宅建士 参考書|第3章 法令上の制限

盛土規制法

宅地・農地・森林を問わず、2つの規制区域で盛土等を規制する

盛土規制法の正式名称は「宅地造成及び特定盛土等規制法」です。土地の用途が宅地か農地か森林かを問わず、盛土等に伴う災害のおそれがある区域を規制します。

規制区域は、宅地造成等工事規制区域と特定盛土等規制区域の2つです。いずれも都道府県知事等が基礎調査を踏まえて指定します。都道府県知事等には、都道府県知事のほか、指定都市・中核市の長が含まれます。

宅地造成等工事規制区域は、市街地や集落、その周辺など、盛土等により人家等へ危害を生ずるおそれが大きい区域です。特定盛土等規制区域は、それ以外の区域でも、盛土等により人家等へ危害を生ずるおそれがある区域を広く指定します。

土地の用途ではなく、規制区域と工事の規模で許可・届出を判断します。

許可・届出は高さと面積で判定する

宅地造成等工事規制区域では、次の規模の盛土・切土などが原則として許可対象です。

工事許可対象となる主な規模
盛土で崖ができる高さ1m超の崖
切土で崖ができる高さ2m超の崖
盛土と切土を同時に行う高さ2m超の崖
崖を生じない盛土高さ2m超
上記以外の盛土・切土面積500㎡超
土石の堆積高さ2m超かつ面積300㎡超、または面積500㎡超

したがって、切土で生じる崖の高さが1.5mにとどまるだけでは、そのことだけを理由に許可対象とはなりません。一方、切土で高さ2mを超える崖を生じる工事は原則として許可対象です。

特定盛土等規制区域では、比較的小さい規模から工事着手30日前までの届出が必要となり、さらに大きい規模では届出ではなく許可が必要です。許可対象は、盛土で高さ2m超の崖、切土で高さ5m超の崖、崖を生じない盛土で高さ5m超、盛土・切土面積3,000㎡超などです。

宅造区域は1m・2m・500㎡、特盛区域の大規模許可は2m・5m・3,000㎡が軸です。

許可申請の前に住民周知、許可後は標識を掲示する

許可が必要な工事では、工事主が都道府県知事等へ申請します。周辺住民への説明会などによる周知は、許可申請の前に行います。単に「工事着手前ならよい」と覚えると誤ります。

許可には災害防止のため必要な条件を付すことができます。許可を受けた計画を変更するときも原則として変更許可が必要で、軽微な変更は届出で処理します。

許可を受けた工事主は、工事現場の見やすい場所に標識を掲示します。また、都市計画法の開発許可を受けた工事は盛土規制法の許可を受けたものとみなされる場合がありますが、標識掲示や必要な検査・報告まで消えるわけではありません。

住民周知は許可申請前、許可後は現場に標識を掲示します。

工事中は中間検査・定期報告、完了後は完了検査がある

許可対象工事のうち一定規模以上のものでは、施工中に中間検査や定期報告が必要です。工事が終わったときは、許可基準に適合しているかについて完了検査を受けます。

規制区域が新たに指定された時点ですでに規制対象規模の工事をしている場合は、改めて通常の新規許可を取り直すのではなく、原則として区域指定の日から21日以内に工事内容を届け出ます。

擁壁など一定の施設では、構造・規模に応じて有資格者による設計が必要となる場合があります。試験では「許可さえ取れば工事中・完了後の確認はない」という肢を切れるようにします。

指定時に工事中なら21日以内届出、許可工事は検査・報告まで続きます。

安全維持は土地所有者等の責務で、危険なら勧告・命令の対象になる

盛土等が行われた土地では、土地所有者、管理者、占有者は、その土地を安全な状態に維持するよう努める責務があります。工事をした者だけに責任が残る制度ではありません。

災害防止のため必要があるときは、都道府県知事等は土地所有者等に必要な措置を勧告し、一定の場合には改善命令を出すことができます。原因となる行為をした者が別にいるときは、その原因行為者も命令の対象となり得ます。

行政は基礎調査や立入調査を行い、必要な報告を求めることもできます。立入調査を正当な理由なく拒むことが自由に認められるわけではありません。

完成後も土地所有者等に安全維持の責務があり、危険なら勧告・改善命令があります。

造成宅地防災区域は既存の造成宅地の危険に備える区域

造成宅地防災区域は、すでに造成された一団の宅地で、地震や豪雨などにより滑動崩落等の災害が生ずるおそれが大きい区域について指定されます。宅地造成等工事規制区域の中に重ねて指定する制度ではありません。

区域内では、所有者等に災害防止措置の責務があり、必要に応じて勧告や改善命令の対象になります。新しく行う盛土・切土の許可制度と、既存造成宅地の危険への対応を混同しないことが大切です。

新規工事の規制区域と、既存造成宅地の危険に備える造成宅地防災区域を分けて考えます。

本番の形で解いてみる

基本の問題(まなクエの問題集から)

宅地造成等規制法(令和4年改正後)の盛土規制法について正しいものはどれか。

  1. 盛土規制法は宅地・農地・森林等を問わず盛土工事等を規制する
  2. 盛土規制法は市街地のみに適用される
  3. 盛土規制法は従前の宅地造成等規制法と全く同じ内容
  4. 盛土規制法は農地には適用されない
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正解: 盛土規制法は宅地・農地・森林等を問わず盛土工事等を規制する

盛土規制法(令和4年改正):宅地・農地・森林等の土地の種類を問わず盛土等を規制対象とした。規制区域も大幅に拡大。

基本の問題(まなクエの問題集から)

宅地造成等工事規制区域内での許可が必要な宅地造成として正しいものはどれか。

  1. 切土で高さ1mを超える崖を生じるもの
  2. 切土で高さ2mを超える崖を生じるもの
  3. 切土は常に許可不要
  4. 切土で高さ0.5mを超える崖を生じるもの
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正解: 切土で高さ2mを超える崖を生じるもの

宅地造成の許可対象規模(宅地造成及び特定盛土等規制法〔盛土規制法〕施行令3条):切土で高さ2mを超える崖を生じるものは、宅地造成等工事規制区域内における許可対象となる宅地造成等工事に含まれる。

事例で判断する問題(この節のために作った問題)

宅地造成等工事規制区域内で、許可対象規模の盛土工事を新たに行う工事主が取る手続として正しいものはどれか。

  1. 周辺住民への周知は工事着手後に行えばよい
  2. 許可申請の前に周辺住民への説明会等による周知を行う
  3. 許可を受ければ工事現場への標識掲示は不要である
  4. 許可を受けた計画の変更はすべて届出だけで足りる
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正解: 許可申請の前に周辺住民への説明会等による周知を行う

許可対象工事では、周辺住民への周知を許可申請前に行います。許可後は標識掲示が必要で、計画変更も原則として変更許可が必要です。

この内容を問題で確かめる

読んだところを、問題で思い出してみましょう。

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出典: e-Gov法令検索「宅地造成及び特定盛土等規制法」。このページの法令は令和8年(2026年)4月1日現在の法令にもとづきます(e-Govで確かめた日 2026年10月11日)。このページの作り方と確かめ方