登録販売者 参考書|第5章 医薬品の適正使用・安全対策

一般用医薬品の安全対策と適正使用の啓発

アンプル入りかぜ薬の回収

解熱鎮痛成分としてアミノピリン、スルピリンが配合されたアンプル入りかぜ薬では、重篤な副作用であるショックによる死亡例が発生しました。1959年から1965年までの間に、計38名の死亡例が報告されています。

アンプル剤は錠剤や散剤などより吸収が速く、血中濃度が急速に高値に達するため、通常用量でも副作用を生じやすいことが確認されました。このため、1965年に厚生省(当時)が関係製薬企業へアンプル入りかぜ薬製品の回収を要請しました。

その後、アンプル剤以外の一般用かぜ薬についても、1970年に承認基準が制定され、成分・分量、効能・効果などが見直されました。

確認点内容
配合成分アミノピリン、スルピリン
重篤な副作用ショック
回収要請1965年
一般用かぜ薬の承認基準1970年

アンプル入りかぜ薬は、アミノピリン・スルピリンによるショックを受け、1965年に回収要請です。

小柴胡湯と間質性肺炎

小柴胡湯による間質性肺炎は、1991年4月以降、使用上の注意に記載されていました。その後、小柴胡湯とインターフェロン製剤の併用例で間質性肺炎が報告されました。

このため、1994年1月に、インターフェロン製剤との併用を禁忌とする使用上の注意の改訂が行われました。しかし、その後も慢性肝炎患者が小柴胡湯を使用して間質性肺炎を発症し、死亡を含む重篤な転帰に至った例がありました。

そこで、1996年3月、厚生省(当時)が関係製薬企業に緊急安全性情報の配布を指示しました。

時期安全対策
1991年4月以降間質性肺炎を使用上の注意に記載
1994年1月インターフェロン製剤との併用を禁忌に改訂
1996年3月緊急安全性情報の配布を指示

小柴胡湯は間質性肺炎、併用相手はインターフェロン製剤、1996年は緊急安全性情報です。

一般用かぜ薬と間質性肺炎

一般用かぜ薬の使用によると疑われる間質性肺炎は、2003年5月までに計26例報告されました。

間質性肺炎は重篤な副作用であり、その初期症状は一般用かぜ薬が対象とするかぜの諸症状と区別しにくいという問題があります。このため厚生労働省は、2003年6月、一般用かぜ薬全般について使用上の注意を改訂するよう指示しました。報告があった製品だけを対象としたものではありません。

もともと「5~6回服用しても症状が良くならない場合には服用を中止して専門家に相談する」旨の注意がありました。さらに、症状が悪化した場合には服用を中止し、医師の診療を受ける旨の注意喚起が加えられました。

確認点内容
副作用間質性肺炎
報告数2003年5月までに26例
改訂対象一般用かぜ薬全般
症状悪化時服用を中止して医師の診療を受ける

2003年の一般用かぜ薬は、間質性肺炎26例で、改訂の対象は一般用かぜ薬全般です。

PPAと脳出血への安全対策

塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)は、鼻充血や結膜充血を除去し、鼻づまりなどを緩和する目的で、鼻炎用内服薬、鎮咳去痰薬、かぜ薬などに配合されていました。

日本では、2003年8月までにPPAを配合した一般用医薬品による脳出血等の副作用症例が複数報告されました。その多くは、用法・用量の範囲を超えた使用、または禁忌とされる高血圧症患者の使用によるものでした。

厚生労働省は関係製薬企業等に対し、使用上の注意の改訂や情報提供の徹底とともに、プソイドエフェドリン塩酸塩(PSE)等への速やかな切替えを指示しました。

項目PPAについての内容
目的鼻充血・結膜充血の除去、鼻づまり等の緩和
報告された副作用脳出血等
多かった使用例用法・用量を超えた使用、高血圧症患者の使用
代替成分プソイドエフェドリン塩酸塩(PSE)等

PPAは脳出血等、高血圧症患者や過量使用が問題となり、PSE等への切替えが指示されました。

適正使用を広める二つの啓発活動

登録販売者は、薬剤師とともに一般用医薬品の販売等に従事する医薬関係者として、適切なセルフメディケーションの普及定着と医薬品の適正使用の推進のため、啓発活動に積極的に参加、協力することが期待されています。

「薬と健康の週間」は毎年10月17日~23日の1週間です。医薬品の特質や使用・取扱いについて正しい知識を生活者に広め、保健衛生の維持向上に役立てることを目的として、国、自治体、関係団体等が広報活動やイベント等を行います。

「ダメ。ゼッタイ。」普及運動は、「6・26国際麻薬乱用撲滅デー」を広く普及し、薬物乱用防止を一層推進するため、毎年6月20日~7月19日の1ヶ月間実施されます。

活動期間
薬と健康の週間10月17日~23日
「ダメ。ゼッタイ。」普及運動6月20日~7月19日

10月17~23日は「薬と健康の週間」、6月20日~7月19日は「ダメ。ゼッタイ。」普及運動です。

一般用医薬品でも薬物乱用は起こる

薬物乱用や薬物依存は、麻薬や覚醒剤などの違法薬物だけで起こるものではありません。一般用医薬品によっても生じ得ます。

特に青少年では、薬物乱用の危険性についての認識や理解が十分でないことがあり、身近に入手できる一般用医薬品を好奇心から乱用することがあります。要指導医薬品や一般用医薬品の乱用をきっかけに、違法薬物の乱用につながることもあります。

薬物乱用は乱用者自身の健康を害するだけでなく、社会的な弊害を生じるおそれもあります。このため、医薬品の適正使用の重要性については、小中学生のうちから啓発することが重要です。

一般用医薬品でも乱用・依存は生じ得るため、小中学生のうちからの啓発が重要です。

本番の形で解いてみる

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

一般用医薬品の安全対策に関する次の記述a〜dの正誤について、正しい組合せはどれか。

  • a アミノピリン、スルピリンを配合したアンプル入りかぜ薬によるショックで死亡例が発生し、1965年に製品の回収が要請された。
  • b 小柴胡湯とインターフェロン製剤の併用例で間質性肺炎が報告され、1994年1月に両者の併用を禁忌とする使用上の注意の改訂が行われた。
  • c 2003年5月までに一般用かぜ薬によると疑われる肝機能障害が26例報告され、一般用かぜ薬全般の使用上の注意が改訂された。
  • d PPA配合一般用医薬品で脳出血等が報告され、PSE等への速やかな切替えが指示された。
  1. a正 b正 c正 d誤
  2. a正 b正 c誤 d正
  3. a正 b誤 c誤 d正
  4. a誤 b正 c正 d誤
  5. a誤 b誤 c正 d正
答えと解説を見る

正解: a正 b正 c誤 d正

a、b、dは正しい記述です。cは「肝機能障害」が誤りで、2003年5月までに26例報告されたのは一般用かぜ薬によると疑われる間質性肺炎です。これを受け、一般用かぜ薬全般について使用上の注意の改訂が指示されました。まちがえやすい点:26例と2003年6月の改訂は、間質性肺炎と結び付けます。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

  • a 「薬と健康の週間」は、毎年10月17日~23日の1週間に実施される。
  • b 「ダメ。ゼッタイ。」普及運動は、毎年10月17日~11月16日の1ヶ月間に実施される。
  • c 薬物乱用や薬物依存は一般用医薬品によっても生じ得る。
  • d 医薬品の適正使用についての啓発は、高校生以上を対象とし、小中学生には行わない。
  1. aとb
  2. aとc
  3. aとd
  4. bとc
  5. cとd
答えと解説を見る

正解: aとc

正しいのはaとcです。「薬と健康の週間」は10月17日~23日です。「ダメ。ゼッタイ。」普及運動は6月20日~7月19日の1ヶ月間です。一般用医薬品でも薬物乱用や薬物依存は生じ得て、適正使用の重要性については小中学生のうちからの啓発が重要です。まちがえやすい点:二つの啓発活動の期間を入れ替えないようにします。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

一般用医薬品について購入者から相談を受けた。安全対策についての説明として、最も適切なものはどれか。

  1. 一般用かぜ薬によると疑われる間質性肺炎が2003年5月までに26例報告され、報告のあった製品だけについて使用上の注意が改訂された。
  2. 小柴胡湯とインターフェロン製剤の併用例で間質性肺炎が報告され、1994年1月にインターフェロン製剤との併用を禁忌とする使用上の注意の改訂が行われた。
  3. PPAを配合した一般用医薬品による脳出血等が報告され、代替成分としてナファゾリン塩酸塩等への速やかな切替えが指示された。
  4. アンプル入りかぜ薬では、アミノピリン、スルピリンによる重篤な副作用として間質性肺炎が発生し、1965年に製品回収が要請された。
  5. 一般用かぜ薬を5~6回服用しても症状が良くならない場合は、服用を継続しながら専門家に相談する旨が使用上の注意に記載されていた。
答えと解説を見る

正解: 小柴胡湯とインターフェロン製剤の併用例で間質性肺炎が報告され、1994年1月にインターフェロン製剤との併用を禁忌とする使用上の注意の改訂が行われた。

適切なのは、小柴胡湯とインターフェロン製剤の併用を禁忌とした説明です。一般用かぜ薬の間質性肺炎では、使用上の注意の改訂対象は報告製品だけでなく一般用かぜ薬全般です。PPAの代替成分はプソイドエフェドリン塩酸塩(PSE)等です。アンプル入りかぜ薬で問題となった重篤な副作用はショックです。また、5~6回服用しても改善しない場合は服用を中止して専門家に相談します。まちがえやすい点:各安全対策では「成分・副作用・対象・対応」を一組で覚えます。

出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方