登録販売者 参考書|第5章 医薬品の適正使用・安全対策
添付文書の読み方
添付文書はいつでも読めるように保管する
要指導医薬品や一般用医薬品などには、添付文書又は容器・被包に、用法・用量その他の使用や取扱いに必要な注意事項等が記載されます。添付文書の情報は一般の生活者が理解しやすい平易な表現で示されています。
添付文書は、開封時に一度読めば終わりではありません。実際に使用する人やその時の状態によって確認すべき事項が異なるため、必要なときにいつでも読めるように保管します。家族など購入者以外が使用するときも、添付文書に目を通すことが重要です。
医療機関を受診するときは、使用していた一般用医薬品の添付文書を持参し、医師や薬剤師に見せて相談することが重要です。登録販売者は、添付文書や製品表示を理解し、購入者の状況に応じて必要な事項に絞って説明します。
添付文書は「一度読む」ものではなく、必要時に読めるよう保管します。
改訂は定期ではなく必要に応じて行われる
添付文書の内容は固定されたものではありません。医薬品の有効性・安全性等に関する新しい知見や、使用に係る情報を反映して、必要に応じて随時改訂されます。「1年ごと」「2年ごと」「3年ごと」のような定期改訂ではありません。
重要な内容が変更されたときは、改訂年月を記載し、改訂された箇所を明示します。以前から同じ医薬品を使っている人でも、変更点を確認できるようにするためです。
添付文書の販売名の上部には、「使用にあたって説明文書を読むこと」「必要なときに読めるよう保存すること」などの文言が記載されています。
添付文書は随時改訂。重要変更は「改訂年月+変更箇所の明示」です。
添付文書の主な記載事項を区別する
通常の医薬品では販売名が記載され、あわせて薬効名とリスク区分が示されます。販売名に薬効名が含まれている場合は、薬効名の記載が省略されることがあります。
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 製品の特徴 | 製品の概要を分かりやすく簡潔に示す |
| 効能又は効果 | 生活者が自ら判断できる症状・用途等を示す。「適応症」と記載される場合もある |
| 用法及び用量 | 年齢区分、1回用量、1日の使用回数等を分かりやすく示す |
| 成分及び分量 | 有効成分の名称と分量を記載し、人体に直接使用しない検査薬等を除き添加物も掲げる |
| 養生訓 | 病気の予防や症状改善につながる生活上の事項。必須記載ではない |
| 消費者相談窓口 | 窓口担当部門の名称、電話番号、受付時間等 |
| 製造販売業者 | 名称・所在地。販売委託時は販社等の名称・所在地も記載されることがある |
各製品のリスク区分は記載されます。第三類医薬品だから省略できる、という扱いではありません。
要指導医薬品、一般用医薬品、薬局製造販売医薬品には、法第52条第2項の規定により、添付文書又は容器・被包に「用法、用量その他使用及び取扱い上の必要な注意」等の記載が義務づけられています。
薬効名は省略されることがあるが、リスク区分は記載されます。
「してはいけないこと」と「相談すること」を分ける
「使用上の注意」は、「してはいけないこと」「相談すること」「その他の注意」から構成され、重要な項目ほど前段に置かれます。枠囲いや文字の色・大きさを変えるなど、他の記載より目立つように示されます。
| 区分 | 判断のポイント |
|---|---|
| してはいけないこと | 守らないと症状悪化、副作用、事故等が起こりやすくなる事項 |
| 相談すること | 使用前に適否を専門家へ相談すべき人、又は使用後に中止・相談等が必要となる場合 |
| その他の注意 | 容認される軽微な症状などを記載 |
重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症、喘息等が掲げられている医薬品では、アレルギーの既往歴がある人等は「使用しないこと」として記載されます。「注意して使う」「長期連用しない」とするものではありません。
「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないこと」「服用前後は飲酒しないこと」などは、小児では通常当てはまらない内容であっても、小児に使用される医薬品にも一般的な注意事項として記載されます。
「高齢者」は、使用上の注意ではおよその目安として65歳以上です。また、妊婦について「相談すること」とされていても、必ずしも具体的な悪影響が判明しているとは限らず、使用経験の科学的データが限られて安全性を評価しにくい場合もあります。
禁止は「してはいけないこと」、使用前の判断は「相談すること」です。
使用後の副作用と改善しない場合の読み方
副作用の記載は、まず一般的な副作用を関係部位別に示し、その後に、まれに発生する重篤な副作用を副作用名ごとに示す順序です。重篤な副作用が先ではありません。
一般的な副作用でも、そのまま使用すると悪化や回復の遅れにつながることがあります。発疹や発赤などは重篤な副作用の初期症状である可能性もあるため、軽く扱わないことが重要です。重篤な副作用が疑われる場合は、速やかに医師の診療を受ける必要があります。
薬理作用から予測される軽微な症状であっても、症状が持続又は増強した場合は、いったん使用を中止して専門家に相談する旨が記載されます。
一定期間又は一定回数使用しても症状が改善しない場合は、その医薬品で対処できる範囲を超えている可能性などがあるため、いったん使用を中止し、必要に応じて医師の診療を受ける対応につなげます。
一般用検査薬では、検査結果だけで確定診断はできません。陽性なら速やかに医師の診断を受け、陰性でも症状がある場合は再検査又は医師への相談が記載されています。
副作用は「一般的なもの→重篤なもの」の順。改善しなければ使用を続けません。
保管・共用・移し替えの判断
保管方法は剤形によって異なります。シロップ剤は変質しやすいため、開封後は冷蔵庫内での保管が望ましいとされています。一方、錠剤、カプセル剤、散剤等は、冷蔵庫から取り出したときの急な温度差で湿気を帯びるおそれがあるため、冷蔵庫内での保管は不適当です。
| 対象 | 取扱い | 理由 |
|---|---|---|
| シロップ剤 | 開封後は冷蔵庫内での保管が望ましい | 変質しやすく、適切に保管しないと雑菌の繁殖等を生じることがある |
| 錠剤・カプセル剤・散剤等 | 冷蔵庫内での保管は不適当 | 室温との急な温度差で湿気を帯びるおそれがある |
| 点眼薬 | 他の人と共用しない | 細菌汚染があった場合、別の使用者へ感染するおそれがある |
| 医薬品全般 | 他の容器へ入れ替えない | 誤用や品質低下の原因となるおそれがある |
家庭内では小児の手の届かないところに保管します。手が届かないと思っても、小児の目につく場所に置かれていた場合の誤飲事故も報告されています。
旅行や勤め先へ持って行く場合でも、別の容器へ移し替えると、中身が分からなくなり誤用につながるほか、容器の状態によって品質を保てなくなるおそれがあります。
可燃性ガスを噴射剤とするエアゾール製品などでは、法令に基づく容器への注意事項表示に加え、添付文書の「保管及び取扱い上の注意」にも記載されます。
シロップは冷蔵が望ましく、錠剤・カプセル・散剤は冷蔵庫保管が不適当です。
本番の形で解いてみる
本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)
一般用医薬品の添付文書に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
- a 添付文書は、有効性・安全性等に係る新たな知見や使用に係る情報に基づき、必要に応じて随時改訂される。
- b 重要な内容が変更された場合は、改訂年月を記載するが、改訂箇所を明示する必要はない。
- c 販売名に薬効名が含まれている場合には、薬効名の記載が省略されることがある。
- d 添付文書は開封時に一度確認すればよく、その後の保管は必要ない。
- a正 b正 c誤 d誤
- a正 b誤 c正 d誤
- a誤 b正 c正 d誤
- a正 b誤 c誤 d正
- a誤 b誤 c正 d正
答えと解説を見る
正解: a正 b誤 c正 d誤
aとcが正しい記述です。bは、重要な内容が変更されたときは改訂年月だけでなく改訂箇所も明示します。dは、必要なときにいつでも読めるよう保管する必要があります。まちがえやすい点:添付文書の改訂は一定年数ごとの定期改訂ではなく、必要に応じた随時改訂です。
本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)
次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
- a 使用上の注意は、「相談すること」「してはいけないこと」「その他の注意」の順に記載される。
- b 使用上の注意における「高齢者」は、およその目安として65歳以上を指す。
- c 小児に使用される医薬品では、小児に通常当てはまらない「服用前後は飲酒しないこと」などの注意事項は記載されない。
- d 副作用は、まず一般的な副作用が関係部位別に記載され、その後に、まれに発生する重篤な副作用が記載される。
- aとb
- aとc
- bとc
- bとd
- cとd
答えと解説を見る
正解: bとd
正しいのはbとdです。使用上の注意は「してはいけないこと」「相談すること」「その他の注意」から構成され、重要な項目が前段に置かれます。小児に通常当てはまらない内容でも、配合成分に基づく一般的な注意事項として記載されます。まちがえやすい点:高齢者の目安は75歳以上ではなく65歳以上です。
本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)
購入者から、一般用医薬品の保管や使用について相談を受けた。最も適切な説明はどれか。
- 開封後のシロップ剤は、温度変化による変質を避けるため、冷蔵庫ではなく室温で保管するのが望ましいと説明する。
- カプセル剤は、変質を防ぐため、開封後は冷蔵庫内で保管するのが望ましいと説明する。
- 点眼薬は、細菌汚染があった場合に別の使用者へ感染するおそれがあるため、他の人と共用しないよう説明する。
- 旅行へ携行するときは、品質保持のため、市販の清潔な別容器へ移し替えるよう説明する。
- 小児用の医薬品は小児が使用するものなので、小児の手の届かない場所に保管する旨の注意は対象外であると説明する。
答えと解説を見る
正解: 点眼薬は、細菌汚染があった場合に別の使用者へ感染するおそれがあるため、他の人と共用しないよう説明する。
点眼薬は、使用時に薬液が細菌汚染されていた場合、共用すると別の使用者へ感染するおそれがあるため、「他の人と共用しないこと」とされます。シロップ剤は開封後の冷蔵庫保管が望ましく、錠剤・カプセル剤・散剤等は冷蔵庫内での保管が不適当です。医薬品は携行時でも別容器へ移し替えず、小児用を含め小児の手の届かないところに保管します。まちがえやすい点:冷蔵庫保管の判断は医薬品全体で同じではなく、剤形によって異なります。
出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方