登録販売者 参考書|第2章 人体の働きと医薬品
脳と神経系
中枢神経系と末梢神経系
神経系は、働きによって中枢神経系と末梢神経系に大別されます。中枢は末梢から刺激を受け取って統合し、反応して末梢へ刺激を送り出します。
中枢神経系は脳と脊髄から構成されます。末梢神経系は脳や脊髄から体の各部へ伸び、その機能から、随意運動や知覚などを担う体性神経系と、無意識に働く機能を担う自律神経系に分かれます。
中枢神経系=脳+脊髄、末梢神経系=体性神経系+自律神経系です。
脳の働きと延髄・視床下部
脳は、知覚、運動、記憶、情動、意思決定などを担います。脳の下部には、自律神経系やホルモン分泌などを調節する視床下部などがあります。
脳は延髄を介して脊髄とつながっています。延髄には心拍数を調節する心臓中枢と、呼吸を調節する呼吸中枢などがあります。これらを脊髄や視床下部と入れ替えないことが大切です。
延髄は多くの生体機能を制御しますが、複雑な機能はさらに上位の脳の働きによって制御されます。
視床下部は自律神経・ホルモン調節、心臓中枢・呼吸中枢は延髄です。
脳の血流と血液脳関門
脳では、血液の循環量は心拍出量の約15%、酸素消費量は全身の約20%、ブドウ糖消費量は全身の約25%です。
脳の血管は末梢に比べて、物質の透過に関する選択性が高いという特徴があります。タンパク質などの大分子や、小分子でもイオン化した物質は血液中から脳組織へ移行しにくく、この働きを血液脳関門といいます。
小児では血液脳関門が未発達なので、循環血液中に移行した医薬品成分が脳の組織に達しやすいとされます。
血液脳関門は選択性が高く、小児では未発達なので成分が脳へ達しやすくなります。
脊髄と脊髄反射
脊髄は脊椎の中にあり、脳と末梢の間で刺激を伝えます。
末梢からの刺激の一部に対して、脳を介さずに刺激を返すことがあります。これを脊髄反射といいます。
脊髄反射は、末梢からの刺激に脳を介さず応答する反射です。
自律神経と神経伝達物質
自律神経系は交感神経系と副交感神経系からなります。多くの効果器では両方の神経系が支配し、通常は互いに拮抗して働きます。
| 神経 | 節後線維末端の神経伝達物質 |
|---|---|
| 交感神経 | ノルアドレナリン |
| 副交感神経 | アセチルコリン |
| 汗腺を支配する交感神経 | 例外的にアセチルコリン |
脚注では、全身に広く分布するエクリン腺を支配する交感神経ではアセチルコリン、局所に分布するアポクリン腺を支配する交感神経ではノルアドレナリンが放出されるとされています。
交感神経は原則ノルアドレナリン、副交感神経はアセチルコリン、汗腺は例外があります。
交感神経と副交感神経の反応
| 効果器 | 交感神経系 | 副交感神経系 |
|---|---|---|
| 目 | 瞳孔散大 | 瞳孔収縮 |
| 唾液腺 | 少量の粘性の高い唾液を分泌 | 唾液分泌亢進 |
| 心臓 | 心拍数増加 | 心拍数減少 |
| 末梢血管 | 収縮(→血圧上昇) | 拡張(→血圧降下) |
| 気管・気管支 | 拡張 | 収縮 |
| 胃 | 血管の収縮 | 胃液分泌亢進 |
| 腸 | 運動低下 | 運動亢進 |
| 肝臓 | グリコーゲンの分解(ブドウ糖の放出) | グリコーゲンの合成 |
| 皮膚立毛筋 | 収縮 | |
| 汗腺 | 発汗亢進 | |
| 膀胱 | 排尿筋の弛緩(→排尿抑制) | 排尿筋の収縮(→排尿促進) |
出題では、散大と収縮、拡張と収縮、亢進と低下、分解と合成、弛緩と収縮が入れ替えられます。表の対応で判断します。
交感神経優位では瞳孔散大・気管支拡張・腸運動低下・肝グリコーゲン分解・排尿筋弛緩です。
本番の形で解いてみる
本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)
脳や神経系に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
- a 中枢神経系は脳と脊髄から構成される。
- b 心臓中枢と呼吸中枢は視床下部にある。
- c 脳の血管は末梢に比べて物質の透過に関する選択性が高い。
- d 小児では血液脳関門が発達しているため、循環血液中の医薬品成分は脳組織へ達しにくい。
- a正 b正 c誤 d誤
- a正 b誤 c正 d誤
- a誤 b正 c正 d誤
- a正 b誤 c誤 d正
- a誤 b誤 c正 d正
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正解: a正 b誤 c正 d誤
aとcは正しいです。bは誤りで、心臓中枢と呼吸中枢は延髄にあります。dは誤りで、小児では血液脳関門が未発達なため、医薬品成分が脳組織に達しやすいとされます。まちがえやすい点:視床下部の調節機能と延髄の心臓中枢・呼吸中枢を入れ替えないことです。
本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)
次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
- a 末梢神経系は、体性神経系と自律神経系に分類される。
- b 副交感神経の節後線維末端からは、原則としてノルアドレナリンが放出される。
- c 交感神経系が優位になると、肝臓ではグリコーゲンの分解が起こる。
- d 交感神経系が優位になると、膀胱の排尿筋は収縮して排尿が促進される。
- aとb
- aとc
- aとd
- bとc
- cとd
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正解: aとc
正しいのはaとcです。bは誤りで、副交感神経の節後線維末端から放出されるのはアセチルコリンです。dは誤りで、交感神経系では排尿筋が弛緩し、排尿が抑制されます。まちがえやすい点:副交感神経=アセチルコリン、交感神経優位の膀胱=排尿筋弛緩です。
本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)
交感神経系が副交感神経系より活発に働いている状態を考えます。効果器と反応の組合せとして最も適切なものはどれか。
- 目―瞳孔散大
- 気管・気管支―収縮
- 腸―運動亢進
- 肝臓―グリコーゲンの合成
- 膀胱―排尿筋の収縮
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正解: 目―瞳孔散大
交感神経系が活発なとき、目では瞳孔が散大します。気管・気管支は拡張、腸は運動低下、肝臓ではグリコーゲンの分解、膀胱では排尿筋の弛緩が起こります。まちがえやすい点:交感神経と副交感神経の反応を一対で覚え、反対語の入れ替えに注意します。
出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方