登録販売者 参考書|第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識

副作用とアレルギー

副作用の定義と現れ方

世界保健機関(WHO)は、医薬品の副作用を、疾病の予防・診断・治療、または身体の機能を正常化するために、人に通常用いられる量で生じる、有害かつ意図しない反応としています。

副作用には、眠気や口渇のような比較的よく見られるものも、日常生活に支障を来す程度の重大な健康被害も含まれます。眠気や口渇だから副作用ではない、という整理は誤りです。

また、副作用は本人が気付きやすいものだけではありません。血液や内臓機能への影響のように、明確な自覚症状として現れないものもあります。

副作用は「通常量で生じる有害かつ意図しない反応」で、自覚できないものもあります。

薬理作用による副作用

医薬品の有効成分である薬物が、生体の生理機能に影響を与えることを薬理作用といいます。薬物は通常、複数の薬理作用を併せ持つため、期待する有益な反応である主作用以外の反応も現れることがあります。

主作用以外の反応でも、特に不都合を生じないものは通常、副作用として扱われません。主作用以外の反応のうち、好ましくないものが一般に副作用とされます。

複数の疾病がある人では、ある疾病に対して薬効を示す作用が、別の疾病の症状を悪化させたり、その治療を妨げたりすることがあります。

論点判断
薬物の薬理作用通常は複数の作用を併せ持ちます
主作用以外の反応不都合がなければ通常は副作用として扱いません
別の疾病への影響症状を悪化させたり、治療を妨げたりすることがあります

薬物は複数の薬理作用を持ち、別の疾病を悪化させることもあります。

アレルギーは薬理作用と別に起こる

免疫は、細菌やウイルスなどが人体に取り込まれたとき、人体を防御するために生じる反応です。通常の免疫反応で起こる炎症、痛み、発熱などは、有害なものを体内から排除するために必要な過程です。

一方、免疫機構が過敏に反応して好ましくない症状を引き起こすことがあります。これがアレルギーです。アレルギーは一般的にあらゆる物質によって起こり得るため、医薬品の薬理作用等とは関係なく起こり得ます。

アレルギーは内服薬だけでなく、外用薬等でも引き起こされることがあります。普段は医薬品にアレルギーを起こしたことがない人でも、病気等に対する抵抗力が低下している状態などの場合には、医薬品がアレルゲンになることがあり、思わぬアレルギーを生じることがあります。

アレルギーは薬理作用とは関係なく起こり、内服薬だけでなく外用薬でも生じます。

アレルギー症状と血管性浮腫

アレルギーでは、体の各部位に炎症などの反応が生じます。代表的なものとして、流涙や眼の痒みなどの結膜炎症状、鼻汁やくしゃみなどの鼻炎症状、蕁麻疹・湿疹・かぶれなどの皮膚症状、血管性浮腫のようなやや広い範囲の腫れがあります。

血管性浮腫は、皮膚の下の毛細血管が拡張し、その部分に局所的な腫れを生じるものです。蕁麻疹とは異なり、痒みを生じることは少なく、全身で起こり得ますが、特に目や口の周り、手足などで起こる場合が多いとされています。

区分主な内容
結膜炎症状流涙、眼の痒み等
鼻炎症状鼻汁、くしゃみ等
皮膚症状蕁麻疹、湿疹、かぶれ等
血管性浮腫やや広い範囲の腫れ。痒みは少ない

血管性浮腫は局所的な腫れを生じ、蕁麻疹と違って痒みは少ないのが特徴です。

有効成分以外もアレルゲンになる

アレルギーの原因となるのは有効成分だけではありません。基本的に薬理作用がない添加物も、アレルゲンとなり得ます。

対象アレルギーとの関係
有効成分アレルゲンとなり得ます
添加物基本的に薬理作用がなくてもアレルゲンとなり得ます
黄色4号(タートラジン)アレルゲンとなり得る添加物として知られています
カゼインアレルゲンとなり得る添加物として知られています
亜硫酸塩亜硫酸ナトリウム、ピロ硫酸カリウム等が知られています

また、医薬品の中には鶏卵や牛乳等を原材料として作られているものがあります。そのため、それらに対するアレルギーがある人では、使用を避けなければならない場合があります。

添加物もアレルゲンになり、黄色4号・カゼイン・亜硫酸塩等が知られています。

アレルギーを起こしやすい条件

普段は医薬品でアレルギーを起こしたことがない人でも、病気等に対する抵抗力が低下している状態などでは、医薬品がアレルゲンとなり、思わぬアレルギーを生じることがあります。

また、アレルギーには体質的・遺伝的な要素があります。本人がアレルギーを起こしやすい体質である場合や、近い親族にアレルギー体質の人がいる場合には注意が必要です。

医薬品を使用してアレルギーを起こしたことがある人は、その原因となった医薬品の使用を避ける必要があります。

未経験でも抵抗力低下時には起こり得て、原因となった医薬品は以後避けます。

副作用が疑われるときの対応

医薬品が人体に及ぼす作用は、すべてが解明されているわけではありません。そのため、十分注意して適正に使用していても、副作用が生じることがあります。

一般用医薬品は軽度な疾病に伴う症状の改善等を図るためのものであり、通常は使用中断による不利益より、重大な副作用を回避することが優先されます。重大な副作用の兆候が現れたときには、基本的に使用を中止し、必要に応じて医師、薬剤師などへ相談します。

販売等に従事する専門家は、副作用が起きた経過を十分に聴き、その後の適切な医薬品の選択に役立つ情報を提供します。状況によっては、速やかに適切な医療機関を受診するよう勧奨する必要があります。

さらに、副作用には自覚症状が明確でないものもあるため、継続して使用する場合には、特段の異常が感じられなくても医療機関を受診するよう促すことも重要です。

重大な副作用の兆候では基本的に使用を中止し、状況に応じて受診を勧めます。

本番の形で解いてみる

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

医薬品の副作用及びアレルギーに関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

  • a WHOの定義では、疾病の予防のために通常用いられる量で生じる有害かつ意図しない反応も、副作用に含まれる。
  • b 薬物は通常、単一の薬理作用のみを持つため、主作用以外の反応は医薬品の併用時に限って現れる。
  • c アレルギーは医薬品の薬理作用等とは関係なく起こり得る。
  • d 一般用医薬品で重大な副作用の兆候が現れた場合は、通常、使用中断による不利益の回避を優先して使用を継続する。
  1. a正 b正 c誤 d誤
  2. a正 b誤 c正 d誤
  3. a誤 b正 c正 d誤
  4. a正 b誤 c誤 d正
  5. a誤 b誤 c正 d正
答えと解説を見る

正解: a正 b誤 c正 d誤

aは正しいです。WHOの定義には疾病の予防も含まれます。bは誤りで、薬物は通常、複数の薬理作用を併せ持ちます。cは正しいです。アレルギーは薬理作用等とは関係なく起こり得ます。dは誤りで、一般用医薬品では通常、使用中断による不利益より重大な副作用の回避が優先され、兆候が現れたときは基本的に使用を中止します。まちがえやすい点:『適正に使えば副作用は起きない』『中断の不利益を優先する』という入れ替えに注意します。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

アレルギーに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

  • a 医薬品の添加物は基本的に薬理作用がないため、アレルゲンにはなり得ない。
  • b 血管性浮腫は皮膚の下の毛細血管が拡張して局所的な腫れを生じ、蕁麻疹と比べて痒みを生じることは少ない。
  • c 過去に医薬品でアレルギーを起こしたことがない人でも、病気等に対する抵抗力が低下している状態では、思わぬアレルギーを生じることがある。
  • d アレルギーは内服薬では起こり得るが、外用薬では引き起こされない。
  1. aとb
  2. aとc
  3. bとc
  4. bとd
  5. cとd
答えと解説を見る

正解: bとc

正しいのはbとcです。aは誤りで、基本的に薬理作用がない添加物もアレルゲンとなり得ます。bは血管性浮腫の説明として正しいです。cも正しく、抵抗力が低下している状態などでは、これまでアレルギーがなかった人にも生じることがあります。dは誤りで、アレルギーは内服薬だけでなく外用薬等でも引き起こされます。まちがえやすい点:『薬理作用がない=アレルギーも起こさない』ではありません。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

一般用医薬品を継続して使用している購入者から相談を受けた。次の対応又は説明のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 特段の異常を自覚していなければ、副作用は生じていないと判断し、医療機関の受診を促す必要はないと説明する。
  2. 重大な副作用の兆候が現れても、一般用医薬品では通常、使用中断による不利益を避けることを優先して継続使用するよう説明する。
  3. 過去に医薬品でアレルギーを起こしたことがない人には、抵抗力が低下している状態でも医薬品によるアレルギーは生じないと説明する。
  4. 副作用の発生経過を十分に聴き、状況によっては速やかに適切な医療機関を受診するよう勧める。また、継続使用では自覚症状がなくても受診を促すことが重要であると説明する。
  5. 以前にある医薬品でアレルギーを起こした人には、その後に体調が回復していれば、原因となった医薬品を再び使用できると説明する。
答えと解説を見る

正解: 副作用の発生経過を十分に聴き、状況によっては速やかに適切な医療機関を受診するよう勧める。また、継続使用では自覚症状がなくても受診を促すことが重要であると説明する。

適切なのは、副作用の発生経過を十分に聴き、状況に応じて速やかな医療機関の受診を勧める対応です。副作用には血液や内臓機能への影響など、自覚症状が明確でないものもあるため、継続使用では異常を感じなくても受診を促すことが重要です。重大な副作用の兆候が現れた場合は基本的に使用を中止します。また、過去にアレルギーの原因となった医薬品は使用を避ける必要があります。まちがえやすい点:『自覚症状がない=副作用がない』とは判断しません。

出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方