登録販売者 参考書|第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識
不適正な使用と相互作用
誤解や認識不足による不適正な使用
医薬品は、疾病や症状に合ったものを選び、定められた量や使い方で使用する必要があります。適正に使用されなければ、症状の悪化、副作用、事故などにつながる危険性が高くなります。
一般用医薬品では、購入者等の誤解や認識不足から不適正な使用が起こることがあります。例えば、症状が改善しないのに同じ医薬品を使い続けたり、根本的な治療や生活習慣の改善を行わず、症状を一時的に抑えるだけの使用を漫然と続けたりすると、副作用の危険性が増すだけでなく、適切な治療の機会を失いやすくなります。
定められた用量を超えて服用したり、小児への使用を避けるべき医薬品を「大人用の半量ならよい」と考えて服用させたりすることも、副作用につながる危険性を高めます。人体に直接使用しない医薬品でも、使い方や判断を誤れば副作用につながることがあります。
一般用医薬品は使用する本人が判断する場面が多いため、販売時には専門家が、購入者等の理解力や使用状況に合わせて正しい情報を伝えることが重要です。
誤った選択・用量・使い方や漫然使用は、副作用と治療機会の喪失につながります。
長期連用で起こる問題
指示どおりの使用量であっても、一般用医薬品を長期にわたりほぼ毎日使用することが問題になる場合があります。「用量を守っているから長期連用しても安全」とは判断できません。
便秘薬、総合感冒薬、解熱鎮痛薬などを長期連用すると、症状を抑えているために重篤な疾患の発見が遅れたり、肝臓や腎臓など医薬品を代謝する器官を傷めたりする可能性があります。
また、長期連用によって精神的な依存が起こり、使用量が増え、購入に伴う経済的な負担が大きくなる例もあります。
症状が改善しないまま使用を続けている人には、同じ医薬品を続けることだけを勧めるのではなく、適切な治療の機会を失わないようにすることが重要です。
指示量でも長期連用は、疾患発見の遅れ、肝臓・腎臓への影響、精神的依存につながり得ます。
乱用と薬物依存
医薬品は、目的とする効果に対して副作用の危険性が小さくなるよう、使用する量や使い方が定められています。本来の目的以外の意図で用量を超えて服用したり、みだりに他の医薬品や酒類等と一緒に摂取したりする行為は乱用に当たります。
乱用すると、過量摂取による急性中毒等の危険性が高まり、繰り返せば慢性的な臓器障害等を生じるおそれがあります。一般用医薬品にも習慣性・依存性がある成分を含むものがあります。
青少年は、薬物乱用の危険性についての認識や理解が必ずしも十分ではなく、身近な薬物を興味本位で乱用することがあります。適正に使えば安全かつ有効な医薬品でも、乱用されると薬物依存を生じることがあり、一度形成された薬物依存から離脱することは容易ではありません。
販売等に従事する専門家は、必要以上の大量購入や頻回購入を試みる人には慎重に対応し、積極的に事情を尋ね、状況によっては販売を差し控えることが望まれます。
乱用は急性中毒や慢性的な臓器障害、薬物依存につながり、大量・頻回購入には慎重に対応します。
相互作用は増強と減弱の両方
複数の医薬品を併用した場合や、特定の食品と一緒に摂取した場合に、医薬品の作用が増強したり減弱したりすることを相互作用といいます。
作用が増強すると、作用が強く出過ぎたり、副作用が発生しやすくなったりします。反対に作用が減弱すると、十分な効果が得られないなどの不都合が生じます。
相互作用は、吸収・分布・代謝・排泄の過程で起こるものと、医薬品が薬理作用をもたらす部位で起こるものがあります。どちらか一方だけではありません。
相互作用を避けるためには、医薬品を使用している期間だけでなく、その前後を通じて、相互作用を生じるおそれのある医薬品や食品の摂取を控える必要があるのが通常です。
相互作用は作用の増強・減弱の両方があり、体内動態の過程でも作用部位でも起こります。
医薬品同士は成分の重複を見る
一般用医薬品には、作用の異なる複数の成分が配合されているものが多くあります。別の医薬品と併用すると、同様な作用を持つ成分が重複し、作用が強く出過ぎたり、副作用の危険性が増したりすることがあります。
| 確認する対象 | 手引き上の判断 |
|---|---|
| かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮静薬、鎮咳去痰薬、アレルギー用薬等 | 成分や作用が重複することが多く、通常はこれらの薬効群に属する医薬品の併用を避けます。 |
| 症状が明確な場合 | 相互作用による副作用のリスクを減らすため、その症状に合った成分のみが配合された医薬品を選ぶことが望まれます。 |
| 複数の疾病がある人 | 疾病ごとに医薬品が使用される場合が多く、医薬品同士の相互作用に特に注意が必要です。 |
| 医療機関・薬局から交付された薬剤を使用中 | 一般用医薬品を併用してよいか、診療を行った医師・歯科医師又は調剤した薬剤師に確認します。 |
一般用医薬品の販売等に従事する専門家が、医療用医薬品との併用可否を自ら決めるのではありません。購入者等には、医師・歯科医師又は調剤した薬剤師へ相談するよう説明します。
一般用医薬品同士は成分重複を確認し、治療中の併用は医師・歯科医師・薬剤師に確認します。
食品との飲み合わせ
食品と医薬品の相互作用は「飲み合わせ」と表現され、食品と飲み薬が体内で相互作用する場合が主に想定されます。ただし、外用薬や注射薬でも、食品によって作用や代謝に影響を受ける可能性があります。
| 組合せ・状況 | 起こり得ること |
|---|---|
| 酒類と医薬品 | アルコールは医薬品の吸収や代謝に影響を与えることがあります。 |
| 酒類をよく摂取する人とアセトアミノフェンなど | 肝臓の代謝機能が高まっていることが多く、通常より代謝されやすくなり、体内から速く消失して十分な薬効が得られなくなることがあります。 |
| 代謝産物に薬効がある医薬品 | 代謝が進むことで作用が強く出過ぎることがあります。 |
| 代謝産物が人体に悪影響を及ぼす医薬品 | 副作用が現れやすくなります。 |
| カフェインやビタミンA等を含む医薬品と同じ物質を含む食品 | 同じ物質が重なり、過剰摂取となることがあります。 |
| 生薬成分配合医薬品とハーブ等の食品 | 医薬品の効き目や副作用を増強させることがあります。 |
総合感冒薬などに含まれるカフェインとコーヒーを一緒に摂取する例では、カフェインの過剰摂取となることがあります。食品だから医薬品との相互作用を考えなくてよい、とは判断しません。
酒類・カフェインを含む食品・ハーブ等は医薬品と相互作用し、外用薬も影響を受け得ます。
本番の形で解いてみる
本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)
医薬品の不適正な使用と相互作用に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
- a 一般用医薬品は、指示どおりの使用量であれば、長期連用しても肝臓や腎臓などを傷める可能性はない。
- b 一般用医薬品にも習慣性・依存性がある成分を含むものがあり、乱用された場合には薬物依存を生じることがある。
- c 医薬品の相互作用には、吸収、分布、代謝又は排泄の過程で起こるものと、薬理作用をもたらす部位で起こるものがある。
- d 外用薬は、食品によってその作用や代謝に影響を受ける可能性はない。
- a正 b正 c誤 d誤
- a正 b誤 c正 d誤
- a誤 b正 c正 d誤
- a誤 b正 c誤 d正
- a誤 b誤 c正 d正
答えと解説を見る
正解: a誤 b正 c正 d誤
aは誤りです。指示どおりの使用量でも、長期連用により重篤な疾患の発見が遅れたり、肝臓や腎臓などを傷めたりする可能性があります。bは正しい記述です。cも正しく、相互作用は体内動態の過程と薬理作用をもたらす部位の両方で起こります。dは誤りで、外用薬や注射薬でも食品によって作用や代謝に影響を受ける可能性があります。まちがえやすい点:『指示量なら長期連用してよい』『外用薬なら食品の影響を受けない』はいずれも誤りです。
本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)
次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
- a 複数の医薬品を併用したとき、作用が増強する場合を相互作用といい、減弱する場合は相互作用に含まれない。
- b かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮静薬、鎮咳去痰薬、アレルギー用薬等は成分や作用が重複することが多く、通常はこれらの薬効群に属する医薬品の併用を避ける。
- c 医療機関・薬局から交付された薬剤を使用している人が一般用医薬品を併用できるかは、販売等に従事する専門家が判断する。
- d 症状が明確な場合は、相互作用による副作用のリスクを減らす観点から、その症状に合った成分のみが配合された医薬品を選ぶことが望ましい。
- aとb
- aとc
- bとc
- bとd
- cとd
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正解: bとd
正しいのはbとdです。aは誤りで、相互作用には作用の増強だけでなく減弱も含まれます。cも誤りで、医療機関・薬局から交付された薬剤を使用中の場合は、診療を行った医師・歯科医師又は調剤した薬剤師に一般用医薬品の併用について相談するよう説明します。まちがえやすい点:販売等に従事する専門家が医療用医薬品との併用可否を自ら決めるのではありません。
本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)
ある購入者が一般用医薬品を選ぶため相談に来た。普段から酒類をよく摂取しており、医療機関から交付された薬剤も使用している。また、購入を考えている一般用医薬品にはアセトアミノフェンが含まれている。この相談への説明として、最も適切なものはどれか。
- 酒類をよく摂取する人ではアセトアミノフェンが通常より代謝されにくくなり、薬効が強く現れることがあると説明する。
- 酒類をよく摂取する人ではアセトアミノフェンが通常より代謝されやすくなり、十分な薬効が得られなくなることがあると説明し、一般用医薬品との併用については診療を行った医師・歯科医師又は調剤した薬剤師への相談を勧める。
- 酒類をよく摂取する人ではアセトアミノフェンが通常より代謝されやすくなり、薬効が強く現れることがあると説明し、一般用医薬品との併用は販売等に従事する専門家が判断する。
- 酒類をよく摂取する人ではアセトアミノフェンが通常より代謝されにくくなり、十分な薬効が得られなくなることがあると説明し、一般用医薬品との併用については調剤した薬剤師に確認する必要はないと説明する。
- 酒類をよく摂取する人ではアセトアミノフェンが通常より代謝されやすくなり、十分な薬効が得られなくなることがあると説明し、医療機関から交付された薬剤との併用可否は販売等に従事する専門家が判断すると説明する。
答えと解説を見る
正解: 酒類をよく摂取する人ではアセトアミノフェンが通常より代謝されやすくなり、十分な薬効が得られなくなることがあると説明し、一般用医薬品との併用については診療を行った医師・歯科医師又は調剤した薬剤師への相談を勧める。
酒類をよく摂取する人では肝臓の代謝機能が高まっていることが多く、アセトアミノフェンなどは通常より代謝されやすくなり、体内から速く消失して十分な薬効が得られなくなることがあります。また、医療機関・薬局から交付された薬剤を使用している場合、一般用医薬品との併用については診療を行った医師・歯科医師又は調剤した薬剤師に相談するよう説明します。まちがえやすい点:『代謝されやすい=薬効が強くなる』ではなく、アセトアミノフェンでは十分な薬効が得られなくなることがあります。
出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方