宅建士 参考書|第2章 権利関係

借家

普通借家は期間と更新通知をセットで判断する

普通建物賃貸借で期間を定める場合、1年未満の期間を定めると期間の定めがない賃貸借とみなされます。建物賃貸借には民法上の50年という賃貸借期間の上限は適用されません。

期間の定めがある普通借家では、当事者が期間満了の1年前から6か月前までの間に、更新しない旨または条件を変更しなければ更新しない旨を通知しなかったときは、従前と同じ条件で更新したものとみなされます。ただし、更新後の期間は定めがないものとなります。

適切な通知をしても、満了後に借主が使用を続け、貸主が遅滞なく異議を述べなければ、同様に期間の定めがない賃貸借として更新されます。

普通借家は1年未満なら期間なし、更新通知の期間は満了1年前から6か月前までです。

貸主から終わらせるには6か月と正当事由が必要

期間の定めがない普通借家について貸主が解約を申し入れると、原則として申入れから6か月後に終了します。ただし、貸主からの解約申入れには正当事由が必要です。

期間の定めがある普通借家で貸主が更新を拒絶する場合も正当事由が必要です。正当事由は、貸主・借主が建物を必要とする事情、賃貸借の従前の経過、建物の利用状況、建物の現況、立退料など財産上の給付の申出を総合して判断します。立退料を申し出ただけで正当事由が当然に成立するわけではありません。

借主に不利な形で「貸主の解約申入れから3か月で終了する」などと短縮する特約は認められません。

貸主側の終了は「正当事由」と「6か月」を軸に判断します。

建物の引渡しがあれば新所有者にも対抗できる

建物賃貸借は登記がなくても、建物の引渡しを受けていれば、その後に建物の所有権を取得した者に賃借権を対抗できます。普通借家だけでなく、定期建物賃貸借でも同じです。

対抗要件を備えた賃貸建物が譲渡されると、原則として賃貸人の地位も新所有者へ移転します。敷金関係も新賃貸人へ承継され、賃貸借終了時には、旧賃貸人に対する未払賃料などに充当した残額が承継の対象となります。

ただし、不動産の譲渡人と譲受人が賃貸人の地位を譲渡人に留保し、譲受人が譲渡人へその不動産を賃貸する旨を合意した場合には、一定の要件の下で賃貸人の地位を譲渡人に留保できます。

借家の対抗要件は登記ではなく、まず建物の引渡しを確認します。

賃料増減と造作買取は「排除できる特約か」を見る

建物賃料が、税負担、土地・建物価格や経済事情、近隣同種の賃料との比較などから不相当となれば、当事者は将来に向かって賃料の増減を請求できます。

普通借家では、一定期間賃料を増額しない特約は有効です。一方、賃料を減額しない特約によって借主の減額請求権を封じることはできません。増額請求に「前回改定から必ず1年以上」など一律の待機期間があるわけでもありません。

貸主の同意を得て建物に付加した畳、建具などの造作について、借主は賃貸借終了時に貸主へ時価での買取りを請求できる場合があります。ただし、造作買取請求権を行使しない旨の特約は有効です。転借人についても、要件を満たせば造作買取請求の規定が適用されます。

普通借家は増額しない特約は有効、減額不可特約は原則無効、造作買取は特約で排除できます。

定期建物賃貸借は「契約・事前説明・終了通知」の3段階

定期建物賃貸借は、期間満了で更新せず確定的に終了させる制度です。居住用建物にも利用できます。

  1. 契約:期間を定め、契約の更新がないことを定め、書面または電磁的記録によって契約します。公正証書だけに限定されません。
  2. 事前説明:貸主は契約前に、更新がなく期間満了で終了することを記載した契約書とは別の書面を交付するなどして説明しなければなりません。この説明をしなければ「更新がない」とする定めは無効です。
  3. 終了通知:契約期間が1年以上なら、貸主は期間満了の1年前から6か月前までの間に、期間満了で終了する旨を借主へ通知しなければ、その終了を借主に対抗できません。

定期建物賃貸借では、1年未満の期間を定めても有効です。普通借家のように「期間の定めがない賃貸借」とはみなされません。

通知期間を過ぎてから通知した場合でも、通知の日から6か月を経過すれば終了を対抗できます。通知をしなかったから同条件で自動更新されるのではありません。

床面積200平方メートル未満の居住用建物で、転勤、療養、親族の介護などやむを得ない事情により生活の本拠として使うことが困難となった借主は、一定の場合に中途解約を申し入れることができ、申入れから1か月で終了します。

定期建物賃貸借で賃料改定について特約を置いた場合は、その特約に従い、通常の賃料増減請求の規定を適用しないことができます。

定期借家は書面等の契約だけでは足りず、契約前の別途説明と、1年以上なら終了通知も確認します。

転借人・内縁の同居者・修繕も終了場面と合わせて整理する

賃貸人と賃借人の契約が期間満了や解約申入れによって終了する場合、適法な転貸借があるときは、賃貸人が転借人へその旨を通知しなければ、原則として賃貸借の終了を転借人に対抗できません。通知した場合、転貸借は通知から6か月後に終了します。賃借人の債務不履行を理由に賃貸借が解除された場合は、この6か月の保護とは別に考えます。

居住用建物の借主が相続人を残さず死亡した場合、婚姻届をしていない事実上の配偶者や、事実上の養親子関係にある同居者は、原則として借主の権利義務を承継します。ただし、死亡後1か月以内に反対の意思表示をすれば承継しません。

借主は、修繕が必要であることを貸主に通知した、または貸主がそのことを知ったのに相当期間内に修繕しないときや、急迫の事情があるときには、自ら修繕することができます。また、無断転貸があっても、それが貸主に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情がある場合、判例は解除を認めていません。

転借人保護は通知から6か月、相続人なしの居住用借家では内縁同居者の承継も確認します。

取壊し予定建物の賃貸借は「法令等に基づく予定」を確認する

法令や契約などによって一定期間後に建物を取り壊すことが明らかな場合には、建物を取り壊す時までを存続期間とする賃貸借を設定できます。

この特約は、建物を取り壊すべき事由を記載した書面または電磁的記録によってしなければなりません。単に「将来取り壊す予定だから、書面で終了日を決めた」というだけでは足りず、法令や契約等に基づき取り壊すことが明らかな建物であることが必要です。

取壊し予定建物は、書面等だけでなく「取り壊すことが明らかな根拠」まで確認します。

本番の形で解いてみる

基本の問題(まなクエの問題集から)

借地借家法における借家権(建物賃借権)の存続期間について正しいものはどれか。

  1. 1年未満の期間を定めた建物賃貸借は期間の定めのない賃貸借とみなされる
  2. 建物賃貸借の存続期間は最長50年である
  3. 借家権の最短存続期間は6ヶ月である
  4. 借家権の存続期間は最長20年である
答えと解説を見る

正解: 1年未満の期間を定めた建物賃貸借は期間の定めのない賃貸借とみなされる

借地借家法29条:期間を1年未満とした普通建物賃貸借は、期間の定めのない建物賃貸借とみなされる。借家権には最長存続期間の定めがなく、民法604条の50年上限は建物賃貸借には適用されない(借地借家法29条2項)。

基本の問題(まなクエの問題集から)

建物賃貸借の更新拒絶について正しいものはどれか。

  1. 借主は期間満了前に何時でも解約の申入れができる
  2. 貸主は期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に解約の申入れをすれば更新を拒絶できる
  3. 貸主は正当事由なく更新を拒絶することはできない
  4. 貸主は立退料を支払いさえすれば、正当事由がなくても必ず更新拒絶または解約申入れができる
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正解: 貸主は正当事由なく更新を拒絶することはできない

建物賃貸借の更新拒絶(借地借家法28条):正当事由が必要であり、立退料等の財産上の給付は、その正当事由の有無を判断する一要素にすぎない。立退料の支払いが常に必要というわけではなく、また、立退料を支払えばそれだけで正当事由が満たされ、更新拒絶や解約申入れが常にできるというものでもない。

事例で判断する問題(この節のために作った問題)

AがBに居住用建物を5年間賃貸し、契約の更新がない定期建物賃貸借とする場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 契約書に更新がないことを明記すれば、Aは契約前に別途説明をしなくても定期建物賃貸借として有効である。
  2. 定期建物賃貸借は公正証書によって契約しなければならない。
  3. Aが期間満了による終了の通知を必要な時期にしなくても、期間満了日に当然に終了したことを直ちにBへ対抗できる。
  4. Aが契約前に必要な説明を行い、書面または電磁的記録により更新がない旨を定めて契約し、さらに法定の時期に終了通知をすれば、期間満了による終了をBに対抗できる。
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正解: Aが契約前に必要な説明を行い、書面または電磁的記録により更新がない旨を定めて契約し、さらに法定の時期に終了通知をすれば、期間満了による終了をBに対抗できる。

定期建物賃貸借では、更新がない旨を定めた書面等による契約に加え、契約前の別途説明が必要です。期間が1年以上なら、貸主は満了1年前から6か月前までの終了通知も行います。

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出典: e-Gov法令検索「借地借家法」・e-Gov法令検索「民法」。このページの法令は令和8年(2026年)4月1日現在の法令にもとづきます(e-Govで確かめた日 2026年10月11日)。このページの作り方と確かめ方