登録販売者 参考書|第3章 主な医薬品とその作用

眼科用薬

眼科用薬の種類と用途

眼科用薬は、目の疲れ、かすみ、痒みなどの症状を緩和するため、結膜嚢に用いる外用薬です。点眼薬、洗眼薬、コンタクトレンズ装着液があります。

一般用医薬品の点眼薬は、主な配合成分から、人工涙液、一般点眼薬、抗菌性点眼薬、アレルギー用点眼薬に大別されます。ここは、人工涙液と洗眼薬の目的を入れ替えた出題に注意します。

種類主な目的・特徴
人工涙液涙液成分を補い、目の疲れや乾き、コンタクトレンズ装着時の不快感などに用いる
一般点眼薬目の疲れ、痒み、結膜充血などを抑える成分を配合する
抗菌性点眼薬抗菌成分を配合し、結膜炎、ものもらい、眼瞼炎などに用いる
アレルギー用点眼薬花粉やハウスダストなどによる流涙、痒み、結膜充血などを緩和する
洗眼薬目の洗浄や眼病予防に用い、涙液成分のほか抗炎症成分、抗ヒスタミン成分などが用いられる

人工涙液は涙液を補うもの、洗眼薬は目の洗浄・眼病予防に用いるものです。

点眼方法とコンタクトレンズ

点眼薬は通常、無菌的に製造されています。点眼するときは、容器の先端を眼瞼や睫毛に触れさせず、1滴ずつ正確に点眼します。先端が触れると、雑菌が薬液に混入して汚染の原因になります。

1滴の薬液量は約50μLで、結膜嚢の容積は30μL程度です。そのため、一度に何滴も点眼しても効果は増しません。余分な薬液が鼻腔内へ流れ、鼻粘膜や喉から吸収されて副作用を起こしやすくなります。

点眼後は、しばらく眼瞼を閉じて薬液を結膜嚢内に行き渡らせます。目頭を押さえると、薬液が鼻腔内へ流れ込むのを防げます。まばたきを繰り返して薬液を行き渡らせるのではありません。

コンタクトレンズをしたままの点眼は、ソフト・ハードを問わず、添付文書に使用可能と記載されていない限り行いません。ソフトコンタクトレンズでは、防腐剤などがレンズに吸着し、角膜障害の原因となるおそれがあります。一方、1回使い切りで防腐剤を含まない製品には、ソフトコンタクトレンズ装着時にも使用できるものがあります。

点眼は1滴、先端を目に触れさせず、点眼後は目を閉じて目頭を押さえます。

充血・炎症・乾きに用いる成分

配合成分は、成分名と働きの組合せで問われます。特に、充血を除く成分、炎症を抑える成分、組織修復成分、乾燥を防ぐ成分の取り違えに注意します。

成分働き・目的
ナファゾリン塩酸塩、ナファゾリン硝酸塩、エフェドリン塩酸塩、テトラヒドロゾリン塩酸塩結膜の血管を収縮させ、目の充血を除去する
グリチルリチン酸二カリウム比較的緩和な抗炎症作用を示す
ベルベリン硫酸塩抗炎症作用を期待して用いる
イプシロン-アミノカプロン酸炎症の原因となる物質の生成を抑え、目の炎症を改善する
プラノプロフェン炎症の原因となる物質の生成を抑え、目の炎症を改善する
アズレンスルホン酸ナトリウム、アラントイン炎症を生じた眼粘膜の組織修復を促す
硫酸亜鉛水和物眼粘膜のタンパク質と結合して皮膜を形成し、外部刺激から保護する
コンドロイチン硫酸ナトリウム、精製ヒアルロン酸ナトリウム角膜の乾燥を防ぐ
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール角膜の乾燥を防ぐ効果を期待して配合されることがある

アドレナリン作動成分は、緑内障と診断された人では眼圧を上昇させ、緑内障を悪化させたり治療を妨げたりするおそれがあります。使用前に、治療中の医師または治療薬を調剤した薬剤師への相談が必要です。

また、これらを連用または頻回に使用すると、異常なまぶしさを感じたり、かえって充血を招いたりすることがあります。5~6日間使用しても充血が改善しない場合は、漫然と続けず専門家に相談します。

イプシロン-アミノカプロン酸とプラノプロフェンは炎症、コンドロイチン硫酸ナトリウムは乾燥です。

痒み・アレルギーに用いる成分

目の痒みには、ヒスタミンの働きを抑える抗ヒスタミン成分が用いられます。ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ケトチフェンフマル酸塩などがあります。

クロモグリク酸ナトリウムは、肥満細胞からのヒスタミン遊離を抑える抗アレルギー成分です。花粉やハウスダストによる結膜充血、痒み、かすみ、流涙、異物感の緩和を目的として、通常は抗ヒスタミン成分と組み合わせて配合されます。

クロモグリク酸ナトリウムは、アレルギー性でない結膜炎などには無効です。片方の目だけに症状がある、目の症状のみで鼻症状がない、視力低下を伴うなど、アレルギーか他の原因かはっきりしない場合は、使用前に専門家へ相談します。2日間使用しても改善しない場合も、アレルギー以外の原因を考えます。

抗ヒスタミン成分を含む点眼薬を鼻炎用点鼻薬と併用した場合は、眠気が現れることがあるため、乗物または機械類の運転操作を避けます。

抗ヒスタミン成分はヒスタミンの働きを抑え、クロモグリク酸ナトリウムはヒスタミン遊離を抑えます。

抗菌成分とホウ酸

スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウムなどのサルファ剤は、細菌感染による結膜炎、ものもらい、眼瞼炎などの化膿性症状の改善を目的として用いられます。

サルファ剤は、すべての細菌に有効ではなく、ウイルスや真菌の感染には効果がありません。3~4日使用しても改善しない場合は、眼科専門医の診療を受けるなどの対応が必要です。サルファ剤でアレルギー症状を起こしたことがある人は使用を避けます。

ホウ酸は、洗眼薬として用時水に溶かし、結膜嚢の洗浄・消毒に用いられます。また、抗菌作用による防腐効果を期待して、点眼薬の添加物として配合されることもあります。

サルファ剤は細菌感染に用い、ウイルス・真菌には無効です。ホウ酸は洗浄・消毒と防腐です。

調節機能・ビタミン・アミノ酸

ネオスチグミンメチル硫酸塩は、コリンエステラーゼの働きを抑え、毛様体でのアセチルコリンの働きを助けることで、目の調節機能を改善します。水晶体ではなく、毛様体における働きです。

成分働き・目的
ビタミンA視細胞が光を感受する反応に関与し、視力調整などの反応を改善する
ビタミンB2角膜の酸素消費能を増加させ組織呼吸を亢進し、ビタミンB2欠乏が関与する角膜炎の改善を期待する
パンテノール、パントテン酸カルシウム自律神経系の伝達物質の産生に重要で、目の調節機能の回復を促す
ビタミンB6アミノ酸代謝や神経伝達物質の合成に関与し、目の疲れなどの改善を期待する
ビタミンB12目の調節機能を助ける
ビタミンE末梢の微小循環を促進し、結膜充血や疲れ目などを改善する
アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム新陳代謝を促し、目の疲れを改善する

涙液の主成分はナトリウムやカリウムなどの電解質であるため、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムなどが配合されます。

ネオスチグミンはコリンエステラーゼを抑え、毛様体のアセチルコリン作用を助けます。

副作用・相互作用・受診勧奨

眼科用薬の局所性副作用として、目の充血、痒み、腫れが現れることがあります。これらは点眼薬を使う対象となる症状とも区別しにくいため、一定期間使用して改善しない場合は、副作用の可能性も考え、漫然と継続せず専門家に相談します。

全身性の副作用として、皮膚の発疹、発赤、痒みなどが現れることがあります。眼科用薬によるものと思い至らず、別のアレルギー用薬や外皮用薬を使用することもあるため、専門家による適切な助言が重要です。

医師から処方された点眼薬を使用中に一般用医薬品の点眼薬を併用すると、治療中の疾患に悪影響を生じることがあります。目のかすみや充血が疾患そのものや処方薬の副作用である可能性もあるため、治療中の医師または処方薬を調剤した薬剤師に相談します。

一般用医薬品には、緑内障を改善できる点眼薬はありません。目のかすみが緑内障による場合は効果が期待できず、成分によっては悪化させるおそれもあります。激しい目の痛みでは、急性緑内障、角膜潰瘍、眼球への外傷などの可能性があるため、速やかな眼科受診が必要です。

目の異常は目そのものだけでなく、目以外の病気によることもあり、特に脳が原因となることも知られています。目に何らかの異常が現れた場合は、医療機関で専門医の診療を受けるよう促します。

改善しない症状を漫然と点眼で追わず、副作用や別の疾患も考えて相談・受診につなげます。

本番の形で解いてみる

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

眼科用薬に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

  • a 人工涙液は、涙液成分を補い、目の疲れや乾き、コンタクトレンズ装着時の不快感などに用いられる。
  • b 点眼後は、薬液を結膜嚢内に行き渡らせるため、まばたきを数回行うと効果的である。
  • c スルファメトキサゾールは、細菌感染による結膜炎やものもらいなどに用いられるが、ウイルスや真菌の感染には効果がない。
  • d コンドロイチン硫酸ナトリウムは、角膜の乾燥を防ぐことを目的として用いられる。
  1. a正 b正 c正 d誤
  2. a正 b誤 c正 d正
  3. a誤 b正 c誤 d正
  4. a正 b誤 c誤 d正
  5. a誤 b誤 c正 d誤
答えと解説を見る

正解: a正 b誤 c正 d正

a・c・dは正しい記述です。bが誤りです。点眼後はしばらく眼瞼を閉じ、目頭を押さえると薬液が鼻腔内へ流れ込むのを防げます。まばたきを数回行う方法ではありません。まちがえやすい点:点眼後は『まばたき』ではなく『眼瞼を閉じて目頭を押さえる』と整理します。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

  • a イプシロン-アミノカプロン酸は、炎症の原因となる物質の生成を抑え、目の炎症を改善する目的で用いられる。
  • b アズレンスルホン酸ナトリウムは、結膜の血管を収縮させて充血を除去する目的で用いられる。
  • c ネオスチグミンメチル硫酸塩は、コリンエステラーゼの働きを促進し、毛様体におけるアセチルコリンの働きを助ける。
  • d パンテノールは、自律神経系の伝達物質の産生に重要な成分で、目の調節機能の回復を促す目的で用いられる。
  1. aとb
  2. aとd
  3. bとc
  4. bとd
  5. cとd
答えと解説を見る

正解: aとd

正しいのはaとdです。bのアズレンスルホン酸ナトリウムは眼粘膜の組織修復を促す成分で、血管収縮成分ではありません。cは『促進』ではなく、コリンエステラーゼの働きを『抑える』ことでアセチルコリンの働きを助けます。まちがえやすい点:ネオスチグミンは『コリンエステラーゼ抑制→アセチルコリンを助ける』の順で覚えます。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

30歳の購入者が、コンタクトレンズを装着したまま使える点眼薬を探している。成分欄にはテトラヒドロゾリン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、アスパラギン酸カリウムなどが記載されている。この相談への説明として、最も適切なものはどれか。

  1. ソフトコンタクトレンズでは、防腐剤などが吸着して角膜障害の原因となるおそれがあるため、添付文書に使用可能と記載されていない限り、装着したまま点眼しない。
  2. ハードコンタクトレンズでは配合成分が吸着しないため、添付文書に記載がなくても装着したまま点眼できる。
  3. テトラヒドロゾリン塩酸塩は角膜の乾燥を防ぐ成分なので、コンタクトレンズ装着時の乾きに用いることができる。
  4. アスパラギン酸カリウムは結膜の血管を収縮させる成分なので、コンタクトレンズ装着時の充血に適する。
  5. クロルフェニラミンマレイン酸塩は眼粘膜の組織修復を促す成分なので、レンズによる刺激で生じた粘膜障害に用いる。
答えと解説を見る

正解: ソフトコンタクトレンズでは、防腐剤などが吸着して角膜障害の原因となるおそれがあるため、添付文書に使用可能と記載されていない限り、装着したまま点眼しない。

適切なのは、添付文書に使用可能と記載されていない限り、ソフト・ハードを問わずコンタクトレンズをしたまま点眼しないという説明です。テトラヒドロゾリン塩酸塩は血管収縮により充血を除く成分、アスパラギン酸カリウムは新陳代謝を促して目の疲れを改善する成分、クロルフェニラミンマレイン酸塩はヒスタミンの働きを抑えて痒みを和らげる成分です。まちがえやすい点:『ハードなら常に可』ではなく、添付文書の使用可否を確認します。

出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方