宅建士 参考書|第3章 法令上の制限
その他の法令上の制限
横断問題は規制の種類で分ける
法令上の制限では、都市計画法や建築基準法以外の法律を組み合わせた横断問題が出ることがあります。この節では、本試験で問われた津波防護施設区域・国土利用計画法・景観計画区域・道路の供用開始前の4つを整理します。
判断するときは、「区域に入っているか」「どんな行為をするか」「許可か届出か」「いつまでにするか」の順に見ます。同じ土地利用の規制でも、事前の許可が必要なものと、契約後の届出が必要なものを混同しないことが大切です。
| 制度 | 本試験で見る点 |
|---|---|
| 津波防護施設区域 | 掘削などは原則として許可 |
| 国土利用計画法 | 対価を伴う土地取引・面積・2週間 |
| 景観計画区域 | 届出対象行為は着手前に届出 |
| 道路の区域 | 供用開始前でも一定行為に許可 |
許可・届出・時期・面積を法律ごとに分けて判断します。
津波防護施設区域の行為制限
津波防護施設区域内の土地では、津波防護施設を守るため、一定の行為が規制されます。津波防護施設以外の施設・工作物の新築や改築、土地の掘削・盛土・切土は、原則として津波防護施設管理者の許可が必要です。
ただし、施設の保全に支障を及ぼすおそれがない、政令で定める軽微な行為は許可不要です。
したがって、「津波防護施設区域内なら土地を掘削しても自由である」という判断は誤りです。まず許可が必要な行為として考え、政令上の軽微な例外に当たるかを確認します。
津波防護施設区域の掘削・盛土・切土は原則、管理者の許可です。
国土利用計画法の事後届出
国土利用計画法では、一定面積以上の土地について対価を伴う土地売買等の契約をしたとき、権利取得者が契約締結日から起算して2週間以内に、土地の所在する市町村長を経由して都道府県知事へ届け出るのが原則です。
| 土地の区域 | 届出の面積基準 |
|---|---|
| 市街化区域 | 2,000㎡以上 |
| 市街化区域を除く都市計画区域 | 5,000㎡以上 |
| 都市計画区域外 | 10,000㎡以上 |
売買、交換などは対象になりますが、対価の授受を伴わない通常の贈与は土地売買等の契約に当たらず、事後届出の対象になりません。したがって、市街化区域内の3,000㎡の土地を贈与で取得したというだけでは、面積が基準以上でも届出は不要です。
一方、個々の契約が基準未満でも、権利取得者が一体として利用する予定の土地を複数の売主から取得し、その合計が基準以上となる「買いの一団」は届出対象になります。
国土法は「面積」だけでなく「対価を伴う契約か」を先に見ます。
景観計画区域は着手前に届出
景観計画区域内では、建築物の新築・増築・改築・移転、外観を変更する修繕・模様替え・色彩変更、工作物の新設など、景観法や景観計画で届出対象とされた行為について、景観行政団体の長への届出が必要です。
届出は工事を始めた後にするものではありません。届出をした者は、原則として景観行政団体が届出を受理した日から30日を経過した後でなければ、その行為に着手できません。良好な景観の形成に支障がないと認められたときは、この期間が短縮されることがあります。
本試験で「建築後または着工後30日以内に届け出ればよい」とされたら誤りです。国土利用計画法が契約後の事後届出であるのに対し、景観法の届出対象行為は着手前という違いを押さえます。
景観法は「着工後30日以内」ではなく、原則「受理後30日間は着手不可」です。
道路は供用開始前でも規制される
道路法では、道路の区域が決定された後、実際に道路として供用が開始されるまでの間にも規制があります。供用開始前だから自由に工作物を建てられるわけではありません。
道路の区域が決定されてから供用が開始されるまでの間、その区域内で土地の形質を変更したり、工作物を新築・改築・増築・大修繕したり、物件を付加増置したりするには、道路管理者の許可が必要です。道路管理者がまだその土地についての権原を取得していない段階でも同じです。
したがって、「道路としてまだ使われていないので、区域内に工作物を設けるのに道路管理者の許可はいらない」という判断は誤りです。
道路区域は、供用開始前でも土地変更や工作物に許可が必要です。
本番の形で解いてみる
事例で判断する問題(この節のために作った問題)
津波防護施設区域内における行為について、正しいものはどれですか。
- 土地の掘削は、深さにかかわらず常に許可不要である。
- 土地の掘削、盛土または切土は、政令で定める軽微な行為を除き、原則として津波防護施設管理者の許可を受けなければならない。
- 津波防護施設以外の工作物の新築は、届出だけで行うことができる。
- 津波防護施設区域では、土地の利用に関する行為制限は設けられていない。
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正解: 土地の掘削、盛土または切土は、政令で定める軽微な行為を除き、原則として津波防護施設管理者の許可を受けなければならない。
津波防護施設区域内の掘削・盛土・切土などは原則として津波防護施設管理者の許可が必要です。ただし、政令で定める軽微な行為には例外があります。
事例で判断する問題(この節のために作った問題)
国土利用計画法の事後届出について、正しいものはどれですか。
- 市街化区域内の3,000㎡の土地を対価のない通常の贈与により取得した場合、面積基準を超えるため必ず届出が必要である。
- 市街化区域内の1,500㎡の土地を売買で取得した場合、単独の取引である限り面積だけを理由に事後届出が必要となる。
- 市街化区域内の3,000㎡の土地を売買で取得し届出対象となる場合、権利取得者は契約締結日から起算して2週間以内に届け出る。
- 都市計画区域外では、土地の面積にかかわらずすべての売買について事後届出が必要である。
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正解: 市街化区域内の3,000㎡の土地を売買で取得し届出対象となる場合、権利取得者は契約締結日から起算して2週間以内に届け出る。
市街化区域では2,000㎡以上の土地売買等の契約が原則として対象となり、権利取得者が契約締結日から起算して2週間以内に届け出ます。対価のない通常の贈与は対象外です。
事例で判断する問題(この節のために作った問題)
Aは、景観計画区域内で届出対象となる建築物を新築しようとしています。また、その土地の一部は、道路の区域が決定済みであるものの、まだ道路として供用されていません。この場合の説明として正しいものはどれですか。
- 景観法の届出は建築物の完成後30日以内にすればよく、道路も供用開始前なら工作物の新築に許可はいらない。
- 景観法上の届出対象行為は原則として届出受理後30日を経過するまで着手できず、道路区域内では供用開始前でも工作物の新築に道路管理者の許可が必要となる。
- 景観法上の届出をすれば、その届出をした日に当然に工事へ着手でき、道路管理者の許可も不要となる。
- 道路管理者が土地の所有権を取得していなければ、道路区域が決定済みでも工作物の新築を自由に行うことができる。
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正解: 景観法上の届出対象行為は原則として届出受理後30日を経過するまで着手できず、道路区域内では供用開始前でも工作物の新築に道路管理者の許可が必要となる。
景観法では、原則として届出の受理から30日を経過するまで着手できません。また、道路の区域決定後は、供用開始前かつ道路管理者が土地の権原を取得する前でも、工作物の新築などに許可が必要です。
この内容を問題で確かめる
読んだところを、問題で思い出してみましょう。
宅建の問題を解く →出典: e-Gov法令検索「津波防災地域づくりに関する法律」・e-Gov法令検索「国土利用計画法」・e-Gov法令検索「景観法」・e-Gov法令検索「道路法」。このページの法令は令和8年(2026年)4月1日現在の法令にもとづきます(e-Govで確かめた日 2026年10月11日)。このページの作り方と確かめ方