登録販売者 参考書|第3章 主な医薬品とその作用

皮膚に用いる薬(みずむし・にきび・角質・毛髪など)

角質軟化と保湿の成分

成分作用
サリチル酸角質成分を溶解して角質軟化作用を示します。抗菌、抗真菌、抗炎症作用も期待され、にきび用薬などに配合されることがあります。
イオウ角質層を構成するケラチンを変質させて角質軟化作用を示します。抗菌、抗真菌作用も期待されます。
尿素角質層の水分保持量を高め、皮膚の乾燥を改善する目的で用いられます。
グリセリン、白色ワセリン、オリブ油、ヘパリン類似物質角質層の水分保持量を高め、乾燥を改善する目的で用いられます。

うおのめは角質の芯が真皮に食い込むため圧迫すると痛みを感じます。たこは角質層が単純に厚くなったもので芯がなく、通常は痛みを伴いません。

サリチル酸は角質を溶かし、イオウはケラチンを変質させ、尿素は水分保持量を高めます。

にきびと抗菌成分

にきび・吹き出物は、毛穴に皮脂や古い角質がたまり、皮膚常在菌であるにきび桿菌が繁殖し、炎症につながって生じます。基本は洗顔などで皮膚を清浄に保つことで、吹き出物を潰したり無理に膿を出したりすると炎症を悪化させることがあります。

抗菌成分作用
スルファジアジン、ホモスルファミン、スルフイソキサゾール細菌のDNA合成を阻害します。
バシトラシン細菌の細胞壁合成を阻害します。
フラジオマイシン硫酸塩、クロラムフェニコール細菌のタンパク質合成を阻害します。

化膿性皮膚疾患用薬を漫然と使用すると、連鎖球菌や黄色ブドウ球菌などの化膿菌が耐性を獲得するおそれがあります。5~6日間使っても改善しない場合は使用を中止し、医師の診療を受けます。

サルファ剤はDNA、バシトラシンは細胞壁、フラジオマイシン等はタンパク質合成を阻害します。

みずむしの見分けと剤形

みずむし・たむしは、皮膚糸状菌という真菌類の一種が皮膚に寄生して起こります。みずむしでは足、特に指の間を毎日石けんで洗うなど清潔に保ち、通気性を良くします。

剤形は患部の状態で選びます。じゅくじゅくと湿潤している患部には軟膏が適し、液剤は浸透性が高い一方で刺激が強く、皮膚が厚く角質化している部分には液剤が適しています。

湿疹とみずむしの初期症状は似ることがあります。湿疹に抗真菌成分を使うと悪化することがあるため、湿疹か皮膚糸状菌による感染かはっきりしない場合に抗真菌薬を使うことは適当ではありません。

湿潤部には軟膏、厚く角質化した部位には液剤。不明なら抗真菌薬で試さないことが原則です。

抗真菌成分の作用点

成分群・成分作用
オキシコナゾール硝酸塩、ビホナゾール、クロトリマゾール等のイミダゾール系皮膚糸状菌の細胞膜を構成する成分の産生を妨げたり、細胞膜の透過性を変化させて増殖を抑えます。
アモロルフィン塩酸塩、ブテナフィン塩酸塩、テルビナフィン塩酸塩皮膚糸状菌の細胞膜を構成する成分の産生を妨げることで増殖を抑えます。
シクロピロクスオラミン細胞膜に作用し、増殖・生存に必要な物質の輸送機能を妨げます。
ウンデシレン酸、ウンデシレン酸亜鉛患部を酸性にして皮膚糸状菌の発育を抑えます。
ピロールニトリン菌の呼吸や代謝を妨げることで増殖を抑えます。

イミダゾール系では、かぶれ、腫れ、刺激感が現れることがあります。あるイミダゾール系成分のみずむし薬でかぶれたことがある人は、他のイミダゾール系成分を含む製品も避けます。

酸性化はウンデシレン酸、呼吸・代謝阻害はピロールニトリン、輸送阻害はシクロピロクスです。

抗真菌薬を避ける患部

抗真菌薬は、強い刺激や症状悪化のおそれがあるため、膣、陰嚢、外陰部等、湿疹、湿潤、ただれ、亀裂や外傷のひどい患部、化膿している患部には使用を避けます。

患部が化膿している場合は、抗菌成分を含む外用剤を使うなどして、化膿が治まってから抗真菌薬を使用することが望ましいとされています。

みずむし・たむし用薬を2週間位使用しても改善しない場合は、別のみずむし薬へ次々に切り換えず、いったん使用を中止して皮膚科を受診します。抗真菌成分への耐性や、そもそも皮膚糸状菌による感染ではない可能性があります。

みずむし薬を約2週間使って改善しなければ、別製品へ替え続けず中止して受診します。

毛髪用薬の主要成分

毛髪用薬は、脱毛の防止、育毛、ふけや痒みの抑制などを目的として頭皮に用います。「壮年性脱毛症」「円形脱毛症」などの疾患名を掲げた効能・効果は、医薬品においてのみ認められています。

成分作用・特徴
カルプロニウム塩化物アセチルコリンに似たコリン作用で頭皮の血管を拡張し、毛根への血行を促します。コリンエステラーゼで分解されにくく、作用が持続します。
エストラジオール安息香酸エステル女性ホルモンによる脱毛抑制効果を期待して用います。妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避けます。
カシュウタデ科のツルドクダミの塊根を基原とし、頭皮の脂質代謝を高めて余分な皮脂を取り除きます。
チクセツニンジンウコギ科のトチバニンジンの根茎を基原とし、血行促進、抗炎症作用を期待して用います。
ヒノキチオールヒノキ科のタイワンヒノキ、ヒバ等から得られる精油成分で、抗菌、抗炎症作用を期待して用います。

カルプロニウム塩化物では、コリン作用による局所又は全身性の発汗、それに伴う寒気、震え、吐きけが現れることがあります。

カルプロニウムは血行促進、カシュウは皮脂、チクセツニンジンは血行・抗炎症、ヒノキチオールは抗菌・抗炎症です。

成分と作用を取り違えない

皮膚用薬では、似た成分名でも作用点が異なるため、成分と働きを一対一で判断します。

誤って入れ替えられやすい組合せ正しい対応
バシトラシンとDNA合成阻害バシトラシンは細胞壁合成阻害です。DNA合成阻害はサルファ剤です。
テルビナフィンと患部の酸性化テルビナフィン塩酸塩は細胞膜構成成分の産生を妨げます。酸性化はウンデシレン酸類です。
ピロールニトリンと細胞膜成分産生阻害ピロールニトリンは菌の呼吸や代謝を妨げます。
カルプロニウムと抗菌・抗炎症カルプロニウム塩化物は血管拡張と毛根への血行促進です。
ヒノキチオールとコリン作用ヒノキチオールは抗菌・抗炎症を期待して用います。

抗菌・抗真菌・毛髪用成分は、成分名ではなく「どこにどう作用するか」で区別します。

本番の形で解いてみる

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

皮膚に用いる抗菌成分・抗真菌成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せを選びなさい。

  • a バシトラシンは、細菌の細胞壁合成を阻害することにより抗菌作用を示す。
  • b スルファジアジンは、細菌のタンパク質合成を阻害することにより抗菌作用を示す。
  • c ウンデシレン酸は、患部を酸性にすることで皮膚糸状菌の発育を抑える。
  • d ピロールニトリンは、菌の呼吸や代謝を妨げることにより皮膚糸状菌の増殖を抑える。
  1. a正 b正 c誤 d正
  2. a正 b誤 c正 d正
  3. a正 b誤 c誤 d正
  4. a誤 b正 c正 d誤
  5. a誤 b誤 c正 d正
答えと解説を見る

正解: a正 b誤 c正 d正

a、c、dは正しい記述です。bは誤りで、スルファジアジンなどのサルファ剤は細菌のDNA合成を阻害します。細菌のタンパク質合成を阻害するのはフラジオマイシン硫酸塩やクロラムフェニコールです。まちがえやすい点:バシトラシンは細胞壁、サルファ剤はDNA、フラジオマイシン等はタンパク質合成です。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

みずむし・たむし用薬とその配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せを選びなさい。

  • a オキシコナゾール硝酸塩は、皮膚糸状菌の細胞膜を構成する成分の産生を妨げたり、細胞膜の透過性を変化させたりして増殖を抑える。
  • b テルビナフィン塩酸塩は、患部を酸性にすることで皮膚糸状菌の発育を抑える。
  • c 一般に、じゅくじゅくと湿潤している患部には軟膏が適する。
  • d 湿疹か皮膚糸状菌による皮膚感染か分からない場合は、抗真菌成分を配合した薬を試すのが適当である。
  1. aとb
  2. aとc
  3. aとd
  4. bとc
  5. cとd
答えと解説を見る

正解: aとc

正しいのはaとcです。bは誤りで、テルビナフィン塩酸塩は皮膚糸状菌の細胞膜を構成する成分の産生を妨げます。患部を酸性にするのはウンデシレン酸、ウンデシレン酸亜鉛です。dも誤りで、湿疹か真菌感染かはっきりしない場合に抗真菌薬を使用するのは適当ではありません。まちがえやすい点:湿潤部には液剤ではなく軟膏が適します。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

50歳男性が、カルプロニウム塩化物、カシュウチンキ、チクセツニンジンチンキ、ヒノキチオールを配合した一般用医薬品の毛髪用薬を購入しようとしている。成分の説明として最も適切なものはどれか。

  1. カルプロニウム塩化物は、頭皮の血管を収縮させて炎症を抑える作用を期待して用いられる。
  2. カシュウは、ウコギ科のトチバニンジンの根茎を基原とし、血行促進作用を期待して用いられる。
  3. チクセツニンジンは、タデ科のツルドクダミの塊根を基原とし、余分な皮脂を取り除く作用を期待して用いられる。
  4. ヒノキチオールは、アセチルコリンに類似した作用で頭皮の血管を拡張し、毛根への血行を促す。
  5. カルプロニウム塩化物は、アセチルコリンに類似した作用で頭皮の血管を拡張し、毛根への血行を促す作用を期待して用いられる。
答えと解説を見る

正解: カルプロニウム塩化物は、アセチルコリンに類似した作用で頭皮の血管を拡張し、毛根への血行を促す作用を期待して用いられる。

カルプロニウム塩化物は、アセチルコリンに類似したコリン作用により頭皮の血管を拡張し、毛根への血行を促します。カシュウはタデ科のツルドクダミの塊根を基原とし余分な皮脂を取り除く目的、チクセツニンジンはウコギ科のトチバニンジンの根茎を基原とし血行促進・抗炎症、ヒノキチオールは抗菌・抗炎症を期待して用います。まちがえやすい点:カルプロニウムとヒノキチオール、カシュウとチクセツニンジンの働きを入れ替えないようにします。

出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方