FP3級 学習ページ|CH06 相続・事業承継
贈与と贈与税の基本
贈与税がかかる財産・かからない財産
贈与税は、原則として個人から贈与によって財産を取得した個人にかかります。現金や土地などのほか、経済的な利益を受けた場合も課税対象になることがあります。
一方、法人から贈与された財産には贈与税ではなく所得税がかかります。また、扶養義務者から受け取る通常必要な生活費・教育費で、必要な都度その目的に使うものなどは贈与税がかかりません。
社会通念上相当と認められる香典・見舞金なども贈与税はかかりません。また、相続や遺贈で財産を取得した人が、相続開始の年に被相続人から受けた贈与で相続税の課税価格に加算されるものにも、贈与税はかかりません。
個人→個人は贈与税が基本。法人→個人は所得税
売買の形でも贈与になることがある
形式が売買でも、個人から財産を著しく低い価額で譲り受けた場合は、原則として時価と支払った対価との差額を贈与によって取得したものとみなします。これをみなし贈与と考えます。
「時価の2分の1未満なら必ず著しく低い」と一律に判定する制度ではありません。贈与税では、具体的な事情に基づいて判定します。
安く買っても、時価との差額がみなし贈与になることがある
死因贈与は贈与税ではなく相続税
死因贈与は、贈与者の死亡によって効力が生じる贈与です。死因贈与によって取得した財産には、原則として贈与税ではなく相続税がかかります。
生前に通常の贈与でもらった財産と、死亡を原因として取得する財産を混同しないようにします。
死因贈与→贈与税ではなく相続税
暦年課税の基礎控除は年110万円
暦年課税では、1月1日から12月31日までの1年間に贈与で取得した財産を合計し、そこから基礎控除110万円を差し引いて贈与税を計算します。
基礎控除は贈与者ごとではなく受贈者1人につき年間110万円です。父と母の2人から贈与を受けても、110万円ずつ合計220万円を控除できるわけではありません。
基礎控除後の課税価格 = 1年間の贈与財産の価額の合計 − 110万円
暦年課税110万円は「もらう人ごとに年1回」
一般税率と特例税率を使い分ける
暦年課税の贈与税には一般税率と特例税率があります。贈与を受けた年の1月1日に18歳以上の人が、父母・祖父母などの直系尊属から贈与を受けた財産は、原則として特例税率を使います。それ以外は一般税率です。
税率を掛けるのは、贈与財産そのものではなく110万円を控除した後の課税価格です。
18歳以上が直系尊属から→特例税率。それ以外→一般税率
贈与税の速算表の使い方
一般贈与財産の速算表は、基礎控除後の課税価格が200万円以下10%、300万円以下15%・控除10万円、400万円以下20%・控除25万円、600万円以下30%・控除65万円、1,000万円以下40%・控除125万円、1,500万円以下45%・控除175万円、3,000万円以下50%・控除250万円、3,000万円超55%・控除400万円です。
特例贈与財産は、200万円以下10%、400万円以下15%・控除10万円、600万円以下20%・控除30万円、1,000万円以下30%・控除90万円、1,500万円以下40%・控除190万円、3,000万円以下45%・控除265万円、4,500万円以下50%・控除415万円、4,500万円超55%・控除640万円です。
贈与税額 = 基礎控除後の課税価格 × 税率 − 控除額
先に110万円を引く→該当する速算表→税率を掛けて控除額を引く
贈与は双方の合意で成立する
贈与は、一方が財産を無償で与える意思を示し、相手方が受諾することで成立する契約です。
書面によらない贈与は、各当事者が解除できます。ただし、すでに履行が終わった部分は解除できません。
口約束の贈与は解除できる。ただし履行済み部分は戻せない
定期贈与・負担付贈与・死因贈与
定期贈与は、定期的に財産を給付する贈与で、贈与者または受贈者が死亡すると効力を失います。
負担付贈与は、受贈者にも一定の負担を負わせる贈与です。死因贈与は、贈与者の死亡によって効力が生じる贈与です。
定期=どちらか死亡で終了、負担付=受贈者にも負担、死因=贈与者の死亡で効力
贈与税の申告期限と申告先
贈与税の申告と納税は、原則として贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに行います。
申告書の提出先は、原則として受贈者の住所地を所轄する税務署です。贈与者の住所地ではありません。
暦年課税では、その年に受けた贈与の合計額が基礎控除額を超える場合、原則として贈与税の申告が必要です。
翌年2月1日〜3月15日・受贈者の住所地
贈与税の延納
贈与税は金銭で一時に納付するのが原則ですが、納付税額が10万円を超え、金銭で一時に納付することが困難であるなど一定の要件を満たせば、申請によって延納が認められる場合があります。
贈与税の延納期間は5年以内の年賦です。延納には利子税がかかり、原則として担保も必要です。
贈与税の延納=10万円超・一括納付困難・最長5年
本番の形で解いてみる
実技・資料を読む問題(過去の公開問題で出た形)
贈与税の速算表 Gさん(贈与を受けた年の1月1日に25歳)は、祖父から800万円の贈与を受けた。暦年課税で、ほかの贈与はない。表の区分は基礎控除後の課税価格。値は税率・控除額。
| 一般税率 | 特例税率 | |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10%・0 | 10%・0 |
| 200万円超300万円以下 | 15%・10万円 | 15%・10万円 |
| 300万円超400万円以下 | 20%・25万円 | 15%・10万円 |
| 400万円超600万円以下 | 30%・65万円 | 20%・30万円 |
| 600万円超1,000万円以下 | 40%・125万円 | 30%・90万円 |
| 1,000万円超1,500万円以下 | 45%・175万円 | 40%・190万円 |
| 1,500万円超3,000万円以下 | 50%・250万円 | 45%・265万円 |
| 3,000万円超4,500万円以下 | 55%・400万円 | 50%・415万円 |
| 4,500万円超 | 55%・400万円 | 55%・640万円 |
Gさんの贈与税額として、最も適切なものはどれか
- 117万円
- 150万円
- 207万円
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正解: 117万円
祖父(直系尊属)から18歳以上の孫への贈与なので特例税率を使う。基礎控除後の課税価格は800万円−110万円=690万円。690万円×30%−90万円=117万円となる。まちがえやすい点: 税率は贈与額800万円ではなく、基礎控除後の690万円に適用する。
4択の確認問題
個人が法人から無償で財産の贈与を受けた場合、原則としてその個人に課税される税として最も適切なものはどれか。
- 贈与税
- 相続税
- 所得税
- 法人税
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正解: 所得税
法人から個人への贈与は贈与税の対象ではなく、原則として個人の所得税の課税対象となります。まちがえやすい点: 贈与税は原則として個人から個人への贈与にかかります。
4択の確認問題
贈与税の基礎控除額(暦年課税)として正しいものはどれか(年間・1人当たり)。
- 100万円
- 110万円
- 150万円
- 60万円
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正解: 110万円
暦年課税贈与税の基礎控除は年間110万円(受贈者1人当たり)。
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読んだところを、問題で思い出してみましょう。
10問を解く →どこから読むかはFP3の勉強の順番(過去の傾向から)にまとめています。試験に出る数字は勉強の順番のページの一覧にまとめています。このページの数字・制度は、2026年4月1日時点の法令などにもとづきます(2026年10月確認)。