登録販売者 参考書|第4章 薬事関係法規・制度

行政庁の監視指導と苦情相談窓口

薬事監視員と監視指導

厚生労働大臣、都道府県知事、保健所設置市の市長及び特別区の区長は、その職員のうちから薬事監視員を命じ、監視指導を行わせています。

薬局や医薬品販売業については、基本的に、その許可を所管する都道府県、保健所設置市又は特別区の薬事監視員が監視指導を行います。

薬事監視員は厚生労働大臣・都道府県知事・保健所設置市長・特別区長が職員から命じます。

立入検査でできること

都道府県知事等は必要があると認めるとき、薬局開設者や医薬品の販売業者に報告を求め、薬事監視員に立入検査等をさせることができます。

できること内容
検査構造設備や帳簿書類等を検査する
質問従業員その他の関係者に質問する
収去無承認無許可医薬品、不良医薬品、不正表示医薬品等の疑いのある物を、試験に必要な最少分量に限り収去する

帳簿書類は「検査」の対象であり、「収去」の対象として示されているのではありません。また、疑いのある物も全部を収去するのではなく、試験に必要な最少分量に限ります。

帳簿は検査、疑いのある物は試験に必要な最少分量だけ収去します。

監視指導を拒んだ場合

次のような監視指導への妨害等には罰則が設けられています。

  • 命ぜられた報告を怠る、又は虚偽の報告をする
  • 立入検査や収去を拒む、妨げる、忌避する
  • 薬事監視員の質問に、正当な理由なく答弁しない、又は虚偽の答弁をする

質問についての規定は、薬剤師や登録販売者だけに限られません。薬剤師や登録販売者を含む従業員が対象です。

立入・収去の拒否だけでなく、従業員の質問への不答弁や虚偽答弁にも罰則があります。

改善命令と管理者の変更

都道府県知事等は、構造設備が基準に適合しない場合などに、薬局開設者又は医薬品の販売業者(配置販売業者を除く。)に対して改善を命じ、改善まで施設の全部又は一部の使用を禁止できます。

一般用医薬品の販売等を行うための業務体制が基準に適合しなくなった場合も、薬局開設者又は医薬品の販売業者に対して業務体制の整備を命じることができます。店舗管理者に対して命じるのではありません。

薬局の管理者、店舗管理者又は区域管理者に法令違反等がある、又は管理者として不適当と認められるときは、薬局開設者又は医薬品の販売業者に対してその管理者の変更を命じることができます。

業務体制の整備も管理者の変更も、命令の相手は薬局開設者・販売業者です。

業務停止と廃棄・回収

配置販売業の配置員に法令違反等があったとき、都道府県知事は配置販売業者に対し、その配置員による配置販売の業務停止を命じることができます。必要があるときは、その配置員本人にも業務停止を命じることができます。

厚生労働大臣又は都道府県知事等は、不正表示医薬品、不良医薬品、無承認無許可医薬品等について、医薬品を業務上取り扱う者に廃棄、回収その他、公衆衛生上の危険発生を防止するための措置を命じることができます。

さらに、行政庁から命令されていなくても、製造販売業者等が医薬品等の使用により保健衛生上の危害が発生・拡大するおそれを知ったときは、廃棄、回収、販売停止、情報提供その他必要な措置を講じなければなりません。

配置員の停止命令は都道府県知事。危害のおそれを知った製造販売業者等は命令がなくても措置します。

苦情・相談はどこに寄せられるか

一般用医薬品の販売等に関する苦情や相談は、行政庁の薬務主管課、保健所、薬事監視事務所等に寄せられます。法令違反等につながる情報が見つかれば、行政庁が立入検査等で事実関係を確認し、必要な指導や処分を行います。

窓口・団体役割
国民生活センター・各地区の消費生活センター・消費者団体等生活者へのアドバイス、必要に応じた行政庁への通報や問題提起
医薬品販売関係の業界団体・職能団体苦情を含む様々な相談を受け付け、自主的なチェックと自浄的是正を図る
行政庁必要に応じて立入検査等を行い、指導・処分を行う

国民生活センターや消費生活センターが、自ら薬事監視員として立入検査や行政処分を行うわけではありません。

相談機関は助言・通報、立入検査や行政処分は行政庁が行います。

本番の形で解いてみる

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

行政庁による監視指導に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

  • a 都道府県知事等は、必要があると認めるとき、薬局開設者又は医薬品の販売業者に必要な報告をさせることができる。
  • b 薬事監視員は、立入検査の際に帳簿書類を収去することができる。
  • c 無承認無許可医薬品、不良医薬品又は不正表示医薬品等の疑いのある物は、試験のため必要な最少分量に限り収去できる。
  • d 薬剤師又は登録販売者ではない従業員が、薬事監視員の質問に正当な理由なく答弁しなくても罰則の対象にならない。
  1. a正 b正 c誤 d誤
  2. a正 b誤 c正 d誤
  3. a誤 b正 c正 d誤
  4. a正 b誤 c誤 d正
  5. a誤 b誤 c正 d正
答えと解説を見る

正解: a正 b誤 c正 d誤

aとcは正しく、bとdは誤りです。帳簿書類等は検査対象であり、収去するものとして示されていません。質問への不答弁や虚偽答弁に関する規定は薬剤師・登録販売者だけでなく従業員を対象とします。まちがえやすい点:「検査」と「収去」、そして収去できる量を分けて判断します。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

  • a 一般用医薬品の販売等を行うための業務体制が基準に適合しなくなった場合、都道府県知事等は薬局開設者又は医薬品の販売業者に業務体制の整備を命じることができる。
  • b 店舗管理者に法令違反行為がある、又は管理者として不適当と認められるとき、都道府県知事等は店舗販売業者に対して店舗管理者の変更を命じることができる。
  • c 配置販売業の配置員に法令違反行為があった場合、その配置員による配置販売の業務停止を命じるのは厚生労働大臣である。
  • d 国民生活センターは、薬事法令違反につながる情報を得た場合、自ら立入検査を行って行政処分をする。
  1. aとb
  2. aとc
  3. aとd
  4. bとc
  5. cとd
答えと解説を見る

正解: aとb

正しいのはaとbです。cは誤りで、配置販売業の配置員に関する業務停止命令を行うのは都道府県知事です。dも誤りで、国民生活センター等はアドバイスや行政庁への通報・問題提起を行いますが、立入検査や行政処分は行政庁が行います。まちがえやすい点:誰に命じるかだけでなく、誰が命じるかも確認します。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

一般用医薬品の販売方法について購入者から苦情があり、各地区の消費生活センターに相談が寄せられました。最も適切な説明はどれか。

  1. 消費生活センターは生活者へのアドバイスを行い、必要に応じて行政庁への通報や問題提起を行う。
  2. 消費生活センターは薬事監視員を立ち入らせ、違反した販売業者に行政処分を行う。
  3. 国民生活センターは生活者へのアドバイスを行うが、行政庁への通報や問題提起は行わない。
  4. 医薬品販売関係の業界団体・職能団体は相談窓口を設置するが、苦情は受け付けない。
  5. 消費者団体等の民間団体は生活者へのアドバイスを行うが、行政庁への通報は行えない。
答えと解説を見る

正解: 消費生活センターは生活者へのアドバイスを行い、必要に応じて行政庁への通報や問題提起を行う。

国民生活センター、各地区の消費生活センター、消費者団体等は、生活者へのアドバイスのほか、必要に応じて行政庁への通報や問題提起を行います。立入検査や指導・処分を行うのは行政庁です。業界団体・職能団体も苦情を含む様々な相談を受け付けます。まちがえやすい点:相談を受ける機関と、行政権限を行使する行政庁を混同しないようにします。

出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方