登録販売者 参考書|第2章 人体の働きと医薬品

循環器系・泌尿器系・感覚器系・皮膚の副作用

うっ血性心不全と不整脈を区別する

うっ血性心不全は、全身が必要とする量の血液を心臓から送り出せなくなり、肺に血液が貯留して症状が現れる疾患です。心筋の自動性や興奮伝導の異常で拍動リズムが乱れる病態は、うっ血性心不全ではなく不整脈です。

副作用主な症状・特徴対応
うっ血性心不全息切れ、疲れやすい、足のむくみ、急な体重増加、咳とピンク色の痰可能性を疑い、早期に医師の診療を受ける
不整脈めまい、立ちくらみ、全身のだるさ、動悸、息切れ、胸部不快感、脈の欠落原因と考えられる医薬品を直ちに中止し、速やかに医師の診療を受ける

心不全の既往がある人は、薬剤による心不全を起こしやすいとされています。

うっ血性心不全は「血液を送り出せず肺に貯留」、不整脈は「拍動リズムの乱れ」です。

不整脈の重症化と循環器疾患での注意

不整脈で失神する場合は、生死に関わる危険な不整脈の可能性があります。AEDの使用を考慮し、直ちに救急救命処置が可能な医療機関を受診します。

不整脈は、代謝機能の低下によって発症リスクが高まることがあります。そのため、腎機能や肝機能の低下、併用薬との相互作用などに留意し、特に高齢者では配慮が重要です。

高血圧や心臓病など循環器系疾患の診断を受けている人は、心臓や血管に悪影響を及ぼす可能性が高い医薬品を使用してはなりません。適正に使用していても、動悸、一過性の血圧上昇、顔のほてりが生じることがあります。その場合は原因と考えられる医薬品を中止し、症状によっては医師の診療を受けます。

適正使用でも動悸・一過性の血圧上昇・顔のほてりは起こり得ます。

排尿困難・尿閉と膀胱炎様症状

副交感神経系の機能を抑制する作用がある成分を含む医薬品では、膀胱の排尿筋の収縮が抑えられ、尿が出にくい、少量しか出ない、残尿感があるなどの症状を生じることがあります。進行すると、尿意があるのに全く尿が出ない尿閉や、下腹部の膨満と激しい痛みに至ります。

排尿困難や尿閉は、前立腺肥大などの基礎疾患がない人にも現れ、男性だけでなく女性にも報告されています。尿勢の低下などの兆候に留意し、症状が現れたら原因と考えられる医薬品を中止します。多くは中止により速やかに改善しますが、医療機関で処置が必要な場合もあります。

膀胱炎様症状では、尿の回数増加、排尿時の疼痛、残尿感などが現れます。原因と考えられる医薬品を中止し、症状によっては医師の診療を受けます。

排尿困難は副交感神経機能の「抑制」で起こり、前立腺肥大の男性だけに限りません。

眼圧上昇と散瞳による事故を防ぐ

眼球内では、角膜と水晶体の間を眼房水が満たしています。眼房水が排出されにくくなると眼圧が上昇し、視覚障害を生じることがあります。

抗コリン作用がある成分を含む医薬品では眼圧が上昇し、急性緑内障発作として眼痛、眼の充血、急激な視力低下が現れることがあります。特に、眼房水の出口である隅角が狭い閉塞隅角緑内障がある人では厳重な注意が必要です。頭痛や吐きけ・嘔吐を伴うこともあります。

高眼圧を長時間放置すると、視神経が損傷して不可逆的な視覚障害である視野欠損や失明に至るおそれがあるため、速やかに眼科専門医を受診します。

また、散瞳による異常な眩しさや目のかすみが生じることがあります。散瞳を生じる可能性がある成分を含む医薬品の使用後は、乗物や機械類の運転操作を避けます。

眼圧上昇は抗コリン作用、散瞳後は乗物・機械類の運転操作を避けます。

接触皮膚炎と光線過敏症の違い

接触皮膚炎では、強い痒みを伴う発疹・発赤、腫れ、刺激感、水疱・ただれなどが現れます。いわゆる「肌に合わない」状態で、医薬品が触れた皮膚の部分にのみ生じ、正常な皮膚との境界がはっきりするのが特徴です。アレルギー性皮膚炎では、発症部位は接触部位だけに限定されません。

症状が現れた場合は原因と考えられる医薬品を中止します。通常は1週間程度で治まりますが、同じ医薬品に再び触れると再発します。

太陽光線の紫外線に曝されて初めて起こるかぶれを光線過敏症といいます。症状は接触部位だけでなく全身へ広がり、重篤化する場合があります。貼付剤では剥がした後でも発症することがあります。

光線過敏症が現れたら医薬品を中止し、皮膚に医薬品が残らないよう患部を十分に洗浄します。そのうえで遮光し、速やかに医師の診療を受けます。白い生地や薄手の服は紫外線を透過するおそれがあるため遮光には適しません。

接触皮膚炎は接触部位だけ、光線過敏症は全身へ広がることがあります。

薬疹は発疹だけで判断しない

薬疹は、医薬品によるアレルギー反応の一種です。あらゆる医薬品で起こる可能性があり、発疹・発赤のほか、紅斑、丘疹、水疱などがみられます。皮膚以外にも眼の充血、口唇・口腔粘膜の異常が現れることがあります。

発熱を伴って眼や口腔粘膜に異常が現れた場合は、皮膚粘膜眼症候群や中毒性表皮壊死融解症などへ急速に進行することがあります。

薬疹は使用後1~2週間で起こることが多い一方、長期使用後に現れることもあります。アレルギー体質の人や以前に薬疹を起こした人で生じやすいですが、未経験者でも暴飲暴食や肉体疲労を誘因として現れることがあります。

医薬品使用後に発疹・発赤が現れたら、原因と考えられる医薬品を直ちに中止します。痒みに対して自己判断で対症療法を行うと原因の特定が難しくなるため避けます。以前に薬疹を経験した人が同種の医薬品を再使用すると、より重篤なアレルギー反応を起こすおそれがあるため、同種の医薬品を避けます。

薬疹では医薬品を直ちに中止し、自己判断で痒みだけを治療しません。

本番の形で解いてみる

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

循環器系及び感覚器系に現れる副作用について、次の記述の正誤を判断した場合、正しい組合せはどれか。

  • a うっ血性心不全とは、心筋の自動性や興奮伝導の異常により心臓の拍動リズムが乱れる病態である。
  • b 不整脈は、腎機能や肝機能の低下、併用薬との相互作用等によって発症リスクが高まることがある。
  • c 抗コリン作用がある成分を含む医薬品によって眼圧が上昇することがある。
  • d 高眼圧による視神経障害は、長時間放置しても通常は可逆的である。
  1. a正 b正 c誤 d誤
  2. a正 b誤 c正 d誤
  3. a誤 b正 c正 d誤
  4. a誤 b正 c誤 d正
  5. a誤 b誤 c正 d正
答えと解説を見る

正解: a誤 b正 c正 d誤

aは誤りです。拍動リズムが乱れる病態は不整脈で、うっ血性心不全は必要量の血液を心臓から送り出せず肺に血液が貯留する疾患です。bとcは正しい記述です。dは誤りで、高眼圧を長時間放置すると視神経が損傷し、視野欠損や失明など不可逆的な視覚障害に至るおそれがあります。まちがえやすい点:うっ血性心不全と不整脈の定義を入れ替えないようにします。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

  • a 排尿困難や尿閉は、前立腺肥大等の基礎疾患がある男性に限って現れる。
  • b 副交感神経系の機能を抑制する作用がある成分では、膀胱の排尿筋の収縮が抑制され、尿が出にくくなることがある。
  • c 接触皮膚炎は医薬品が触れた皮膚の部分にのみ生じ、正常な皮膚との境界がはっきりする。
  • d 光線過敏症が現れた場合は、患部を洗浄せず、白い生地や薄手の服で遮光する。
  1. aとb
  2. aとc
  3. bとc
  4. bとd
  5. cとd
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正解: bとc

正しいのはbとcです。aは誤りで、排尿困難や尿閉は基礎疾患のない人にも現れ、女性にも報告されています。dは誤りで、光線過敏症では患部を十分に洗浄し、白い生地や薄手の服は紫外線を透過するおそれがあるため避けて遮光します。まちがえやすい点:排尿困難を起こすのは副交感神経系の機能を亢進する作用ではなく、抑制する作用です。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

貼付剤を使用した人が、剥がした後に使用部位を中心として皮膚症状を生じ、さらに日光に当たった後に症状が広がったと相談してきた。最も適切な対応はどれか。

  1. 貼付剤を剥がした後であれば光線過敏症は生じないため、接触皮膚炎として通常1週間程度の経過をみる
  2. 原因と考えられる医薬品を中止し、患部を十分に洗浄したうえで遮光し、速やかに医師の診療を受ける
  3. 原因と考えられる医薬品を中止し、患部は洗浄せず、白い生地又は薄手の服で遮光して医師の診療を受ける
  4. 接触皮膚炎は全身へ広がることがあるため、光線過敏症よりも接触皮膚炎を第一に考える
  5. 薬疹の痒みに対する自己判断の対症療法と同様に、光線過敏症でも患部の症状だけを対症療法で抑える
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正解: 原因と考えられる医薬品を中止し、患部を十分に洗浄したうえで遮光し、速やかに医師の診療を受ける

光線過敏症は貼付剤を剥がした後でも発症することがあります。現れた場合は原因と考えられる医薬品を中止し、皮膚に医薬品が残らないよう十分に洗浄し、遮光して速やかに医師の診療を受けます。白い生地や薄手の服は紫外線を透過するおそれがあるため遮光には適しません。まちがえやすい点:接触皮膚炎は接触部位に限られますが、光線過敏症は全身へ広がることがあります。

出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方