宅建士 参考書|第3章 法令上の制限
建築基準法③建蔽率・容積率・道路・高さ
建蔽率は敷地面積に対する建築面積の割合
建蔽率は、建築面積÷敷地面積で求めます。都市計画等で定められた建蔽率を超えて建築することは原則できません。
敷地が建蔽率の異なる2以上の地域・区域にまたがる場合は、敷地の過半が属する地域の建蔽率を一律に使うのではありません。各部分について「その地域の建蔽率×その部分の敷地面積」を計算し、合計して敷地全体の限度を求めます。
| 緩和等 | 扱い |
|---|---|
| 特定行政庁が指定する角地等 | 10%加算 |
| 一定の防火・準防火地域内の耐火・準耐火性能を備えた建築物 | 要件を満たせば10%加算 |
| 上の加算要件を双方満たす場合 | 20%加算となる場合があります |
| 指定建蔽率80%の地域で、防火地域内の耐火建築物等 | 建蔽率制限を適用しません |
角地だから自動的に10%増えるわけではなく、特定行政庁の指定が必要です。また、指定建蔽率80%・防火地域・耐火建築物等の組合せは「90%」ではなく、建蔽率制限そのものの適用除外です。
建蔽率は加重計算・10%加算・80%地域の適用除外を区別します。
容積率は指定容積率と前面道路による限度を比べる
容積率は、延べ面積÷敷地面積で求めます。前面道路の幅員が12m未満の場合は、都市計画で定めた指定容積率だけでなく、前面道路の幅員から求める限度も確認し、原則として小さい方が上限になります。
前面道路が2以上ある敷地では、幅員の最も大きい道路を前面道路として計算します。「最も狭い道路の幅員を使う」のではありません。
敷地が容積率の異なる地域にまたがる場合も、過半の地域だけを適用せず、各部分の面積に応じて計算します。
| 延べ面積への算入 | 代表的な扱い |
|---|---|
| 住宅の地階 | 住宅用途部分について一定限度まで容積率算定から除外できます |
| 共同住宅等の共用廊下・階段 | 一定のものは容積率算定の基礎となる延べ面積に算入しません |
| 自動車車庫等 | 建築物全体の床面積との関係で一定限度まで算入しません |
老人ホーム等についても、法令上の要件を満たす共用廊下・階段等には容積率算定上の不算入措置があります。
容積率は「指定値だけ」で決めず、前面道路(2以上なら最大幅員)・不算入部分・地域またがりも確認します。
道路の定義・接道2m・道路内建築を別々に判断する
建築基準法上の道路は、単に現地で通行できる道というだけでは足りません。原則として幅員4m以上の法42条1項道路のほか、法が適用された時点で建築物が立ち並んでいる幅員4m未満の道で、特定行政庁が指定したものは2項道路として道路とみなされます。
幅員4m未満だから直ちに道路ではない、という判断は誤りです。また、土地の状況により通常の基準によることが困難な場合には、法42条3項による特別な指定があります。
都市計画区域・準都市計画区域内では、建築物の敷地は原則として道路に2m以上接しなければなりません。袋路状道路に接する建築物などについて、地方公共団体の条例が一定の建築物に追加の制限を設けることもあります。
建築物や敷地を支える擁壁は原則として道路境界線を越えて設けることができず、建築物も原則として道路内に建築できません。ただし、地盤面下の建築物は道路内建築禁止の例外です。公衆便所や巡査派出所等は、公益上必要で通行上支障がないなどの要件を満たして特定行政庁の許可を受ける例外であり、無許可で自由に建築できるわけではありません。
「道路か」「2m接道しているか」「道路内に建てられるか」は3段階で別々に判定します。
絶対高さ・斜線・日影は対象地域と基準が違う
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域では、都市計画で定める10mまたは12mの絶対高さ制限があります。第一種住居地域には、この規定による10m・12mの絶対高さ制限はありません。
| 高さ規制 | 判断のポイント |
|---|---|
| 道路斜線制限 | 前面道路の反対側の境界線を基準に、用途地域等ごとの勾配・適用距離で制限します |
| 隣地斜線制限 | 隣地境界側から一定の立上がりと勾配で建築物の高さを制限します |
| 北側斜線制限 | 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域、一定の第一種・第二種中高層住居専用地域が対象です |
| 日影規制 | 条例で指定された区域で、冬至日の午前8時から午後4時までの日影を基準にします |
田園住居地域には北側斜線制限があります。「田園住居地域には北側斜線がない」という判断は誤りです。
日影規制は夏至ではなく冬至日を基準にします。また、建築物自体が日影規制の対象区域外にあっても、対象区域内に一定の日影を生じさせる場合には規制が及ぶことがあります。
低層3地域は10m・12m、日影は冬至、田園住居地域には北側斜線があります。
天空率・総合設計などの特例は「どの規制が外れるか」を見る
天空率は斜線制限の代替となる仕組みです。法定の天空率の基準を満たす場合には、建築基準法56条1項による一定の斜線制限を適用しません。ただし、絶対高さ制限や日影規制など別の高さ規制まで一括してなくなるわけではありません。
総合設計制度では、敷地内に一定の空地を確保し、市街地環境の整備改善に資すると特定行政庁が認めて許可した建築物について、容積率や道路斜線等の高さ制限を許可の範囲内で緩和できます。建蔽率まで当然に限度を超えられる制度ではありません。
都市再生特別地区では、容積率・建蔽率・高さなどを都市計画で独自に定めます。地区内の建築物には斜線制限(56条)や高度地区の高さ制限(58条)が適用されません。一方、日影規制は対象区域外にある建築物とみなして適用されるため、周りの対象区域に日影を落とす場合の規制は残ります。
特定用途誘導地区など個別の地区制度では、その地区について定められた高さの最高限度に対し、法律が定める許可による例外があります。通常の用途地域の高さ制限と、地区固有の制限・特例を混同しません。
特例問題は「何でも緩和」と考えず、容積率・建蔽率・斜線・日影のどれが対象かを確認します。
建築協定は土地所有者等の合意に公的な効力を与える
建築協定は、土地所有者等が、区域内の建築物について敷地・位置・構造・用途・形態・意匠・建築設備などの基準を定める制度です。法律の最低基準より厳しい独自のルールを設けることができます。
協定の成立後、特定行政庁の認可を受け、認可の公告がされます。認可の公告後に建築協定区域内の土地所有者等となった者にも、原則として効力が及びます。したがって、後から土地を取得しただけで協定を無視できるわけではありません。
ただし、協定に合意しなかった者が有する土地について、その所有権を承継した者など、法律上効力が及ばない例外があります。「公告後に取得した者には一律に効力が及ぶ」とまで言い切らないようにします。
建築協定は認可・公告後の取得者にも原則効きますが、非合意地の承継などには例外があります。
本番の形で解いてみる
基本の問題(まなクエの問題集から)
指定建蔽率が80%の地域で、防火地域内に耐火建築物等を建築する場合の建蔽率について正しいものはどれか。
- 建蔽率は80%のままである
- 建蔽率は90%になる
- 建蔽率は一律100%と指定される
- 建蔽率の制限は適用されない
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正解: 建蔽率の制限は適用されない
建蔽率の制限の適用除外(建築基準法53条6項1号):指定建蔽率が80%の地域において、防火地域内に耐火建築物等を建築する場合、建蔽率の制限は適用されない(建蔽率100%まで建築可能)。これは、指定建蔽率が80%でない地域における+10%の緩和(53条3項)とは異なる、適用除外の規定である。
基本の問題(まなクエの問題集から)
特定行政庁による建蔽率の角地加算について正しいものはどれか。
- 角地は自動的に建蔽率が10%加算される
- 角地加算は住居専用地域のみに適用される
- 特定行政庁が指定する角地では建蔽率が10%加算される
- 角地加算はない
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正解: 特定行政庁が指定する角地では建蔽率が10%加算される
角地加算(建築基準法53条3項):特定行政庁が指定する敷地(角地等)では10%加算。自動加算ではなく特定行政庁の指定が必要。
事例で判断する問題(この節のために作った問題)
建築基準法による集団規定について、正しいものはどれか。
- 敷地が指定建蔽率60%の地域と80%の地域にまたがる場合、敷地面積の過半が属する地域の建蔽率を敷地全体に適用する。
- 前面道路が2以上ある敷地の容積率は、常に最も幅員の小さい前面道路だけを基準に算定する。
- 道路内に設ける公衆便所は公益上必要な建築物なので、特定行政庁の許可を受けなくても建築できる。
- 第一種低層住居専用地域では、都市計画で建築物の高さの限度を10mまたは12mとして定める。
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正解: 第一種低層住居専用地域では、都市計画で建築物の高さの限度を10mまたは12mとして定める。
第一種低層住居専用地域の絶対高さは10mまたは12mです。地域をまたぐ建蔽率は面積に応じて計算し、前面道路が2以上なら幅員の最も大きい道路を基準にし、公衆便所の道路内建築には所定の許可が必要です。
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宅建の問題を解く →出典: e-Gov法令検索「建築基準法」。このページの法令は令和8年(2026年)4月1日現在の法令にもとづきます(e-Govで確かめた日 2026年10月11日)。このページの作り方と確かめ方