登録販売者 参考書|第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識

一般用医薬品で対処できる範囲と販売時のコミュニケーション

一般用医薬品の役割と対処できる範囲

一般用医薬品は、人体に対する作用が著しくない医薬品で、医薬関係者から提供された情報に基づき、需要者が選択して使用することを目的とするものです。要指導医薬品は、この定義から除かれます。

一般用医薬品の役割には、軽度な疾病に伴う症状の改善、生活習慣病等の疾病に伴う症状発現の予防、生活の質の改善・向上、健康状態の自己検査、健康の維持・増進、その他保健衛生があります。このうち生活習慣病等については、疾病に伴う症状発現の予防(科学的・合理的に効果が期待できるものに限る)が役割とされています。

一般用医薬品は、医療機関で治療を受けるほどではない体調不良や疾病の初期段階などで、生活者が自ら疾病の治療・予防や生活の質の改善・向上を図るために用いられます。

一般用医薬品の役割には「健康状態の自己検査」が含まれ、生活習慣病は「症状発現の予防」です。

重い症状や改善しないときは受診を勧める

一般用医薬品の販売に従事する専門家は、医薬品を販売すること自体を目的とするのではなく、科学的根拠に基づく正確な情報を示し、生活者のセルフメディケーションを支援します。

高熱、激しい腹痛、患部が広範囲に及ぶなど症状が重いときは、一般用医薬品による対処が適切とはいえません。医療機関の受診を勧めることが必要です。また、医薬品を使わない対処を勧める方が適切な場合もあります。

軽度の症状に一般用医薬品を用いた場合でも、一定期間または一定回数使用しても改善しない、または悪化したときは、医療機関を受診して医師の診療を受ける必要があります。

重い症状、一定期間・一定回数で改善しない症状、悪化した症状は受診勧奨です。

使用者によって対処できる範囲は変わる

一般用医薬品で対処できる範囲は、誰が使用するかによって同じではありません。乳幼児や妊婦等では、通常の成人より対処可能な範囲が限られることがあります。

スポーツ競技者では、ドーピングにも注意します。一般用医薬品にも、使用するとドーピングに該当する成分を含むものがあります。相談を受けた場合は、専門知識を有する薬剤師などに確認する必要があります。

乳幼児・妊婦等は対処範囲が狭くなることがあり、競技者はドーピング確認が必要です。

登録販売者は生活者の選択を支援する

一般用医薬品では、選択や使用を判断する主体は一般の生活者です。登録販売者は、第二類医薬品及び第三類医薬品の販売・情報提供等を担う立場から、セルフメディケーションを支援する姿勢で臨みます。

購入者があらかじめ商品を決めていても、その製品が使用者の体質や症状に合うよう調べた上で選んでいるとは限りません。宣伝広告や販売価格などから、漠然と選んでいる場合もあります。

情報提供は、専門用語を平易な言葉に置き換えるだけでは十分ではありません。説明がどのように理解され、実際の行動に反映されているかも把握しながら行うことで、実効性が高まります。また、情報提供を受けた人自身が使用者とは限らないことも前提にします。

登録販売者は、生活者のセルフメディケーションを支援する立場です。

購入者から確認する基本事項

適切な医薬品の選択と使用につなげるため、可能な限り購入者や使用者の状況を把握します。確認する内容を、使用目的だけに限定してはいけません。

確認する事項具体的な内容
購入目的何のために購入するのか、ニーズや購入の動機
実際の使用者情報提供を受ける本人か、家族等が使用するのか
配慮が必要な人小児、高齢者、妊婦等が使用するか
治療状況医療機関で治療を受けていないか
過去の経験アレルギーや医薬品による副作用等の経験がないか
相互作用等問題を生じるおそれのある他の医薬品の使用や食品の摂取がないか
使用時期すぐに使用する状況か、対処する症状が現在あるか
症状の経過いつ頃からか、原因や患部等が特定されているか

一般用医薬品は常備薬として買われることもあるため、すぐに使用するかどうかも確認の対象です。第一類医薬品では小児・高齢者・妊婦等の使用、医療機関での治療、副作用等の経験を販売する薬剤師が確認しなければなりません。第二類医薬品では、販売する薬剤師または登録販売者がこれらを確認するよう努めなければなりません。

目的・使用者・年齢等・治療・副作用歴・併用等・今使うか・症状経過まで確認します。

情報を引き出し、継続して確認できる販売をする

購入者の状況を把握するときは、一方的に質問するだけでなく、会話しやすい雰囲気をつくり、購入者自身から使用状況等を伝えてもらえるよう促します。

購入者に情報提供を受けようとする意識が乏しく、会話が成立しにくい場合でも、情報提供をやめるのではありません。使用状況に関する情報をできる限り引き出し、可能な情報提供を行うためのコミュニケーションが必要です。

使用者本人に現に症状がある場合は、会話で得た内容だけでなく、本人の状態や様子全般も状況把握の手がかりになります。また、使用状況は随時変化するため、販売数量を一時期に使用する必要量とするなど、販売時のコミュニケーションの機会を継続的に確保するよう配慮します。

会話が難しくても情報を引き出し、必要量の販売などで次の確認機会も確保します。

本番の形で解いてみる

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

一般用医薬品で対処可能な症状等の範囲と受診勧奨に関する次の記述について、正誤の組合せとして正しいものはどれか。

  • a 一般用医薬品の役割には、健康状態の自己検査が含まれる。
  • b 症状が重い場合でも、まず一定期間は一般用医薬品を使用して経過を見ることが適切である。
  • c 一般用医薬品を一定期間又は一定回数使用しても症状が改善しない場合は、医療機関を受診する必要がある。
  • d 乳幼児や妊婦等でも、一般用医薬品で対処可能な範囲は通常の成人と同じである。
  1. a正 b正 c誤 d誤
  2. a正 b誤 c正 d誤
  3. a誤 b正 c正 d誤
  4. a正 b誤 c誤 d正
  5. a誤 b誤 c正 d正
答えと解説を見る

正解: a正 b誤 c正 d誤

aとcが正しく、bとdが誤りです。症状が重い場合に一般用医薬品で対処することは適切ではありません。また、乳幼児や妊婦等では通常の成人より対処可能な範囲が限られることがあります。まちがえやすい点:健康状態の自己検査は一般用医薬品の役割に含まれます。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

一般用医薬品の販売時のコミュニケーションに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

  • a 情報提供を受けた人が、必ずその医薬品を使用する本人であることを前提に説明する。
  • b 購入者があらかじめ製品を決めていても、宣伝広告や販売価格などをもとに漠然と選択していることがある。
  • c 情報提供を受けようとする意識が乏しい購入者には、使用状況を無理に確認せず情報提供を控える。
  • d 購入者等が医薬品を使用する状況は変化し得るため、一時期に使用する必要量を販売するなど、継続的なコミュニケーションの機会を確保するよう配慮する。
  1. aとb
  2. aとc
  3. bとc
  4. bとd
  5. cとd
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正解: bとd

正しいのはbとdです。一般用医薬品では情報提供を受けた当人が使用者とは限りません。また、情報提供を受けようとする意識が乏しい場合でも、できる限り使用状況を引き出し、可能な情報提供を行います。まちがえやすい点:購入商品が決まっていても、個々の状況把握は不要にはなりません。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

成人が、一定期間使用している一般用医薬品で症状が改善しないため、同じ一般用医薬品を多めにまとめて買いたいと相談しています。販売時の対応として最も適切なものはどれか。

  1. 一定期間使用しても症状が改善していないため、医療機関を受診して医師の診療を受けるよう勧める。
  2. 一定期間使用しても症状が改善していないため、同じ目的の別の一般用医薬品へ変更して対処するよう勧める。
  3. 過去に同じ一般用医薬品を使用した経験があるため、今回の使用者や医療機関での治療状況の確認は省略する。
  4. 症状が現在も続いている場合は、原因や患部等の確認よりも、購入しようとしている一般用医薬品の商品名だけを確認する。
  5. 使用状況は今後も変化する可能性があるため、販売数量を一時期に使用する必要量より多くし、販売時の確認回数を減らすよう配慮する。
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正解: 一定期間使用しても症状が改善していないため、医療機関を受診して医師の診療を受けるよう勧める。

一定期間又は一定回数使用しても症状が改善しない場合は、医療機関を受診して医師の診療を受ける必要があります。別の一般用医薬品へ変更して対処するのではなく、受診が必要とされています。使用者、治療状況、症状の経過や原因・患部等も確認対象であり、販売数量は一時期に使用する必要量とするなど継続的なコミュニケーション機会を確保します。まちがえやすい点:使用経験があることと、今回も一般用医薬品で対処できることは同じではありません。

出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方