宅建士 参考書|第3章 法令上の制限
建築基準法②用途制限
用途制限は「用途地域」と「建物の用途」を組み合わせて判断する
用途地域が定められている区域では、建築基準法48条と別表第2により、建築できる建築物の用途が制限されます。住宅地ほど住環境を害する用途が強く制限され、商業系・工業系へ進むにつれて建築できる用途が広がります。
試験では、地域名だけで判断せず、住宅・店舗・ホテル・学校・病院・工場など、何を建てるのかを確認します。同じ店舗でも床面積や種類によって結論が変わります。
| 用途地域 | 試験で押さえる建築物 |
|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | 住宅のほか、一定の兼用住宅、小中学校、神社・寺院等は建築できます |
| 第二種低層住居専用地域 | 第一種低層で認められるものに加え、150㎡以下の一定の店舗・飲食店等を建築できます |
| 第一種中高層住居専用地域 | 大学・病院や500㎡以下の一定の店舗等を建築できます |
| 第二種中高層住居専用地域 | 大学・病院や1,500㎡以下の一定の店舗・事務所等を建築できますが、ホテル・旅館は原則建築できません |
用途制限は「地域名→建物の種類→床面積などの条件」の順で判断します。
住居系用途地域で間違えやすい建築物
第一種低層住居専用地域は住宅だけの地域ではありません。一定の小規模な店舗・事務所等を兼ねる住宅や、神社・寺院等も建築できます。「低層住居専用だから店舗も神社も不可」とすると誤りです。
第二種低層住居専用地域では、150㎡以下の一定の日用品店舗・飲食店等まで認められます。第一種中高層住居専用地域では500㎡以下、第二種中高層住居専用地域では1,500㎡以下の一定の店舗等まで範囲が広がります。
一方、ホテル・旅館は第二種中高層住居専用地域では原則建築できません。また、第一種住居地域でも用途・規模によって制限があり、例えば大規模な畜舎なら地域名だけを理由に建築できるとはいえません。
住居系は「住宅以外は全部不可」ではなく、種類と床面積の上限を見ます。
商業系・工業系も名前だけで決めない
近隣商業地域は周辺住民の買物などの利便を図る地域で、店舗等の用途が広く認められます。客席部分が200㎡の映画館だから近隣商業地域では建築できないという判断は誤りです。
工業地域では各種の工場を建築でき、住宅や店舗も建築できます。一方、学校・病院・ホテル等には制限があります。ただし、幼保連携型認定こども園は工業地域でも建築できます。
工業専用地域は工場のための地域で、住宅、店舗、学校、病院、ホテル等は建築できません。工業地域と工業専用地域を同じ扱いにしないことが重要です。
工業地域は住宅等も建築できますが、工業専用地域では住宅等が禁止されます。
特別用途地区では条例で用途制限を調整できる
特別用途地区は、用途地域による規制を地域の実情に合わせて補完する制度です。地方公共団体は条例で建築物の用途制限を強化することができ、国土交通大臣の承認を得れば緩和することもできます。
したがって、「特別用途地区では用途地域の制限を強めることしかできない」という判断は誤りです。地区計画等についても、法律上の要件を満たして条例を定める場合には用途制限を緩和できる制度がありますが、単に計画を定めただけで当然に緩和されるわけではありません。
これと似た名称の特定用途制限地域は都市計画法上の制度です。用途地域が定められていない区域のうち、市街化調整区域を除く区域で、良好な環境を守るため特定の建築物等の用途を制限するために定めることができます。
特別用途地区は用途地域を補完し、条例で強化、承認を得た条例で緩和もできます。
原則禁止でも許可や特別な都市計画による例外がある
用途地域で原則建築できない用途でも、建築基準法48条の要件を満たし、特定行政庁が許可した場合には建築できることがあります。原則の用途表と、個別の許可による例外を分けて考えます。
また、都市再生特別地区では、都市計画で定めた誘導すべき用途に供する建築物について、用途地域による用途制限(48条)などが適用されません。通常の用途地域の表だけで結論を出さない特例です。
まず用途地域の原則を判定し、問題文に許可・条例・特別な地区の記載があれば例外を確認します。
本番の形で解いてみる
基本の問題(まなクエの問題集から)
用途制限について正しいものはどれか(第2種低層住居専用地域)。
- 診療所を建築できない
- 工場を建築できる
- すべての商業施設を建築できる
- 床面積150㎡以下の一定の店舗を建築できる
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正解: 床面積150㎡以下の一定の店舗を建築できる
第2種低層住居専用地域(建築基準法48条別表):第1種低層住居専用地域の用途に加え、150㎡以内の店舗・飲食店(日用品)等が建築可。
基本の問題(まなクエの問題集から)
特定用途制限地域について正しいものはどれか。
- 特定用途制限地域は国土交通大臣が指定する
- 特定用途制限地域は、用途地域が定められていない区域のうち、市街化調整区域を除く区域に定めることができる
- 特定用途制限地域内では一切の建築が禁止される
- 特定用途制限地域は市街化区域内に定めることができる
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正解: 特定用途制限地域は、用途地域が定められていない区域のうち、市街化調整区域を除く区域に定めることができる
特定用途制限地域(都市計画法9条15項):用途地域が定められていない区域のうち、市街化調整区域を除く区域に定めることができる。特定の建築物等の用途を制限するために市区町村が定める。
事例で判断する問題(この節のために作った問題)
用途地域内の建築物の用途制限について、正しいものはどれか。
- 第二種中高層住居専用地域では、ホテルを原則として建築できる。
- 工業地域では、幼保連携型認定こども園を建築することができない。
- 近隣商業地域では、客席部分の床面積が200㎡の映画館は用途制限により建築できない。
- 第一種低層住居専用地域でも、一定の要件を満たす小規模な店舗等を兼ねる住宅は建築できる。
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正解: 第一種低層住居専用地域でも、一定の要件を満たす小規模な店舗等を兼ねる住宅は建築できる。
第一種低層住居専用地域でも、一定の店舗・事務所等を兼ねる住宅は建築できます。第二種中高層のホテル、工業地域の幼保連携型認定こども園、近隣商業地域の映画館の扱いを地域名だけで逆に覚えないようにします。
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宅建の問題を解く →出典: e-Gov法令検索「建築基準法」・e-Gov法令検索「都市計画法」。このページの法令は令和8年(2026年)4月1日現在の法令にもとづきます(e-Govで確かめた日 2026年10月11日)。このページの作り方と確かめ方