登録販売者 参考書|第2章 人体の働きと医薬品

目・鼻・耳

眼球の構造と焦点調節

眼球の正面前方の黒目部分は透明な角膜で覆われ、それ以外は乳白色の強膜で覆われています。角膜と水晶体の間は房水で満たされ、眼圧を生じさせています。

角膜と水晶体には血管が通っていないため、房水から栄養分や酸素が供給されます。水晶体の前にある虹彩は、瞳孔を散大・縮小させて眼球内に入る光量を調節します。

遠近の焦点調節は主に水晶体の厚みを変えて行います。毛様体の収縮・弛緩により、近くを見るときは水晶体が丸く厚くなり、遠くを見るときは扁平になります。

部位・状態働き・特徴
虹彩瞳孔を散大・縮小して光量を調節
水晶体厚みを変えて遠近を調節
近くを見る水晶体が丸く厚くなる
遠くを見る水晶体が扁平になる

焦点調節は主に水晶体。近く=厚い、遠く=扁平です。

紫外線・視細胞・ビタミンA

紫外線を含む光に長時間曝されると、角膜の上皮が損傷することがあります。これが雪眼炎(雪目)です。

網膜には光を受容する視細胞があり、わずかな光にも敏感に反応する細胞が光を感じる反応にはビタミンAが不可欠です。ビタミンAが不足すると、夜間視力の低下である夜盲症を生じます。

雪眼炎は紫外線で角膜上皮、夜盲症はビタミンA不足です。

眼瞼・結膜・涙器・眼筋

眼瞼は皮下組織が少なく薄いため、内出血や裂傷を生じやすく、浮腫など全身的な体調不良の症状も現れやすい部位です。

結膜が充血すると、白目の部分だけでなく眼瞼の裏側も赤くなります。一方、強膜が充血したときは眼瞼の裏側は赤くならず、白目の部分がピンク味を帯びます。

涙器は涙液を分泌する涙腺と、涙液を鼻腔へ導く涙道からなります。涙腺は上眼瞼の裏側にあり、血漿から涙液を産生します。

涙液の主な働き
異物や刺激性物質を洗い流す
角膜に酸素や栄養分を供給する
角膜や結膜の老廃物を洗い流す
角膜表面を滑らかに保つ
リゾチーム・免疫グロブリン等により感染から防御する

涙液は起きている間は絶えず分泌され、涙点から涙道へ流れます。睡眠中は涙液分泌がほとんどなく、滞留した老廃物に粘液や脂分が混じって眼脂となります。

眼球を各方向へ動かす6本の眼筋は強膜につながっています。目を使う作業を続けると、眼筋や毛様体の疲労、涙液不足などにより疲れ目が起こります。慢性的な目の疲れに肩こりや頭痛などの全身症状を伴うものが眼精疲労です。

結膜充血はまぶたの裏も赤い。涙液は血漿から作られ、眼精疲労は全身症状を伴います。

鼻腔と副鼻腔

鼻腔上部の粘膜にある嗅細胞が、におい分子の刺激を受け、その刺激を脳の嗅覚中枢へ伝えます。においの感覚は鋭敏ですが順応を起こしやすく、同じにおいを嗅ぎ続けると次第に感じなくなります。

鼻腔は鼻中隔で左右に仕切られています。鼻中隔の前部は毛細血管が豊富で粘膜が薄いため、傷つきやすく鼻出血を起こしやすい部位です。鼻腔粘膜に炎症が起きて腫れた状態が鼻炎で、鼻汁過多や鼻閉などを生じます。

副鼻腔は、目と目の間、額部分、頬の下、鼻腔の奥にある空洞の総称です。鼻腔とは細い管でつながっています。副鼻腔の粘膜にも線毛を有する細胞と粘液を分泌する細胞があり、埃などを粘液で捉えて線毛により鼻腔内へ排出します。

鼻腔と副鼻腔をつなぐ管は非常に狭いため、鼻腔粘膜が腫れると開口部がふさがりやすく、副鼻腔に炎症を生じることがあります。

鼻中隔前部は血管が多く粘膜が薄い。副鼻腔の細い開口部は鼻粘膜の腫れでふさがりやすいです。

外耳・中耳・内耳

耳は外耳・中耳・内耳からなります。外耳は耳介と外耳道からなり、耳垢は外耳道の耳垢腺や皮脂腺の分泌物に、埃や外耳道上皮の老廃物などが混じったものです。

中耳は鼓膜、鼓室、耳小骨、耳管からなります。鼓膜の振動は、互いに連結した3つの耳小骨によって増幅され、内耳へ伝えられます。鼓室は耳管によって鼻腔や咽頭と通じています。

小さな子供では耳管が太く短く、走行が水平に近いため、鼻腔からウイルスや細菌が侵入して感染が起こりやすくなります。

内耳の部分役割
蝸牛聴覚器官。内部はリンパ液で満たされる
前庭平衡器官。内部はリンパ液で満たされる

前庭では、耳石器官が水平・垂直方向の加速度を、半規管が体の回転や傾きを感知します。乗物酔いは、反復される加速度刺激や動揺によって平衡感覚が混乱して生じる身体の変調です。

蝸牛=聴覚、前庭=平衡感覚。耳小骨は振動を増幅して内耳へ伝えます。

本番の形で解いてみる

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

目・鼻・耳に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

  • a 水晶体は、近くの物を見るときには丸く厚みが増し、遠くの物を見るときには扁平になる。
  • b 結膜が充血した場合、眼瞼の裏側は赤くならない。
  • c 鼻中隔の前部は、毛細血管が豊富で粘膜が薄いため鼻出血を起こしやすい。
  • d 内耳の蝸牛は平衡器官であり、前庭は聴覚器官である。
  1. a正 b誤 c正 d誤
  2. a正 b正 c誤 d誤
  3. a誤 b誤 c正 d正
  4. a正 b誤 c誤 d正
  5. a誤 b正 c正 d誤
答えと解説を見る

正解: a正 b誤 c正 d誤

aとcは正しいです。bは誤りで、結膜の充血では白目だけでなく眼瞼の裏側も赤くなります。dは誤りで、蝸牛が聴覚器官、前庭が平衡器官です。まちがえやすい点:水晶体の厚みと、蝸牛・前庭の役割は逆に入れ替えられやすい部分です。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

  • a 涙腺は上眼瞼の裏側にあり、血漿から涙液を産生する。
  • b 雪眼炎は、赤外線に長時間曝されることで網膜上皮が損傷した状態である。
  • c 鼻腔と副鼻腔を連絡する管は広いため、鼻腔粘膜が腫れても副鼻腔の開口部はふさがりにくい。
  • d 小さな子供は耳管が太く短く、走行が水平に近いため、鼻腔から感染が起こりやすい。
  1. aとb
  2. aとc
  3. aとd
  4. bとc
  5. cとd
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正解: aとd

正しいのはaとdです。bは誤りで、雪眼炎は紫外線を含む光への長時間曝露により角膜上皮が損傷した状態です。cは誤りで、鼻腔と副鼻腔をつなぐ管は非常に狭く、鼻腔粘膜が腫れると開口部がふさがりやすくなります。まちがえやすい点:雪眼炎では『紫外線・角膜』の組合せを崩さないことです。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

購入者から、目・鼻・耳の働きについて質問を受けた。最も適切な説明はどれか。

  1. 遠近の焦点調節は主に硝子体の厚みを変えることで行い、近くを見るときは硝子体が厚くなる
  2. 涙液はリンパ液から産生され、角膜や結膜を感染から防ぐ働きを持つ
  3. 副鼻腔に入った埃などは粘液に捉えられ、線毛の働きによって鼻腔内へ排出される
  4. 鼓膜の振動は3つの耳小骨によって増幅され、外耳へ伝導される
  5. 乗物酔いは、蝸牛で感知する平衡感覚が混乱して生じる
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正解: 副鼻腔に入った埃などは粘液に捉えられ、線毛の働きによって鼻腔内へ排出される

副鼻腔の埃などは粘液に捉えられ、線毛によって鼻腔内へ排出されます。焦点調節は主に水晶体、涙液は血漿から産生、耳小骨は振動を内耳へ伝え、平衡感覚は前庭で感知します。まちがえやすい点:構造名そのものより『どの部位が何をするか』の対応を確認します。

出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方