登録販売者 参考書|第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識

プラセボ効果と医薬品の品質

プラセボ効果とは何か

医薬品を使用したとき、結果的または偶発的に薬理作用によらない作用が生じることをプラセボ効果(偽薬効果)といいます。医薬品を使った後に現れた反応が、すべて薬理作用そのものによるとは限りません。

プラセボ効果には、医薬品を使用したことによる楽観的な結果への期待、条件付けによる生体反応、時間経過による自然発生的な変化(自然緩解など)が関与すると考えられています。

  • 楽観的な結果への期待(暗示効果)
  • 条件付けによる生体反応
  • 時間経過による自然発生的な変化

プラセボ効果=薬理作用以外の作用。期待・条件付け・時間経過が関与します。

効果だけでなく副作用もある

プラセボ効果によって現れる反応や変化には、望ましいもの(効果)と不都合なもの(副作用)の両方があります。「プラセボ効果なら副作用はない」という判断は誤りです。

また、プラセボ効果は本人が感じる主観的な変化だけに限られません。客観的に測定可能な変化として現れることもあります。

ただし、その現れ方は不確実です。このため、プラセボ効果そのものを目的に医薬品を使用するべきではありません。

プラセボ効果には効果も副作用もあり、客観的変化もあり得ますが、利用目的にはしません。

プラセボ効果と思われても継続目的にしない

医薬品の使用後に望ましい変化が現れても、それがプラセボ効果と思われる場合、その変化を得ることを目的として医薬品の使用を続けるべきではありません。

購入者等が、適切な医薬品を選ぶ機会や医療機関を受診する機会を失わないよう、正確な情報を適切に伝えることが重要です。

「効いた気がする」だけを理由に使用を続けず、適切な選択や受診の機会を失わせません。

品質劣化を起こす条件

医薬品は、高い水準で均一な品質が保証されていなければなりません。一方、有効成分だけでなく添加物成分も、高温、多湿、光(紫外線)などによって変質・変敗を起こしやすいものがあります。

適切に保管・陳列されなければ、医薬品の効き目が低下するだけでなく、人体に好ましくない作用をもたらす物質が生じることもあります。

確認点手引き上の内容
劣化し得る成分有効成分・添加物成分
劣化の要因高温、多湿、光(紫外線)など
品質劣化の結果効き目の低下、好ましくない作用をもたらす物質の生成

有効成分だけでなく添加物も、高温・多湿・光で品質が劣化し得ます。

保管・陳列と経時変化

医薬品を保管・陳列する場所は、清潔性を保ち、品質を十分に保持できる環境にします。具体的には、高温、多湿、直射日光などの下に置かないようにします。

ただし、適切に保管・陳列していても、経時変化による品質の劣化は避けられません。「正しく保管すれば品質は劣化しない」という考え方は誤りです。

また、品質が承認等された基準に適合しない医薬品や、その全部または一部が変質・変敗した物質から成る医薬品は、販売等が禁止されています。

適切に保管しても経時劣化は避けられず、変質・変敗した医薬品は販売できません。

使用期限は未開封状態が前提

一般用医薬品は、購入後すぐに使われるとは限らず、家庭の常備薬になることもあります。このため、外箱等に記載された使用期限から十分な余裕をもって販売等することが重要です。

表示されている使用期限は、未開封状態で保管された場合に品質が保持される期限です。開封後まで同じ期限の品質を保証する意味ではありません。

液剤などでは、いったん開封すると、外箱等に記載された期日まで品質が保証されない場合があります。

使用期限は未開封での期限。開封後まで同じ期限が保証されるわけではありません。

本番の形で解いてみる

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

プラセボ効果と医薬品の品質に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

  • a プラセボ効果には、時間経過による自然発生的な変化が関与することがある。
  • b プラセボ効果による変化は主観的なものに限られ、客観的に測定可能な変化として現れることはない。
  • c 医薬品は、適切に保管・陳列されていても、経時変化による品質の劣化を避けることはできない。
  • d 外箱等に表示された使用期限は、開封後も同じ条件で品質が保持される期限である。
  1. a正 b正 c誤 d誤
  2. a正 b誤 c正 d誤
  3. a誤 b正 c正 d誤
  4. a正 b誤 c誤 d正
  5. a誤 b誤 c正 d正
答えと解説を見る

正解: a正 b誤 c正 d誤

aは正しいです。プラセボ効果には自然緩解など時間経過による変化も関与します。bは誤りで、客観的に測定可能な変化として現れることもあります。cは正しく、適切な保管・陳列でも経時劣化は避けられません。dは誤りで、使用期限は未開封状態で保管された場合に品質が保持される期限です。まちがえやすい点:『適切な保管=劣化しない』ではありません。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

  • a プラセボ効果による反応には、望ましいものだけでなく不都合なものもある。
  • b プラセボ効果による望ましい変化が現れた場合、その変化を目的として医薬品を使用することが望ましい。
  • c 医薬品の添加物成分は、高温、多湿、光による品質劣化の対象にはならない。
  • d 医薬品の保管・陳列場所では、清潔性を保ち、高温、多湿、直射日光を避ける必要がある。
  1. aとb
  2. aとc
  3. aとd
  4. bとc
  5. cとd
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正解: aとd

正しいのはaとdです。bは誤りで、プラセボ効果は不確実なため、それを目的として医薬品を使用するべきではありません。cは誤りで、有効成分だけでなく添加物成分も高温、多湿、光などで品質劣化を起こし得ます。まちがえやすい点:品質劣化の対象を有効成分だけに限定しないことです。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

購入者から『家に置いていた一般用医薬品について、外箱の使用期限までなら開封済みでも品質は保証されますか』と相談された。最も適切な説明はどれか。

  1. 使用期限は、開封状態で適切に保管した場合に品質が保持される期限である
  2. 使用期限は、未開封状態で保管された場合に品質が保持される期限であり、液剤などは開封後、記載期日まで品質が保証されない場合がある
  3. 使用期限は、未開封状態で直射日光を避けた場合のみ品質が保持される期限で、高温や多湿は期限の意味に関係しない
  4. 使用期限は、適切に保管・陳列すれば経時変化が起こらないことを示す期限である
  5. 使用期限は、医薬品の有効成分だけが品質を保持する期限であり、添加物成分の品質は対象としない
答えと解説を見る

正解: 使用期限は、未開封状態で保管された場合に品質が保持される期限であり、液剤などは開封後、記載期日まで品質が保証されない場合がある

使用期限は未開封状態で保管された場合に品質が保持される期限です。液剤などでは、一度開封すると記載された期日まで品質が保証されない場合があります。ほかの選択肢は、開封状態、経時変化、添加物の扱いを入れ替えています。まちがえやすい点:外箱の使用期限=開封後の保証期限ではありません。

出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方