宅建士 参考書|第1章 宅建業法

保証協会

保証協会に加入すると営業保証金に代えて分担金を納める

宅地建物取引業保証協会は、国土交通大臣の指定を受けた一般社団法人です。宅建業者の加入は任意ですが、一つの保証協会の社員である宅建業者が同時に他の保証協会の社員になることはできません。

社員になる宅建業者は、自ら営業保証金を供託する代わりに、弁済業務保証金分担金を保証協会へ納付します。納付先は供託所ではありません。

事務所分担金
主たる事務所60万円
その他の事務所1か所につき30万円

新たに社員になろうとする宅建業者は、加入しようとする日までに分担金を納付します。社員が新たに事務所を設置した場合は、その日から2週間以内に追加分を納付しなければならず、期限内に納付しないと社員の地位を失います。分担金は現金で保証協会に納付し、有価証券で納めることはできません。

社員になって営業保証金を供託しなくてよくなった宅建業者は、それまで供託していた営業保証金を取り戻せます。このときは、営業保証金を取り戻すときの6か月以上の公告は要りません。

分担金は保証協会へ現金で、本店60万円+支店1か所30万円。新設事務所分は設置から2週間以内です。

供託するのは社員ではなく保証協会

保証協会は社員から分担金の納付を受けると、その日から1週間以内に、その額に相当する弁済業務保証金を供託します。社員が自分で分担金を供託所へ供託する制度ではありません。

弁済業務保証金の供託先は、法務大臣と国土交通大臣が定める供託所です。各支店の最寄りの供託所へそれぞれ供託するものではありません。

保証協会は、新たに社員が加入したとき、または社員がその地位を失ったときは、直ちにその宅建業者の免許権者へ報告します。報告する主体は社員本人ではなく保証協会です。

社員は保証協会へ分担金、保証協会は1週間以内に弁済業務保証金を供託します。

弁済を受ける人と限度額を見分ける

保証協会の社員と宅建業に関して取引をし、その取引によって債権を有する者は、一定の手続によって弁済業務保証金から弁済を受けられます。ただし、取引相手自身が宅建業者である場合は対象外です。

弁済を受けられる上限は、その社員が保証協会の社員でなかったなら供託すべき営業保証金の額です。したがって、本店だけの業者なら分担金60万円が限度になるのではなく、営業保証金相当額が限度になります。

また、その宅建業者が保証協会の社員になる前にした取引から生じた債権でも、要件を満たせば弁済の対象になります。

弁済を受けようとする者は、まず保証協会から弁済を受けられる額について認証を受け、その認証額について供託された弁済業務保証金に対する権利を実行します。保証協会へ直接「還付してください」と請求して終わる仕組みではありません。

弁済限度額は分担金ではなく本来の営業保証金相当額で、加入前の取引も対象になり得ます。

還付後は保証協会と社員がそれぞれ補う

弁済業務保証金が取引相手への弁済によって還付されると、供託額が減ります。保証協会は所定の日から2週間以内に、還付された額と同額の弁済業務保証金を供託して不足を補います。

その一方で保証協会は、還付の原因となった社員または元社員に、還付額と同額の還付充当金を保証協会へ納付するよう通知します。

する人すること期限
保証協会弁済業務保証金を追加供託所定の日から2週間以内
社員・元社員還付充当金を保証協会へ納付通知を受けた日から2週間以内

現に社員である宅建業者が還付充当金を期限内に納付しなければ、社員の地位を失います。期限後に供託所へ直接供託すれば社員に戻れるという制度ではありません。

還付充当金は社員が保証協会へ、通知から2週間以内に納付します。

社員資格を失ったら1週間以内に営業保証金へ切り替える

保証協会の社員でなくなると、営業保証金を供託しなくてよいという特例を使えません。宅建業を続ける場合は、社員の地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託しなければなりません。

供託額は一律1,500万円ではなく、通常の営業保証金と同じく主たる事務所1,000万円、その他の事務所1か所につき500万円で計算します。

保証協会には苦情処理の業務もあります。社員は、保証協会から苦情の解決に必要な説明や資料提出を求められたとき、正当な理由なく拒むことはできません。

社員資格喪失後も営業を続けるなら、1週間以内に通常の営業保証金を供託します。

分担金の返還で公告が必要なのは社員資格を失った場合

社員がその地位を失った場合、保証協会はその社員に対応する弁済業務保証金を取り戻して分担金を返還できますが、過去の取引相手の弁済請求を保護する手続が必要です。保証協会は、弁済を受ける権利を有する者に対して6か月以上の期間を定めて公告します。

これに対し、社員の地位はそのままで一部の事務所を廃止し、分担金の超過額を返還する場合には、この社員資格喪失時の公告は必要ありません。「分担金を返すなら常に公告」と覚えないようにします。

社員資格喪失による分担金返還は6か月以上の公告、一部事務所廃止による返還にはその公告は不要です。

本番の形で解いてみる

基本の問題(まなクエの問題集から)

弁済業務保証金分担金の納付について正しいものはどれか。

  1. 分担金は現金で保証協会に納付する
  2. 分担金は毎年更新が必要
  3. 弁済業務保証金分担金は、有価証券によって納付することもできる
  4. 分担金は有価証券でも納付できる
答えと解説を見る

正解: 分担金は現金で保証協会に納付する

弁済業務保証金分担金(宅建業法64条の9):現金で保証協会に納付。有価証券では納付できない(営業保証金と異なる)。

基本の問題(まなクエの問題集から)

保証協会の社員の地位の得喪について正しいものはどれか。

  1. 保証協会への加入により宅建業者は免許不要となる
  2. 保証協会は、新たに社員が加入し、又は社員がその地位を失ったときは、直ちに、その旨を当該宅建業者の免許権者へ報告しなければならない
  3. 保証協会の社員になるには免許権者の許可が必要
  4. 保証協会への加入は宅建業者の任意であるが、一度加入すれば簡単には退会できない
答えと解説を見る

正解: 保証協会は、新たに社員が加入し、又は社員がその地位を失ったときは、直ちに、その旨を当該宅建業者の免許権者へ報告しなければならない

保証協会の社員の加入・脱退(宅建業法64条の4):保証協会は、新たに社員が加入し、又は社員がその地位を失ったときは、直ちにその旨を当該宅建業者の免許権者へ報告しなければならない。報告義務を負うのは保証協会であり、宅建業者本人ではない。

事例で判断する問題(この節のために作った問題)

保証協会の社員Aは主たる事務所だけで宅建業を営んでいる。Aが社員となる前に、宅建業者ではないBと宅建業に関する取引をし、その取引によってBに800万円の債権が生じた。Aがその後保証協会の社員となった場合の弁済業務保証金について、正しいものはどれか。

  1. BはAの加入前の取引であるため、弁済業務保証金から一切弁済を受けられない
  2. Bが受けられる弁済額の上限は、Aが納付した分担金60万円である
  3. Bは要件を満たせば加入前の取引についても弁済を受けることができ、限度額はAが本来供託すべき営業保証金相当額である
  4. Bは保証協会の認証を受けず、保証協会に直接還付を請求すればよい
答えと解説を見る

正解: Bは要件を満たせば加入前の取引についても弁済を受けることができ、限度額はAが本来供託すべき営業保証金相当額である

社員になる前の取引でも要件を満たせば弁済対象になります。限度額は分担金額ではなく、その社員が保証協会に加入していなければ供託すべき営業保証金の額です。

この内容を問題で確かめる

読んだところを、問題で思い出してみましょう。

宅建の問題を解く →

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」。このページの法令は令和8年(2026年)4月1日現在の法令にもとづきます(e-Govで確かめた日 2026年10月11日)。このページの作り方と確かめ方