. 木造2階建て住宅でも、令和7年4月より前に建築された住宅であれば、大規模の修繕について建築確認は不要である
  4. 屋根の仕上げ材だけを全面的に交換すれば、主要構造部である屋根そのものを修繕しなくても当然に大規模の修繕となる
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正解: 木造2階建て住宅で、主要構造部である階段の全部を架け替える大規模の修繕を行う場合は、原則として工事着手前に建築確認を受ける必要がある

木造2階建て住宅は新2号建築物に当たり、主要構造部の一種以上の過半を修繕する大規模の修繕は原則として建築確認の対象です。平家建て200㎡以下の新3号建築物の大規模修繕は6条1項による確認対象ではなく、仕上げ材のみの交換も当然には主要構造部の大規模修繕となりません。

この内容を問題で確かめる

読んだところを、問題で思い出してみましょう。

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出典: e-Gov法令検索「建築基準法」。このページの法令は令和8年(2026年)4月1日現在の法令にもとづきます(e-Govで確かめた日 2026年10月11日)。このページの作り方と確かめ方