登録販売者 参考書|第4章 薬事関係法規・制度
適正な販売広告と販売方法
誇大広告と承認前広告の禁止
医薬品等の広告では、まず法による禁止事項を区別します。法第66条では、何人も、医薬品などの名称、製造方法、効能、効果又は性能について、明示的か暗示的かを問わず、虚偽又は誇大な内容を広告・記述・流布してはならないとされています。
また、医師その他の者が効能、効果等を保証したものと誤解されるおそれがある記事も、誇大広告等に該当します。医薬品の有効性又は安全性が確実であることを保証するような表現も、明示的・暗示的を問わず虚偽又は誇大な広告とみなされます。
法第68条では、まだ承認又は認証を受けていない医薬品、医療機器又は再生医療等製品について、名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告を禁止しています。名称だけなら広告できる、という扱いではありません。
法第66条と第68条の規制は、広告を依頼した者だけではなく、その広告等に関与するすべての人が対象です。
第66条は虚偽・誇大、第68条は承認前の名称・製造方法・効能・効果・性能の広告を禁止します。
どこからが医薬品の広告か
医薬品の広告に該当するかは、次の3要件で判断されます。
- 顧客を誘引し、購入意欲を高める意図が明確であること
- 特定の医薬品の商品名、すなわち販売名が明らかにされていること
- 一般人が認知できる状態であること
3要件のいずれも満たす場合に広告に該当します。「どれか一つを満たせば広告」という判断ではありません。
一般用医薬品の販売広告には、マスメディアによるものだけでなく、薬局、店舗販売業又は配置販売業で販売促進に用いるチラシ、ダイレクトメール、電子メール、POP広告なども含まれます。POP広告には、店頭・店内のポスター、ステッカー、ディスプレーなどが含まれます。
広告の判定は「誘引の意図・特定商品の明示・一般人が認知」の3つをすべて満たすかで見ます。
広告表現でしてはいけないこと
医薬品等適正広告基準では、事実に反する認識を与えるおそれがある広告だけでなく、過度の消費や乱用を助長するおそれがある広告も不適正とされています。
| 広告表現 | 判断 |
|---|---|
| 漢方処方製剤の「しばり表現」を省く | 原則として認められません |
| 漢方処方製剤について、構成生薬の作用を個別に挙げて効能効果を説明する | 個々の生薬成分が相互に作用するため不適当です |
| 一般用医薬品と同じ有効成分を含む医療用医薬品の効能効果をそのまま標榜する | 一般用医薬品の承認内容を正確に反映した広告とはいえません |
| がん、糖尿病、心臓病等について自己治療が可能であるかのように表現する | 認められません |
| 有効性・安全性を確実と保証する表現 | 虚偽又は誇大な広告とみなされます |
| 使用前・使用後に関わらず、図画・写真等で効能効果等を保証する表現 | 認められません |
| 効能効果又は安全性について最大級又はこれに類する表現をする | 不適当です |
チラシやパンフレットの同一紙面に、医薬品と食品、化粧品、雑貨類などを一緒に掲載すること自体は禁止されていません。ただし、医薬品ではない製品に医薬品的な効能効果があるように見せ、一般の生活者に誤認を与えるおそれがある場合は、承認等を受けていない医薬品の広告とみなされ、法第68条違反となることがあります。
漢方のしばり省略・構成生薬だけの効能説明・医療用の効能の流用・保証表現は認められません。
乱用を促す広告と推薦広告
医薬品は過度の消費や乱用が助長されないよう、広告にも節度ある内容と表現が求められます。価格を表示したり、特定商品の名称と価格を特記したりしただけで、直ちに不適当になるわけではありません。
一方、商品名を繰り返す音声広告や、生活者の不安をあおって購入を促す広告など、医薬品が不必要な人にまで使用を促したり、安易な使用を促したりするおそれがあるものには、保健衛生上の観点から監視指導が行われます。
「天然成分を使用しているので副作用がない」「いくら飲んでも副作用がない」といった事実に反する表現は、過度の消費や乱用を助長するおそれがあるだけでなく、虚偽誇大な広告にも該当します。
また、医薬関係者、医療機関、公的機関、団体等が公認、推薦、選用等している旨の広告は、事実であっても原則として不適当です。
医師等の推薦広告は、事実であっても原則として不適当です。
措置命令と課徴金
法第66条第1項又は第68条に違反する広告等に対しては、厚生労働大臣又は都道府県知事が、その行為の中止や再発防止などの措置命令を行うことができます。
これとは別に、虚偽・誇大広告には課徴金制度があります。厚生労働大臣は、医薬品、医療機器等の名称、製造方法、効能、効果又は性能について虚偽・誇大な広告を行った者に対し、違反期間中の対象商品の売上額×4.5%の課徴金を納付させる命令を行うことができます。
措置命令は厚生労働大臣又は都道府県知事、課徴金の納付命令は厚生労働大臣という違いを区別します。
措置命令は厚生労働大臣又は都道府県知事、課徴金は厚生労働大臣・売上額の4.5%です。
景品と組み合わせ販売
販売方法でも、医薬品の過度の消費や乱用を助長するおそれがある方法には監視指導が行われます。
| 販売方法 | 判断 |
|---|---|
| キャラクターグッズ等の景品類を付けて医薬品を販売する | 不当景品類及び不当表示防止法の限度内であれば認められます |
| 医薬品そのものを懸賞や景品として授与する | 原則として認められません |
| 異なる複数の医薬品を組み合わせて販売・授与する | 十分な情報提供が可能な種類の範囲内で、組み合わせに合理性が必要です |
| 医薬品と他の物品を組み合わせる | 同様に情報提供可能な範囲と合理性が必要です |
| 効能効果が重複する医薬品を組み合わせる | 不適当です |
| 相互作用等により保健衛生上の危害のおそれがある組み合わせ | 不適当です |
組み合わせ販売は購入者の利便性を考慮して行うものであり、販売側の都合による抱き合わせや在庫処分を目的とした組み合わせは認められません。また、組み合わせた個々の医薬品等の外箱などの法定記載事項は、組み合わせ販売用の容器の外から明瞭に見える必要があります。
景品類付き販売は一定範囲で可、医薬品そのものを景品にするのは原則不可です。
販売場所・配置販売・多量購入
薬局や店舗販売業で、許可を受けた薬局又は店舗以外の場所に医薬品を貯蔵・陳列し、そこを拠点として販売等を行うことは、店舗による販売等には当たりません。
配置販売業では、先用後利によらず現金売りを行うことは配置による販売行為に当たりません。これらは法第37条第1項違反として取締りの対象となります。
また、購入者が購入した医薬品を業として他者に提供すると推定される場合、求められるまま販売すると無許可販売に便宜を与えるおそれがあります。そのため、医薬品を多量に購入する者等には、積極的に事情を尋ねるなど慎重に対処し、状況によっては販売を差し控えます。
許可場所以外を拠点にした販売や配置販売の現金売りは不可、多量購入者には事情を確認します。
本番の形で解いてみる
本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)
医薬品の広告及び販売方法に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
- a 法第66条による虚偽・誇大広告の禁止は、広告の依頼主だけでなく、その広告等に関与するすべての人が対象となる。
- b 承認前の医薬品については、効能効果を広告しなければ、名称のみを広告することができる。
- c 医薬関係者が推薦している旨の広告は、その推薦が事実であれば原則として適当である。
- d 医薬品を懸賞や景品として授与することは、原則として認められていない。
- a正 b正 c誤 d誤
- a正 b誤 c誤 d正
- a誤 b正 c正 d誤
- a誤 b誤 c正 d正
- a正 b誤 c正 d誤
答えと解説を見る
正解: a正 b誤 c誤 d正
aは正しいです。法第66条・第68条は広告等に関与するすべての人が対象です。bは誤りで、承認前の医薬品は名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告が禁止されています。cは誤りで、医薬関係者等が推薦している旨の広告は、事実であっても原則として不適当です。dは正しいです。医薬品そのものを懸賞や景品として授与することは原則として認められません。まちがえやすい点:キャラクターグッズ等を付ける販売と、医薬品そのものを景品にする場合を区別します。
本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)
次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
- a 医薬品の広告は、顧客を誘引する意図、特定の医薬品の商品名の明示、一般人が認知できる状態の三つのうち、一つでも満たせば広告に該当する。
- b 漢方処方製剤の効能効果について、構成生薬の作用を個別に挙げて説明することは不適当である。
- c 虚偽・誇大広告に対する課徴金は、違反期間中の対象商品の売上額の4.5%とされている。
- d 一般用医薬品と同じ有効成分を含む医療用医薬品の効能効果をそのまま標榜すれば、一般用医薬品の承認内容を正確に反映した広告となる。
- aとb
- aとd
- bとc
- bとd
- cとd
答えと解説を見る
正解: bとc
正しいのはbとcです。aは誤りで、広告と判断されるのは三つの要件のいずれも満たす場合です。bは正しく、漢方処方製剤では個々の生薬成分が相互に作用するため、構成生薬の作用を個別に挙げた説明は不適当です。cも正しく、課徴金は違反期間中の対象商品の売上額×4.5%です。dは誤りで、医療用医薬品の効能効果をそのまま標榜しても、一般用医薬品の承認内容を正確に反映した広告とはいえません。まちがえやすい点:広告の3要件は「いずれか」ではなく「いずれも」です。
本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)
店舗で一般用医薬品を販売している。次の対応のうち、最も適切なものはどれか。
- 同じ効能効果をもつ複数の医薬品を、購入者の利便性を目的として組み合わせ、十分な情報提供ができる範囲で販売する。
- 在庫処分を目的として異なる複数の医薬品を組み合わせ、十分な情報提供ができる範囲で販売する。
- 医薬品を多量に購入しようとする者には事情を積極的に尋ね、状況によっては販売を差し控える。
- 配置販売業で顧客から求められた場合は、先用後利によらず現金売りを行う。
- 医師による推薦が事実である医薬品について、その推薦を広告に表示して販売する。
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正解: 医薬品を多量に購入しようとする者には事情を積極的に尋ね、状況によっては販売を差し控える。
多量購入者に事情を尋ね、状況によって販売を差し控える対応が適切です。効能効果が重複する医薬品の組み合わせは不適当です。在庫処分など販売側の都合による組み合わせも認められません。配置販売業の現金売りは、顧客の求めがあっても配置による販売行為には当たりません。また、医師など医薬関係者による推薦広告は、事実であっても原則として不適当です。まちがえやすい点:組み合わせ販売は「情報提供できる」だけでは足りず、組み合わせに合理性が必要です。
出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方