登録販売者 参考書|第5章 医薬品の適正使用・安全対策
「してはいけないこと」(運転・連用・併用・授乳など)
授乳中の人への禁止事項
妊婦では、「妊婦又は妊娠していると思われる人」と「出産予定日12週以内の妊婦」を分けて覚えます。
授乳中は、乳汁へ移行した成分が乳児へ影響するものがあります。
| 成分等 | 乳児への懸念 |
|---|---|
| ジフェンヒドラミンを含む内服薬、点鼻薬、坐薬、注入軟膏 | 昏睡 |
| アミノフィリン水和物、テオフィリンが配合された鎮咳去痰薬・鎮暈薬 | 神経過敏 |
| ロートエキスが配合された内服薬・外用痔疾用薬 | 頻脈 |
| センノシド、センナ、ダイオウ、カサントラノールが配合された内服薬、ヒマシ油類 | 下痢 |
| コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩 | コデインの母乳移行により乳児でモルヒネ中毒が生じたとの報告 |
これらでは、授乳中の人は服用しないか、服用する場合は授乳を避けます。ロートエキスについては、乳児への懸念は徐脈ではなく頻脈です。
授乳中は乳児への懸念を成分ごとに対応させます。センノシド等は乳児の下痢、ロートエキスは乳児の頻脈です。
運転してはいけない成分を見分ける
「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないこと」は、眠気だけでなく、目のかすみや異常なまぶしさが理由になる成分もあります。
| 主な成分等 | 懸念される症状 |
|---|---|
| ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩等の抗ヒスタミン成分 | 眠気等 |
| コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物等 | 眠気等 |
| ブロモバレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素 | 眠気等 |
| ロペラミド塩酸塩、ロートエキス | 眠気等 |
| スコポラミン臭化水素酸塩水和物、メチルオクタトロピン臭化物 | 眠気、目のかすみ、異常なまぶしさ |
| ピレンゼピン塩酸塩水和物 | 目のかすみ、異常なまぶしさ |
| スコポラミン臭化水素酸塩水和物、メチルオクタトロピン臭化物以外の抗コリン成分 | 運転操作をしないことの対象 |
テオフィリン、カフェイン、プソイドエフェドリン塩酸塩は、この表の「運転操作をしないこと」の対象成分として挙げられていません。
スコポラミンは眠気・目のかすみ・異常なまぶしさ、ピレンゼピンは目のかすみ・異常なまぶしさが運転禁止の理由です。
連用・大量使用を避けるもの
連用に関する注意は、「長期連用しない」「連用しない」「短期間の服用にとどめる」「症状があるときのみ」を区別します。
| 記載 | 主な薬効群・成分等 | 理由 |
|---|---|---|
| 長期連用しないこと | かぜ薬、解熱鎮痛薬、抗菌性点眼薬、鼻炎用内服薬、鎮静薬、アレルギー用薬 | 改善しない場合、ほかに原因がある可能性があるため |
| 長期連用しないこと | スクラルファート、合成ヒドロタルサイト、アルジオキサ等のアルミニウムを含む胃腸薬・胃腸鎮痛鎮痙薬 | アルミニウム脳症・アルミニウム骨症を生じるおそれがあるため |
| 短期間の服用にとどめ、連用しないこと | カフェインを主薬とする眠気防止薬 | 一時的な居眠り防止が目的であり、適切な睡眠を摂る必要があるため |
| 症状があるときのみの服用にとどめ、連用しないこと | 芍薬甘草湯 | うっ血性心不全、心室頻拍の副作用が現れることがあるため |
| 1週間以上継続して服用しないこと | 次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマス等のビスマスを含む成分 | 海外で長期連用により精神神経症状が現れたとの報告があるため |
| 大量に使用(服用)しないこと | センナ、センノシド、ダイオウ、カサントラノール、ビサコジル、ピコスルファートナトリウム等 | 腸管粘膜への刺激が大きくなり、炎症を生じるおそれがあるため |
芍薬甘草湯は「症状があるときのみ」、眠気防止薬は「短期間」、刺激性瀉下成分は「大量に使用しない」です。
飲酒・カフェイン・併用を避ける
食品や他の医薬品との組合せでも、「してはいけないこと」が定められています。
| 禁止事項 | 対象 | 理由 |
|---|---|---|
| 服用前後は飲酒しないこと | かぜ薬、解熱鎮痛薬 | 肝機能障害、胃腸障害のおそれがあるため |
| 服用前後は飲酒しないこと | 次硝酸ビスマス、次没食子酸ビスマス等 | 吸収増大による精神神経系障害のおそれがあるため |
| 服用前後は飲酒しないこと | ブロモバレリル尿素又はアリルイソプロピルアセチル尿素を含む解熱鎮痛薬・催眠鎮静薬・乗物酔い防止薬、抗ヒスタミン成分を主薬とする催眠鎮静薬 | 鎮静作用が増強するおそれがあるため |
| カフェインを含有する飲料と同時に服用しないこと | カフェインを主薬とする眠気防止薬 | カフェインが過量摂取となり、中枢神経系、循環器系等への作用が強く現れるおそれがあるため |
他の瀉下薬との併用を避ける漢方処方製剤には、茵蔯蒿湯、大黄甘草湯、大黄牡丹皮湯、麻子仁丸、桃核承気湯、防風通聖散、三黄瀉心湯、大柴胡湯、乙字湯(ダイオウを含む場合)があります。併用すると激しい腹痛を伴う下痢などが現れやすくなるためです。
ヒマシ油と駆虫薬にも併用上の制限があり、駆虫成分が腸管内で吸収されやすくなるためです。
眠気防止薬はカフェイン飲料と同時服用せず、ダイオウを含む対象漢方などは他の瀉下薬と併用しません。
外用薬の使用部位と光線過敏症
外用薬では、使用してはいけない部位と、その理由を対応させます。
| 薬効群等 | 使用しない部位・状態 | 理由 |
|---|---|---|
| みずむし・たむし用薬 | 目や目の周囲、粘膜 | 皮膚刺激成分により強い刺激や痛みを生じるおそれがあるため |
| 外用鎮痒消炎薬(エアゾール剤) | 目の周囲、粘膜等 | 特定の局所に使用しにくく、目などに薬剤が入るおそれがあるため |
| 外用鎮痛消炎薬 | 目の周囲、粘膜等 | 皮膚刺激成分により強い刺激や痛みを生じるおそれがあるため |
| うおのめ・いぼ・たこ用薬 | 目の周囲、粘膜、やわらかな皮膚面、顔面等 | 角質溶解作用が強く、目への障害や皮膚への強すぎる作用のおそれがあるため |
| 殺菌消毒薬(液体絆創膏) | ただれ、化膿している患部 | 湿潤した患部では分泌液が貯留し、症状を悪化させることがあるため |
インドメタシン、フェルビナク、ケトプロフェン、ピロキシカムが配合された外用薬は、感染に対する効果がなく、感染の悪化が自覚されにくくなるおそれがあるため、化膿している患部などへの使用を避けます。
ケトプロフェンが配合された外用鎮痛消炎薬では、使用中は天候にかかわらず戸外活動を避け、日常の外出時も塗布・貼付部を衣服やサポーター等で覆って紫外線に当てず、使用後もしばらく同様にします。使用中又は使用後しばらくしてから重篤な光線過敏症が現れることがあるためです。
外用薬は「どの部位に使わないか」と理由を対応させ、ケトプロフェンでは使用後もしばらく紫外線を避けます。
本番の形で解いてみる
本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)
「してはいけないこと」に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
- a ケトプロフェンが配合された外用鎮痛消炎薬は、使用中は天候にかかわらず戸外活動を避け、使用後もしばらくの間は紫外線に当てないこととされている。
- b ピレンゼピン塩酸塩水和物は、目のかすみや異常なまぶしさを生じることがあるため、服用後は乗物又は機械類の運転操作をしないこととされている。
- c ロートエキスが配合された内服薬は、乳児に徐脈を起こすおそれがあるため、授乳中の人は服用しないか、服用する場合は授乳を避けることとされている。
- d 酸化マグネシウムは、刺激性瀉下成分として「大量に使用(服用)しないこと」とされている。
- a正 b正 c正 d誤
- a正 b正 c誤 d誤
- a正 b誤 c誤 d正
- a誤 b正 c正 d誤
- a誤 b誤 c正 d正
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正解: a正 b正 c誤 d誤
a、bは正しいです。cは誤りで、ロートエキスによる乳児への懸念は徐脈ではなく頻脈です。dも誤りで、「大量に使用(服用)しないこと」の対象はセンナ、センノシド、ダイオウ、カサントラノール、ビサコジル、ピコスルファートナトリウム等の刺激性瀉下成分で、酸化マグネシウムは挙げられていません。まちがえやすい点:ロートエキスは「乳児に頻脈」、大量使用の注意は刺激性瀉下成分です。
本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)
次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
- a 次硝酸ビスマス、次没食子酸ビスマス等のビスマスを含む止瀉薬は、1週間以上継続して服用しないこととされている。
- b カフェインを主薬とする眠気防止薬は、症状があるときのみの服用にとどめ、連用しないこととされている。
- c 芍薬甘草湯は、うっ血性心不全、心室頻拍の副作用が現れることがあるため、症状があるときのみの服用にとどめ、連用しないこととされている。
- d センノシドが配合された内服薬は、乳児に神経過敏を起こすおそれがあるため、授乳中の人は服用しないか、服用する場合は授乳を避けることとされている。
- aとb
- aとc
- aとd
- bとc
- cとd
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正解: aとc
正しいのはaとcです。bは誤りで、カフェインを主薬とする眠気防止薬は「短期間の服用にとどめ、連用しないこと」とされ、「症状があるときのみ」は芍薬甘草湯です。dは誤りで、センノシド等で乳児に懸念されるのは神経過敏ではなく下痢です。神経過敏はアミノフィリン水和物、テオフィリンが配合された鎮咳去痰薬・鎮暈薬で示されています。まちがえやすい点:「症状があるときのみ」は芍薬甘草湯、「短期間」は眠気防止薬、「1週間以上継続しない」はビスマスを含む止瀉薬です。
本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)
購入者が「授乳中で便秘があり、センノシドを含む内服薬を使いたい。仕事では車を運転する。あわせて眠気防止薬も時々使う」と相談している。説明として、最も適切なものはどれか。
- センノシドでは乳児に下痢を起こすおそれがあるため、授乳中は服用しないか、服用する場合は授乳を避ける。カフェインを主薬とする眠気防止薬は短期間の服用にとどめ、カフェインを含む飲料と同時に服用しない。
- センノシドでは乳児に神経過敏を起こすおそれがあるため、授乳中は服用しないか、服用する場合は授乳を避ける。カフェインを主薬とする眠気防止薬は短期間の服用にとどめる。
- センノシドでは乳児に下痢を起こすおそれがあるため、授乳中は服用しないか、服用する場合は授乳を避ける。カフェインを主薬とする眠気防止薬は長期連用しないが、カフェイン飲料との同時服用については制限されない。
- センノシドでは乳児に下痢を起こすおそれがあるため、授乳中は服用しないか、服用する場合は授乳を避ける。カフェインを主薬とする眠気防止薬は症状があるときのみの服用にとどめ、連用しない。
- センノシドでは乳児に下痢を起こすおそれがあるため、授乳中は服用しないか、服用する場合は授乳を避ける。カフェインを主薬とする眠気防止薬は1週間以上継続して服用しない。
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正解: センノシドでは乳児に下痢を起こすおそれがあるため、授乳中は服用しないか、服用する場合は授乳を避ける。カフェインを主薬とする眠気防止薬は短期間の服用にとどめ、カフェインを含む飲料と同時に服用しない。
センノシド、センナ、ダイオウ、カサントラノールが配合された内服薬などは、乳児に下痢を起こすおそれがあるため、授乳中は服用しないか、服用する場合は授乳を避けます。カフェインを主薬とする眠気防止薬は短期間の服用にとどめて連用せず、コーヒーやお茶等のカフェイン含有飲料と同時に服用しません。まちがえやすい点:「症状があるときのみ」は芍薬甘草湯、「1週間以上継続しない」はビスマスを含む止瀉薬です。
出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方