登録販売者 参考書|第2章 人体の働きと医薬品

皮膚・骨格・筋組織

外皮系と皮膚の主な働き

外皮系は、身体を覆う皮膚、汗腺・皮脂腺・乳腺などの皮膚腺、爪や毛などの角質の総称です。爪や毛も外皮系に含まれ、皮膚の一部が変化してできています。

皮膚には、身体の維持と保護、体水分の保持、熱交換、外界情報の感知という働きがあります。体表面を包んで身体を保護し、細菌などの異物が体内へ侵入するのを防ぎます。

体温が上がり始めると皮膚の毛細血管が開いて血流が増え、体外へ熱を放出します。また、汗の蒸発時の気化熱によって体温を下げます。反対に体温が下がり始めると血管が収縮し、放熱を抑えます。

皮膚の表面には一定の微生物が付着しており、その存在によって病原菌の繁殖や体内への侵入が抑えられています。

外皮系=皮膚+皮膚腺+爪や毛などの角質。体温上昇時は皮膚血管が開いて放熱します。

表皮・真皮・皮下組織を区別する

皮膚は、表皮・真皮・皮下組織の3層からなります。各層の構造を入れ替えた記述に注意します。

部位構造・特徴
表皮最外側の角質層と、生きた表皮細胞の層に分かれます。
角質層細胞膜が丈夫な線維性のタンパク質(ケラチン)でできた板状の角質細胞と、セラミドを主成分とする細胞間脂質からなり、バリア機能を担います。
真皮線維芽細胞と、コラーゲン・フィブリリン・エラスチンなどの線維性タンパク質からなる結合組織です。毛細血管や知覚神経の末端が通ります。
皮下組織脂肪細胞が多く集まり、皮下脂肪層をつくります。

皮下脂肪層は、外気の熱や寒さから身体を守り、衝撃を和らげ、脂質としてエネルギー源を蓄えます。真皮の構造を皮下組織の説明として示したものや、角質層の構造を皮下組織としたものは誤りです。

角質層は「角質細胞(細胞膜はケラチン)、細胞間脂質=セラミド」。真皮には毛細血管と知覚神経があります。

メラニンと皮膚の防護

皮膚の色には、表皮や真皮に沈着したメラニン色素が関係します。メラニン色素は表皮の最下層にあるメラノサイトで産生され、紫外線から皮膚組織を防護します。

メラニン色素の防護能力を超える紫外線を受けると、皮膚組織が損傷して炎症を生じ、発熱、水疱、痛みなどが起こります。また、メラノサイトが活性化してメラニン色素が過剰に産生され、シミやそばかすとして沈着します。

一方、たこやうおのめは紫外線によるものではありません。皮膚に物理的な刺激が繰り返され、角質層が厚くなることで生じます。

メラニンは「表皮の最下層」のメラノサイトで作られ、紫外線から皮膚を守ります。

毛・立毛筋・汗腺の位置と働き

毛根の最も深い部分を毛球といい、その下端のへこみが毛乳頭です。毛乳頭には毛細血管が入り込み、周囲の毛母細胞へ栄養分を運びます。毛母細胞では細胞分裂が盛んに行われ、新しい細胞が押し上げられて角化し、毛を形成します。

毛包には立毛筋と皮脂腺がつながっています。立毛筋は気温や感情の変化などの刺激で収縮し、毛穴が隆起する立毛反射、いわゆる鳥肌が生じます。

汗腺主な分布・特徴
アポクリン腺腋窩などの毛根部に分布する体臭腺です。
エクリン腺手のひらなど毛根がない場所も含め、全身に分布します。汗はエクリン腺から分泌されます。

体温調節のための発汗は全身の皮膚に生じますが、精神的緊張による発汗は手のひら、足底、脇の下、顔面など限られた皮膚に生じます。

アポクリン腺は毛根部、エクリン腺は毛根のない場所も含め全身。立毛筋は収縮して鳥肌を起こします。

骨の構造・新陳代謝・関節

骨格系は骨と関節からなります。骨の基本構造は、骨質・骨膜・骨髄・関節軟骨の4組織です。骨には身体の支持、臓器の保護、運動、造血、カルシウムやリンなどの無機質の貯蔵という機能があります。

造血はすべての骨の骨髄で行われるわけではなく、主として胸骨、肋骨、脊椎、骨盤、大腿骨などが造血機能を担います。

骨は成長停止後も生きた組織です。一生を通じて破壊である骨吸収と修復である骨形成が行われ、この繰り返しによって骨の新陳代謝が行われます。

骨組織の成分役割
無機質炭酸カルシウムやリン酸カルシウムなどの石灰質からなり、骨に硬さを与えます。
有機質タンパク質と多糖体からなり、骨の強靱さを保ちます。

骨の関節面は弾力性に富む柔らかな関節軟骨に覆われ、衝撃を和らげて関節の動きを滑らかにします。関節周囲を包む滑膜は軟骨の働きを助け、靱帯は骨を連結して関節部を補強します。

骨は生涯「骨吸収と骨形成」を繰り返し、無機質が硬さ、有機質が強靱さを担います。

骨格筋・平滑筋・心筋を見分ける

筋組織は筋細胞である筋線維と、それらをつなぐ結合組織からなり、骨格筋、平滑筋、心筋に分類されます。運動器官とされるのは骨格筋です。骨格筋は腱を介して関節を構成する骨につながっています。

筋組織が筋細胞と結合組織からなるのに対し、腱は結合組織のみでできているため、伸縮性はあまりありません。

筋横紋意識による制御神経支配・特徴
骨格筋ある随意筋体性神経系。収縮力が強いが疲労しやすい。
平滑筋ない不随意筋自律神経系。消化管壁、血管壁、膀胱などに分布し、比較的弱い力で持続的に収縮します。
心筋ある不随意筋自律神経系。心臓壁の筋層を構成し、強い収縮力と持久力を備えます。

骨格筋の疲労では、運動を続けることでグリコーゲンが減少し、酸素や栄養分の供給不足が起こるとともに、グリコーゲンの代謝に伴って生成する乳酸が蓄積し、筋組織の収縮性が低下します。

骨格筋=横紋・随意・体性神経、平滑筋=横紋なし・不随意、心筋=横紋あり・不随意です。

本番の形で解いてみる

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

外皮系に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

  • a 外皮系には、皮膚、汗腺や皮脂腺などの皮膚腺、爪や毛などの角質が含まれる。
  • b 角質層は、セラミドでできた角質細胞と、ケラチンを主成分とする細胞間脂質から構成される。
  • c メラニン色素は、表皮の最下層にあるメラノサイトで産生され、紫外線から皮膚組織を防護する。
  • d アポクリン腺は、手のひらなど毛根がないところも含めて全身に分布する。
  1. a正 b正 c正 d誤
  2. a正 b誤 c正 d誤
  3. a正 b誤 c誤 d正
  4. a誤 b正 c正 d誤
  5. a誤 b誤 c正 d正
答えと解説を見る

正解: a正 b誤 c正 d誤

aとcは正しい記述です。bは角質細胞と細胞間脂質の成分が逆で、角質細胞はケラチン、細胞間脂質はセラミドが中心です。dはアポクリン腺とエクリン腺の分布が逆で、毛根のないところも含め全身に分布するのはエクリン腺です。まちがえやすい点:ケラチンとセラミド、アポクリン腺とエクリン腺をそれぞれ入れ替えないようにします。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

  • a 骨組織の無機質は骨に硬さを与え、有機質は骨の強靱さを保つ。
  • b 骨では、成長が停止すると骨吸収と骨形成も停止する。
  • c 腱は結合組織のみでできているため、伸縮性はあまりない。
  • d 心筋は、心臓壁にある平滑筋であり、筋線維に横紋はない。
  1. aとb
  2. bとc
  3. aとc
  4. bとd
  5. cとd
答えと解説を見る

正解: aとc

正しいのはaとcです。bは誤りで、骨は成長停止後も一生を通じて骨吸収と骨形成を繰り返します。dは誤りで、心筋は平滑筋ではなく独立した分類で、不随意筋ですが筋線維には横紋があります。まちがえやすい点:無機質=硬さ、有機質=強靱さ、心筋=横紋あり・不随意筋です。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

購入者から、皮膚や筋肉の仕組みについて質問を受けた。説明として最も適切なものはどれか。

  1. メラニン色素は、真皮の最下層にあるメラノサイトで産生され、紫外線から皮膚組織を防護します。
  2. 立毛筋は、気温や感情の変化などの刺激で収縮し、毛穴が隆起する立毛反射を起こします。
  3. エクリン腺は腋窩などの毛根部に分布する体臭腺で、アポクリン腺は毛根のない場所も含め全身に分布します。
  4. 真皮は、角質細胞とセラミドを主成分とする細胞間脂質から構成され、皮膚のバリア機能を担います。
  5. 平滑筋は筋線維に横紋があり、体性神経系に支配される不随意筋です。
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正解: 立毛筋は、気温や感情の変化などの刺激で収縮し、毛穴が隆起する立毛反射を起こします。

適切なのは立毛筋の説明です。メラノサイトがあるのは表皮の最下層です。アポクリン腺は腋窩などの毛根部、エクリン腺は毛根のない場所も含め全身に分布します。角質細胞と細胞間脂質からなるのは真皮ではなく角質層です。平滑筋には横紋がなく、自律神経系に支配されます。まちがえやすい点:皮膚では「表皮・真皮・皮下組織」、筋では「横紋・随意性・神経支配」の組合せを固定して覚えます。

出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方