宅建士 参考書|第3章 法令上の制限

土地区画整理法

土地区画整理事業は公共施設整備と宅地利用の増進を一体で行う

土地区画整理事業は、都市計画区域内の土地について、道路・公園などの公共施設を整備しながら、宅地の区画形質を整えて利用を増進する事業です。

施行者には、個人、土地区画整理組合、区画整理会社、地方公共団体などがあります。事業では、従前の宅地に代わる換地を定め、工事中は必要に応じて仮換地を指定します。

試験では、組合の設立、施行地区内の行為制限、仮換地指定後に誰がどの土地を使えるか、換地処分の公告後に権利がどうなるかを分けて判断します。

区画整理は「組合→行為制限→仮換地→換地処分→清算」の流れで整理します。

組合は7人以上が発起人となり、所有者・借地権者が組合員になる

土地区画整理組合を設立するときは、施行地区内の宅地について所有権または借地権を有する者7人以上が共同して発起人となり、定款と事業計画を定め、都道府県知事等の認可を受けます。

設立には、宅地所有者・借地権者について法定の3分の2以上の同意が必要で、人数だけでなく地積についての同意要件も満たさなければなりません。

組合が成立すると、施行地区内の宅地所有者と借地権者は原則として組合員になります。任意加入制ではありません。宅地を取得して所有者となった者などは、前の組合員が有していた組合上の権利義務を承継します。

組合は7人以上で発起し、設立後は区域内の所有者・借地権者が原則組合員です。

施行地区内の建築・土地形質変更は施行者ではなく知事等の許可をみる

事業の認可等の公告後、換地処分の公告の日までの間に、施行地区内で事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質変更、建築物その他の工作物の新築・改築・増築などを行うには、原則として都道府県知事等の許可が必要です。

組合施行だからといって「土地区画整理組合の許可」を受ける制度ではありません。ここは本試験で入れ替えられやすい部分です。

仮換地指定に伴って工事上必要となるときは、施行者は建築物等を移転し、または除却することができます。そのため通常生ずべき損失には補償の規定があります。

施行地区内の建築等は、原則として知事等の許可であり、組合の許可ではありません。

仮換地指定後は従前地を使えず、仮換地を使うのが原則

施行者は、換地処分までの間、必要に応じて仮換地を指定できます。仮換地は最終的な換地そのものではなく、工事期間中の使用収益関係を調整するための土地です。

仮換地指定の効力が生じると、従前の宅地を使用・収益できなくなり、原則として仮換地を使用・収益できるようになります。ただし、仮換地について使用または収益を開始できる日を別に定めることができます。その場合、指定の効力発生日と使用開始日は一致しません。

仮換地指定によって従前地の所有権そのものが消滅するわけではありません。また、仮換地指定から換地処分までの間に土地の売買や登記が一律に禁止されるわけでもありません。

仮換地は使用収益の場所を動かす制度で、所有権そのものを直ちに移す制度ではありません。

換地は照応して定め、価値の過不足は清算金で調整する

換地計画では、原則として、換地と従前の宅地について、位置、地積、土質、水利、利用状況、環境などが照応するように定めます。同一面積・同一形状でなければならないわけではありません。

換地と従前地の価値に不均衡が生じるときは、換地計画で清算金を定めます。換地の価値が従前地より大きければ徴収され、小さければ交付されるのが基本です。

清算金は換地処分の公告によって確定し、その後に徴収・交付します。仮換地の指定時などに、清算金に相当する金額を仮に徴収・交付する「仮清算」の制度は別にあります。

換地は「同じ土地」ではなく照応する土地で、差額は清算金で調整します。

換地処分の公告の翌日に権利関係が切り替わる

換地処分は、原則として換地計画に係る区域の全部について工事が完了した後に行います。ただし、定款などに別段の定めがある場合には、工事完了前に換地処分をすることもできます。

換地処分が行われると都道府県知事等が公告し、その公告の日の翌日から、換地は従前の宅地とみなされ、従前地上の権利関係が換地へ移ります。保留地は、原則としてその翌日に施行者が取得します。

換地処分後は、施行者が換地に伴う登記をまとめて行います。その登記がされるまで、施行地区内の土地・建物について他の登記申請が制限されます。登記制限を「仮換地指定後から」と取り違えないようにします。

権利の切替えは換地処分公告の翌日、登記制限は換地処分後の登記手続と結び付けます。

本番の形で解いてみる

基本の問題(まなクエの問題集から)

土地区画整理組合について正しいものはどれか。

  1. 組合の設立には、施行地区内の宅地所有者・借地権者について、人数だけでなく、それぞれの地積についても所定の3分の2以上の同意が必要
  2. 組合員になることは任意
  3. 土地区画整理組合は誰でも設立できる
  4. 組合は都道府県知事の設立認可が不要
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正解: 組合の設立には、施行地区内の宅地所有者・借地権者について、人数だけでなく、それぞれの地積についても所定の3分の2以上の同意が必要

土地区画整理組合(土地区画整理法14条):7人以上の宅地所有者・借地権者が発起人となり、施行地区内の宅地所有者・借地権者について、人数の3分の2以上に加え、それぞれの地積の3分の2以上の同意を得て、都道府県知事等に設立の認可を申請する。人数の3分の2だけで成立するわけではない。

基本の問題(まなクエの問題集から)

土地区画整理事業における仮換地について正しいものはどれか。

  1. 仮換地の期間中は地代は支払わなくてよい
  2. 仮換地では建築は一切できない
  3. 仮換地の指定があると仮換地を使用・収益でき、施行前の土地の使用・収益は制限される
  4. 仮換地の指定があると施行前の土地の使用権は消滅する
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正解: 仮換地の指定があると仮換地を使用・収益でき、施行前の土地の使用・収益は制限される

仮換地の指定(土地区画整理法98条)が行われると、仮換地指定後の使用収益等の効果(土地区画整理法99条)として、仮換地を使用・収益することができるようになり、従前の土地の使用・収益は制限される。使用収益権そのものが移転するわけではない。

事例で判断する問題(この節のために作った問題)

土地区画整理事業で仮換地が指定され、その効力発生日とは別の日が仮換地の使用収益開始日として指定された場合の説明として正しいものはどれか。

  1. 仮換地指定の効力発生日から必ず仮換地を使用収益できる
  2. 使用収益開始日までは従前地も仮換地も使用収益できないことがある
  3. 仮換地指定により従前地の所有権は直ちに消滅する
  4. 仮換地指定後は換地処分まで土地の売買と登記が一切禁止される
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正解: 使用収益開始日までは従前地も仮換地も使用収益できないことがある

仮換地の使用収益開始日は、指定の効力発生日と別に定めることができます。その間、従前地は使用収益できず、仮換地もまだ使用収益できない場合があります。

この内容を問題で確かめる

読んだところを、問題で思い出してみましょう。

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出典: e-Gov法令検索「土地区画整理法」。このページの法令は令和8年(2026年)4月1日現在の法令にもとづきます(e-Govで確かめた日 2026年10月11日)。このページの作り方と確かめ方