宅建士 参考書|第5章 5問免除の範囲

土地の地形・地盤と災害リスク

まず地形から災害リスクを判断する

土地の問題では、地形の名前から地盤の安定性・水害・液状化・斜面災害を判断します。同じ土地でも災害の種類によって評価が変わるため、「安全・危険」を一括りにせず、何の災害に弱いのかを見ます。

地形特徴と判断
台地・段丘一般に低地より古い地層からなり、地盤が比較的安定しています。水はけも比較的よく、低地より洪水などの災害に対する安全度が高い傾向があります。
低地河川などが運んだ新しい堆積物からなる場所が多く、軟弱地盤、水害、地震時の大きな揺れなどに注意します。
扇状地山地から流れ出た河川が砂礫を扇状に堆積させてできた地形です。一般に砂礫質ですが、扇状地だから一律に安全とは判断できず、山地に近い部分では土石流にも注意します。
三角州河口付近に細粒の土砂が堆積した低平な土地です。軟弱地盤や浸水、液状化に注意します。
谷底低地谷部に土砂が堆積した低地で、軟弱な地層や地下水の影響を受けやすく、浸水や地震時の揺れに注意します。

台地の中でも、周囲より低い浅い谷状の部分では豪雨時に水が集まり、一時的に浸水することがあります。

台地・段丘は比較的安定、低地・三角州・谷底低地は水と軟弱地盤に注意します。

旧河道・自然堤防・埋立地は水と液状化を見る

川や水辺に由来する土地では、現在の見た目だけでなく過去に川・池・沼だったかを見ます。

  • 旧河道は、かつて河川だった場所です。地下水位が高く、軟弱な堆積物を含む場合があり、地震時の液状化に注意します。
  • 池や沼、谷を埋め立てた土地も、周囲の自然地盤と性質が異なり、沈下や液状化が生じることがあります。
  • 自然堤防は、洪水時に河道沿いへ砂質土などが堆積してできた微高地です。その背後には低湿な後背湿地が形成されることがあります。
  • 砂州・砂丘でも、地下水位が浅く、緩い砂質地盤であれば液状化が生じやすくなります。
  • 埋立地は人工的に造成された土地です。地盤条件や造成方法によって沈下・液状化に注意しますが、「埋立地だから住宅地に利用できない」とは限りません。

干拓地は、水面を堤防で締め切って排水して陸地化した土地です。埋立地と干拓地を名称だけで比較し、一方が常に安全と判断することはできません。

旧河道・池沼跡・埋立地・地下水位の浅い砂地では、液状化を疑います。

山地・丘陵地・崖では斜面崩壊を見る

山地や丘陵地では、洪水よりも地すべり・崖崩れ・土石流などの斜面災害が中心です。

  • 山地は一般に起伏が大きく急斜面が多く、大部分が森林に覆われています。
  • 森林には雨水を一時的に保持し、流出を緩和する働きがありますが、森林があれば斜面災害が起こらないわけではありません。
  • 地すべり地形では、移動土塊の末端部などに急斜面ができることがあり、崩壊に注意します。
  • 破砕された岩盤や風化した地盤では、豪雨によって崩壊することがあります。
  • 崖錐は崖下に落下した岩屑などが堆積した地形で、山地の谷出口などと同様、土砂移動の影響を無視できません。
  • 火山の山麓では、斜面災害に加えて噴火、火砕流、火山泥流など火山活動に伴う災害も考えます。

丘陵地は山地より一般に斜面が緩やかですが、宅地造成による切土・盛土が行われた場所では造成部分の安定性を別に確認します。

山地・丘陵地は斜面を見る。地すべり地形、破砕・風化地盤、谷出口や造成地は要注意です。

造成地では盛土と切土を区別する

傾斜地を平らに造成するときは、地盤を削る切土と、土を盛る盛土が使われます。

一般に、元から存在する地山を削った切土部分は、人工的に土を盛った部分より安定しやすい傾向があります。盛土では、締固めや排水が不十分だと沈下や崩壊につながります。

丘陵地の造成では、盛土部分に適切な締固めと排水施設を設け、雨水や地下水を適切に排除することが重要です。切土と盛土の境界をまたぐ建物では、地盤性状の違いにも注意します。

造成斜面は「切土か盛土か」を見て、盛土では締固めと排水を重視します。

擁壁は土圧と水を処理する構造物

擁壁は、背後の土が崩れないように支える構造物です。重力式擁壁は、主として擁壁自身の重さによって土圧に抵抗します。

擁壁には土圧だけでなく背面の水圧も作用するため、技術基準の対象となる擁壁では排水が重要です。水抜き穴などにより背面の水を排出します。したがって、擁壁の安全性を高さだけで判断してはいけません。

現在の盛土等に関する技術基準では、一定の切土・盛土によって崖が生じる場合には、地盤条件などに応じて擁壁、崖面崩壊防止施設その他の措置を講じます。

擁壁は土を支えるだけでなく、背面の水を逃がすことも重要です。

地形名だけでなく現地の条件で判断する

土地の安全性は、地形名だけで機械的に決められません。ハザードマップでは洪水、土砂災害、津波など複数の災害リスクを確認でき、地域によっては複数の情報を重ねて表示できます。

津波は防波堤などの施設だけで完全に防止できるものではありません。また、岩石も種類の名前だけから「崩壊しにくい」と断定できません。凝灰岩、頁岩、花崗岩なども、風化や割れ目などの状態によって崩壊しやすくなることがあります。

工場跡地や埋立地などでは、過去の土地利用によって土壌汚染が問題となる場合があります。これは地盤の強弱とは別の確認事項です。

土地は地形・地下水・造成履歴・過去の利用を組み合わせて判断します。

本番の形で解いてみる

事例で判断する問題(この節のために作った問題)

宅地の地形と災害リスクに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 台地や段丘は、一般に低地より地盤が安定し、洪水などに対する安全度も高い傾向がある。
  2. 旧河道や池沼を埋め立てた土地では、地震時の液状化に注意する必要がある。
  3. 三角州は河口付近に土砂が堆積した低平な土地であり、軟弱地盤や浸水に注意する。
  4. 扇状地は山地から運ばれた砂礫からできるため、土石流を含む災害を考慮する必要はない。
答えと解説を見る

正解: 扇状地は山地から運ばれた砂礫からできるため、土石流を含む災害を考慮する必要はない。

扇状地は山地からの土砂が堆積した地形ですが、特に山地に近い部分などでは土石流にも注意します。砂礫質であることだけから安全とは判断できません。

事例で判断する問題(この節のために作った問題)

丘陵地を造成した宅地について、最も適切な記述はどれか。

  1. 盛土部分は人工的に締め固めるため、切土部分より常に安定している。
  2. 盛土部分では締固めや排水が不十分だと沈下や崩壊につながることがある。
  3. 切土部分と盛土部分では地盤性状が必ず同じになる。
  4. 丘陵地は山地より斜面が緩いため、造成後の排水を考える必要はない。
答えと解説を見る

正解: 盛土部分では締固めや排水が不十分だと沈下や崩壊につながることがある。

造成地の盛土では、十分な締固めと排水が重要です。一般に地山を削った切土部分より、人工的な盛土部分の安定性に注意します。

事例で判断する問題(この節のために作った問題)

土地を購入しようとしているAは、地下水位が浅い砂質地盤にある旧河道上の宅地を検討している。この土地の災害リスクについて最も適切なものはどれか。

  1. 旧河道であっても現在河川がなければ液状化を考慮する必要はない。
  2. 地下水位が浅い砂質地盤では、地震時の液状化に注意する。
  3. 旧河道は台地と同じく古い地層で構成されるため、一般に地盤は強固である。
  4. 砂質地盤では地下水位にかかわらず液状化は起こらない。
答えと解説を見る

正解: 地下水位が浅い砂質地盤では、地震時の液状化に注意する。

液状化は、地下水位が浅い緩い砂質地盤などで生じやすくなります。旧河道は過去の河川跡であり、液状化を考える代表的な地形の一つです。

この内容を問題で確かめる

読んだところを、問題で思い出してみましょう。

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出典: 一般財団法人不動産適正取引推進機構「宅地建物取引士資格試験」の試験問題(平成29年度〜令和7年度)の出題をもとに整理(2026年10月11日)。このページの作り方と確かめ方