登録販売者 参考書|第2章 人体の働きと医薬品

全身的に現れる副作用

ショック(アナフィラキシー)は急速に進行する

ショック(アナフィラキシー)は、生体異物に対する即時型のアレルギー反応の一種です。医薬品が原因の場合、以前にその医薬品で蕁麻疹などのアレルギーを起こしたことがある人では、起きる可能性が高くなります。

顔や上半身の紅潮・熱感、皮膚の痒み、蕁麻疹、口唇や舌・手足のしびれ感、むくみ、吐きけ、顔面蒼白、手足の冷感、冷や汗、息苦しさ・胸苦しさなど、複数の症状が現れます。

発症後は進行が非常に速く、通常2時間以内に急変することが特徴です。病態が悪化するとチアノーゼや呼吸困難を生じ、死に至ることがあります。発症が疑われるときは、直ちに救急救命処置が可能な医療機関を受診する必要があります。

ショックは即時型アレルギーで、通常2時間以内に急変し得るため直ちに受診します。

SJSとTENは皮膚・口・眼に重い症状が現れる

皮膚粘膜眼症候群(SJS)は、38℃以上の高熱を伴い、発疹・発赤、火傷様の水疱などが比較的短時間のうちに全身の皮膚、口、眼などの粘膜に現れる病態です。発症機序の詳細は不明で、発症する可能性がある医薬品の種類も多いため、発症の予測は極めて困難です。

中毒性表皮壊死融解症(TEN)は、38℃以上の高熱を伴って広範囲の皮膚が発赤し、全身の10%以上に火傷様の水疱、皮膚の剥離、びらんなどがみられ、口唇の発赤・びらんや眼の充血なども伴う病態です。TENの症例の多くはSJSの進展型とみられています。

両者とも、発症すると多臓器障害などにより致命的な転帰をたどることがあり、皮膚症状が軽快した後も眼や呼吸器などに障害が残ることがあります。

38℃以上の高熱、目の充血・目やに・まぶたの腫れ、口唇や陰部のただれ、排尿・排便時の痛み、喉の痛み、広範囲の皮膚の発赤などが持続または急激に悪化した場合は、原因と考えられる医薬品を中止し、直ちに皮膚科の専門医を受診します。

SJS・TENは38℃以上の高熱と皮膚・口・眼の重い症状が手掛かりです。

SJS・TENは発症時期と眼症状も判断材料になる

SJSとTENでは、両眼に現れる急性結膜炎が前兆となることがあります。充血、目やに、流涙、痒み、腫れなどが、皮膚や粘膜の変化とほぼ同時期または半日~1日程度先行して生じることが知られています。

原因医薬品の使用開始後2週間以内に発症することが多い一方で、1か月以上経ってから起こることもあります。「2週間を過ぎれば起こらない」「1か月以上では発症しない」とは判断できません。

SJS・TENは2週間以内が多いが、1か月以上後もあり、結膜炎が半日~1日先行することがあります。

肝機能障害は中毒性とアレルギー性に分かれる

医薬品による肝機能障害は、成分やその代謝物の直接的な肝毒性による中毒性と、有効成分に対する抗原抗体反応によるアレルギー性に大別されます。

確認点内容
主な症状全身の倦怠感、黄疸、発熱、発疹、皮膚の掻痒感、吐きけなど
軽度の場合自覚症状がなく、血液検査で初めて分かることが多い
黄疸ビリルビンが胆汁中へ排出されず血液中に滞留し、皮膚や白眼が黄色くなる
尿血液中で過剰となったビリルビンが尿中へ排出され、尿の色が濃くなることがある

肝機能障害が疑われた時点で、原因と考えられる医薬品を中止し、医師の診療を受けることが重要です。使用を続けると、不可逆的な肝不全を生じ、死に至ることもあります。

肝機能障害は中毒性とアレルギー性があり、黄疸ではビリルビンが血液中に滞留します。

偽アルドステロン症ではナトリウムと水が貯留する

偽アルドステロン症は、体内に塩分(ナトリウム)と水が貯留し、体からカリウムが失われることで生じます。副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加していないにもかかわらず、この状態になります。

段階症状・特徴
主な症状手足の脱力、血圧上昇、筋肉痛、こむら返り、倦怠感、手足のしびれ、頭痛、むくみ、喉の渇き、吐きけ・嘔吐など
進行時筋力低下、起立不能、歩行困難、痙攣など
生じやすい人低身長・低体重など体表面積が小さい人、高齢者
発症の仕方長期服用後に初めて発症する場合があり、複数の医薬品や医薬品と食品との相互作用でも起こり得る

疑われる症状に気付いた場合は、原因と考えられる医薬品を直ちに中止し、速やかに医師の診療を受けます。

偽アルドステロン症はナトリウムと水が貯留し、カリウムが失われます。

白血球減少と血小板減少では現れる症状が異なる

医薬品の使用により白血球(好中球)が減ると、細菌やウイルスへの抵抗力が低下します。突然の高熱、悪寒、喉の痛み、口内炎、倦怠感などが現れ、進行すると重い細菌感染を繰り返して致命的となることがあります。ステロイド性抗炎症薬や抗癌薬などは、このような易感染性をもたらすことがあります。

初期にはかぜなどと見分けにくいことがあります。医薬品を一定回数または一定期間使用した後に症状が出た場合は、副作用の可能性を考え、その医薬品を中止して血液検査ができる医師の診断を受けます。

一方、血小板が減少すると、鼻血、歯ぐきからの出血、手足の青あざ(紫斑)、口腔粘膜の血腫などの内出血、経血が止まりにくい状態などが現れることがあります。脳内出血などへの進行を防ぐため、症状に気付いたときは原因と考えられる医薬品を直ちに中止し、早期に医師の診療を受けます。

白血球減少は感染症状、血小板減少は出血や紫斑が判断の手掛かりです。

本番の形で解いてみる

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

全身的に現れる副作用に関する次の記述a〜dの正誤について、正しい組合せはどれか。

  • a ショック(アナフィラキシー)は、生体異物に対する即時型アレルギー反応の一種である。
  • b SJS・TENは原因医薬品の使用開始後2週間以内に発症することが多く、1か月以上経過してから発症することはない。
  • c 医薬品による肝機能障害には、中毒性のものとアレルギー性のものがある。
  • d 偽アルドステロン症では、副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加している。
  1. a正 b正 c誤 d誤
  2. a正 b誤 c正 d誤
  3. a正 b誤 c誤 d正
  4. a誤 b正 c正 d誤
  5. a誤 b誤 c正 d正
答えと解説を見る

正解: a正 b誤 c正 d誤

aは正しい。ショックは即時型アレルギー反応です。bは誤りで、SJS・TENは2週間以内の発症が多いものの、1か月以上経ってから起こることもあります。cは正しく、肝機能障害は中毒性とアレルギー性に大別されます。dは誤りで、偽アルドステロン症ではアルドステロン分泌が増加していないにもかかわらず同様の状態になります。まちがえやすい点:SJS・TENの「2週間以内に多い」を「2週間以内に限る」としないことです。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

  • a TENでは、全身の10%以上に火傷様の水疱、皮膚の剥離、びらん等が認められる。
  • b 黄疸は、ビリルビンが血液中へ排出されず、胆汁中に滞留することにより生じる。
  • c 偽アルドステロン症では、体内に塩分(ナトリウム)と水が貯留し、体からカリウムが失われる。
  • d 白血球(好中球)が減少すると、鼻血や歯ぐきからの出血、手足の紫斑が主に現れる。
  1. aとb
  2. aとc
  3. aとd
  4. bとc
  5. cとd
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正解: aとc

正しいのはaとcです。aはTENの記述として正しい。bは逆で、黄疸はビリルビンが胆汁中へ排出されず血液中に滞留することで生じます。cは正しい。dの鼻血・歯ぐきからの出血・紫斑は血小板減少でみられる症状で、白血球減少では感染への抵抗力低下に伴う高熱、悪寒、喉の痛みなどが問題になります。まちがえやすい点:白血球減少と血小板減少の症状を入れ替えないようにします。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

医薬品を使用している購入者から相談を受けた。次の対応・判断のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 使用開始から3週間後に38℃以上の高熱と両眼の充血、口唇のただれが現れたが、SJS・TENは2週間以内に限って発症するため別の原因を考える。
  2. 全身倦怠感と黄疸があり肝機能障害が疑われるが、原因医薬品は急に中止せず継続しながら受診する。
  3. 手足の脱力、むくみ、血圧上昇があり偽アルドステロン症が疑われるため、原因と考えられる医薬品を中止し、速やかに医師の診療を受ける。
  4. 突然の高熱、悪寒、喉の痛みがあり白血球減少が疑われるが、医薬品は一定期間使用してから症状が出ることはないため副作用とは考えない。
  5. 鼻血、歯ぐきからの出血、紫斑がみられる場合は、血小板増加による症状を考えて原因医薬品を中止する。
答えと解説を見る

正解: 手足の脱力、むくみ、血圧上昇があり偽アルドステロン症が疑われるため、原因と考えられる医薬品を中止し、速やかに医師の診療を受ける。

偽アルドステロン症が疑われる症状に気付いた場合は、原因と考えられる医薬品を直ちに中止し、速やかに医師の診療を受けるため、この対応が適切です。SJS・TENは1か月以上経ってから起こることもあります。肝機能障害は疑われた時点で原因医薬品を中止します。白血球減少による症状は一定回数・一定期間使用した後に現れることがあります。鼻血、歯ぐきからの出血、紫斑は血小板の減少で現れます。まちがえやすい点:発症時期や血球の種類を一か所だけ入れ替えた記述に注意します。

出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方