宅建士 参考書|第3章 法令上の制限
国土利用計画法
原則は権利取得者が契約後2週間以内に事後届出
国土利用計画法では、一定規模以上の土地について土地売買等の契約をしたとき、原則として権利取得者が事後届出を行います。売買なら買主です。
| 項目 | 事後届出 |
|---|---|
| 届出義務者 | 土地に関する権利の取得者 |
| 期限 | 契約を締結した日から起算して2週間以内 |
| 提出経路 | 土地所在地の市町村長を経由して都道府県知事へ |
| 主な届出事項 | 契約当事者、契約日、土地の所在・面積、権利の種類・内容、対価額、取得後の土地の利用目的など |
期限は所有権移転登記の日からではなく、契約を締結した日から数えます。3週間ではなく2週間です。
届出期間内に届出をしない場合などには罰則があります。届出制度を単なる任意の報告と考えてはいけません。
事後届出は権利取得者が、契約日から2週間以内に、市町村長経由で知事へ届け出ます。
面積基準は2,000・5,000・10,000㎡
事後届出の面積基準は土地の区域によって異なります。
| 区域 | 届出対象となる面積 |
|---|---|
| 市街化区域 | 2,000㎡以上 |
| 市街化区域を除く都市計画区域 | 5,000㎡以上 |
| 都市計画区域外 | 10,000㎡以上 |
「市街化区域外は全部5,000㎡」ではありません。都市計画区域外は10,000㎡以上です。
複数の土地を取得する場合、個々の契約面積が基準未満でも、権利取得者が一体として利用する目的で取得する一団の土地が基準以上なら届出対象となります。分割契約にすれば基準を回避できるわけではありません。
一方、同じ地域で複数の買主がそれぞれ独立して取得する土地を、単に合計して一団の土地とするものではありません。
市街化区域2,000㎡、その他の都市計画区域5,000㎡、区域外10,000㎡。一団の土地も見ます。
対価を伴う権利移転・設定が対象
事後届出の対象となる「土地売買等の契約」は、基本的に対価を得て土地に関する権利を移転・設定する契約です。
| 取引 | 原則的な扱い |
|---|---|
| 売買 | 対象 |
| 交換 | 対象 |
| 地上権・賃借権の設定や移転 | 対価を伴う契約など、法定の要件を満たせば対象 |
| 贈与 | 対価を伴わないため対象外 |
| 相続 | 契約による取得ではないため対象外 |
農地だから国土利用計画法が適用されない、宅建業者だから届出期間が変わる、という扱いにはなりません。対象となる契約と面積要件を満たすかで判断します。
売買・交換など対価を伴う権利取引が中心。贈与・相続は事後届出の対象外です。
国・地方公共団体が当事者なら事後届出は不要
面積基準を満たしていても、法律上届出を要しない取引があります。
- 契約当事者の一方または双方が国や地方公共団体等である場合は、通常の事後届出は不要です。
- 相続による取得は、土地売買等の契約による取得ではないため対象外です。
- 贈与も対価を伴わないため対象外です。
- 競売による取得など、法律で除外される取得があります。
したがって、面積だけを見て届出の要否を決めてはいけません。取引類型→当事者→面積の順に確認すると整理しやすくなります。
売却先が地方公共団体であるなど、地方公共団体が契約当事者となる場合も、通常の事後届出の対象から除かれます。
大面積でも、国・地方公共団体との取引、相続、贈与、一定の競売などは事後届出の対象外です。
知事は利用目的を審査し、勧告や助言を行う
事後届出を受けた都道府県知事は、土地の利用目的について審査します。土地利用に関する計画に適合せず、周辺地域の適正かつ合理的な土地利用を図るため著しい支障があると認めるときは、利用目的の変更などを勧告できます。
事後届出制度では、通常、売買価格そのものを変更するよう勧告する制度ではありません。中心となる審査対象は土地の利用目的です。
知事は、土地の利用目的について必要な助言をすることもできます。
勧告を受けた者が従わなかった場合、知事はその旨と勧告内容を公表できます。「必ず公表する」わけではありません。また、勧告に従わないことを理由に知事が売買契約を取り消す制度でもありません。
事後届出後は利用目的を審査し、知事は勧告・助言ができ、不服従時は公表できます。
注視区域・監視区域では契約前の届出に切り替わる
地価の急激な上昇などに対応するため、都道府県知事等は一定の区域を注視区域または監視区域として指定できます。これらでは、一定の土地取引について事後ではなく契約締結前の届出が必要になります。事前届出は、権利取得者だけでなく売主・買主など契約の当事者が行います。
| 制度 | 基本的な位置付け |
|---|---|
| 通常の事後届出 | 契約後に権利取得者が届け出る |
| 注視区域 | 一定規模以上の土地取引を契約前に届け出る |
| 監視区域 | 注視区域より小規模な取引まで届出対象とすることができる |
| 規制区域 | 土地取引等について許可制となる |
事前届出では、当事者は届出後すぐ自由に契約できるわけではありません。原則として、届出をした日から6週間を経過するまでは契約を締結できません。ただし、その前に勧告しない旨の通知を受けた場合などは待機期間が短くなります。
知事は予定対価額や土地の利用目的を審査し、必要に応じて勧告します。
注視・監視区域は当事者が契約前に届出、原則6週間待つ。規制区域はさらに強い許可制です。
本番の形で解いてみる
基本の問題(まなクエの問題集から)
国土利用計画法の事後届出制について正しいものはどれか。
- 事後届出は売主の義務
- 事後届出をしなくても罰則はない
- 一定面積以上の土地について売買等の契約をした権利取得者は、契約を締結した日から起算して2週間以内に都道府県知事へ届け出る
- すべての土地取引について事後届出が必要
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正解: 一定面積以上の土地について売買等の契約をした権利取得者は、契約を締結した日から起算して2週間以内に都道府県知事へ届け出る
事後届出(国土利用計画法23条1項):一定面積以上の土地について売買等の契約をしたときは、権利取得者(買主など)が、契約を締結した日から起算して2週間以内に、市町村長を経由して都道府県知事に届け出る。届け出るのは売主ではない。
基本の問題(まなクエの問題集から)
国土利用計画法の事後届出が必要な面積について正しいものはどれか(市街化区域の場合)。
- 100㎡以上
- 2,000㎡以上
- 3,000㎡以上
- 500㎡以上
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正解: 2,000㎡以上
事後届出の面積(国土利用計画法23条):市街化区域2,000㎡以上、市街化調整区域・非線引き都市計画区域5,000㎡以上、都市計画区域外10,000㎡以上。
事例で判断する問題(この節のために作った問題)
宅地建物取引業者Aが、市街化区域内の土地1,200㎡と隣接する土地1,100㎡を同じ利用目的で別々の所有者から売買により取得し、一体として利用する予定である。国土利用計画法の事後届出について最も適切なものはどれか。
- 各契約が2,000㎡未満なので、事後届出は不要である。
- 一団の土地として2,300㎡となるため、権利取得者Aは事後届出の対象となり得る。
- 宅地建物取引業者が取得する場合は、面積にかかわらず事後届出は不要である。
- 売主2名だけが、それぞれ契約締結後2週間以内に事後届出をする。
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正解: 一団の土地として2,300㎡となるため、権利取得者Aは事後届出の対象となり得る。
市街化区域の基準は2,000㎡以上です。個々の契約が基準未満でも、一体として利用する一団の土地が基準以上なら、権利取得者であるAが事後届出の対象となり得ます。
この内容を問題で確かめる
読んだところを、問題で思い出してみましょう。
宅建の問題を解く →出典: e-Gov法令検索「国土利用計画法」。このページの法令は令和8年(2026年)4月1日現在の法令にもとづきます(e-Govで確かめた日 2026年10月11日)。このページの作り方と確かめ方