登録販売者 参考書|第3章 主な医薬品とその作用

滋養強壮保健薬

滋養強壮保健薬の目的と医薬部外品との違い

滋養強壮保健薬は、体調不良を生じやすい状態や体質の改善や、特定の栄養素の不足による症状の改善又は予防などを目的とする医薬品です。ビタミン成分、カルシウム、アミノ酸、生薬成分などが配合されます。

医薬部外品にもビタミンなどの補給を目的とする保健薬がありますが、効能・効果は滋養強壮、虚弱体質の改善、病中・病後の栄養補給などに限定されます。神経痛、筋肉痛、関節痛、しみ・そばかすなどの特定部位の症状に対する効能・効果は、医薬品にだけ認められています。

医薬部外品では、配合成分や分量も作用が緩和なものに限られます。カシュウ、ゴオウ、ゴミシ、ジオウ、ロクジョウなどの生薬成分は医薬品にのみ認められ、ビタミン成分も1日最大量が既定値を超えるものは医薬品としてのみ認められます。

また、適用となる症状を早く改善したいからといって、多く摂取しても改善が早まるわけではなく、滋養強壮の効果が高まるものでもありません。脂溶性ビタミンでは、過剰摂取によって過剰症を生じるおそれがあります。

医薬部外品は効能・配合範囲が限定され、特定部位の症状への効能は医薬品だけです。

ビタミンは働きと成分名を対応させる

ビタミンは種類ごとに働きが異なります。試験では、ビタミン名と働き、主薬成分、副作用の組合せが入れ替えて問われます。

成分主な働き・特徴主薬成分・注意点
ビタミンA夜間視力を維持し、皮膚や粘膜の機能を正常に保つレチノール酢酸エステル、レチノールパルミチン酸エステル、ビタミンA油、肝油など。一般用医薬品の1日分量は4000国際単位が上限
ビタミンD腸管でのカルシウム吸収と尿細管でのカルシウム再吸収を促し、骨の形成を助けるエルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール。過剰症は高カルシウム血症、異常石灰化
ビタミンE体内の脂質を酸化から守り、細胞の活動を助け、血流を改善するトコフェロール類。下垂体や副腎系に作用し、ときに生理が早く来たり経血量が多くなったりする
ビタミンB1炭水化物からのエネルギー産生に不可欠。神経の正常な働きを維持し、腸管運動を促進するチアミン塩化物塩酸塩、チアミン硝化物など
ビタミンB2脂質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の機能を正常に保つリボフラビン酪酸エステル、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、リボフラビンリン酸エステルナトリウムなど。摂取により尿が黄色くなることがある
ビタミンB6タンパク質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の健康維持、神経機能の維持に重要ピリドキシン塩酸塩、ピリドキサールリン酸エステル
ビタミンB12赤血球の形成を助け、神経機能を正常に保つシアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン塩酸塩など
ビタミンC体内の脂質を酸化から守り、皮膚や粘膜の機能を正常に保つ。メラニンの産生を抑える働きもあるアスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム

ナイアシンにはニコチン酸アミド、ニコチン酸があり、パントテン酸カルシウム、ビオチンとともに、皮膚や粘膜などの機能を維持することを助ける栄養素として配合される場合があります。

B1=炭水化物、B2=脂質、B6=タンパク質、B12=赤血球、D=カルシウム吸収です。

ビタミンA・D・Eの数値と副作用

ビタミンAでは、一般用医薬品の1日分量は4000国際単位が上限です。妊娠3ヶ月前から妊娠3ヶ月までの間に1日10000国際単位以上を摂取した妊婦から生まれた新生児で、先天異常の割合が上昇したとの報告があります。そのため、妊娠3ヶ月以内の妊婦、妊娠していると思われる女性、妊娠を希望する女性では、医薬品以外からの摂取も含めて過剰摂取に留意します。

ビタミンDの過剰症には、高カルシウム血症と異常石灰化があります。高カルシウム血症では、初期症状として便秘、吐きけ、嘔吐、腹痛、食欲減退、多尿などが現れることがあります。

ビタミンEでは、ときに生理が早く来たり、経血量が多くなったりすることがあります。内分泌のバランス調整による一時的な現象ですが、出血が長く続く場合は他の原因による不正出血も考え、医療機関を受診して専門医の診療を受けるなどの対応が必要です。

Aは4000国際単位、D過剰は高カルシウム血症、Eでは月経変化に注意します。

カルシウム・アミノ酸・その他成分の働き

滋養強壮保健薬では、成分名と働きの入れ替えが多く問われます。次の対応をそのまま区別します。

成分働き
カルシウム骨や歯の形成に必要で、筋肉の収縮、血液凝固、神経機能にも関与する
システイン髪や爪、肌などに存在するアミノ酸。メラニンの生成を抑え、皮膚の新陳代謝を活発にして排出を促す。また、肝臓でアルコールを分解する酵素の働きを助け、アセトアルデヒドの代謝を促す
アミノエチルスルホン酸(タウリン)体の各部に存在し、細胞の機能が正常に働くために重要。肝臓機能を改善する働きがあるとされる
アスパラギン酸ナトリウム生体でのエネルギー産生効率を高めるとされ、骨格筋に溜まった乳酸の分解を促す働きを期待して用いられる
ヘスペリジンビタミン様物質。ビタミンCの吸収を助けるなどの作用があるとされる
コンドロイチン硫酸軟骨組織の主成分で、軟骨成分を形成・修復する働きがあるとされる
グルクロノラクトン肝臓の働きを助け、肝血流を促進する。全身倦怠感や疲労時の栄養補給を目的として配合される場合がある
ガンマ-オリザノール米油及び米胚芽油から見出された抗酸化作用を示す成分。ビタミンE等と組み合わせて配合される場合がある

カルシウムの過剰症としては高カルシウム血症が知られています。カルシウムを含む成分は、補給目的ではない胃腸薬などにも配合されるため、併用による過剰摂取を生じないようにします。

乳酸分解はアスパラギン酸、肝機能はタウリン、肝血流はグルクロノラクトンです。

生薬成分と薬用酒を区別する

ニンジン、ジオウ、トウキ、センキュウが既定値以上配合される生薬主薬保健薬では、虚弱体質、肉体疲労、病中病後または病後の体力低下に加え、胃腸虚弱、食欲不振、血色不良、冷え症における滋養強壮の効能が認められています。

生薬基原・働き
ニンジンウコギ科のオタネニンジンの細根を除いた根又はこれを軽く湯通ししたもの。神経系の興奮や副腎皮質の機能亢進等により、外界からのストレス刺激への抵抗力や新陳代謝を高めるとされる
コウジンオタネニンジンの根を蒸したものを基原とする生薬をいうことがある
インヨウカク強壮、血行促進、強精などを期待して用いられる
ハンピニホンマムシ等の皮及び内臓を取り除いたものを基原とし、強壮、血行促進、強精などを期待して用いられる
ヨクイニンイネ科のハトムギの種皮を除いた種子を基原とし、肌荒れやいぼに用いられる

数種類の生薬をアルコールで抽出した薬用酒も滋養強壮に用いられます。ただし、血行を促進する作用があるため、手術や出産の直後など出血しやすい人では使用を避けます。また、アルコールを含むため、服用後は乗り物や機械類の運転操作などを避けます。

薬用酒は手術・出産直後には使わず、服用後の運転もしません。

長期使用と受診勧奨の判断

滋養強壮保健薬は、ある程度継続して使用することで効果が得られる性質の医薬品です。ただし、1ヶ月位服用しても症状が改善しない場合には、栄養素不足以外の要因も考えられるため、漫然と使用を続けず、症状に応じて医療機関を受診するなどの対応が必要です。

肩・首筋のこり、関節痛、筋肉痛、神経痛、手足のしびれは、ナトリウムやカリウムなどの電解質バランスの乱れでも生じます。痛む場所と問題のある場所が一致しないこともあるため、症状が慢性化している場合には医師の診療を受けます。

目の乾燥感、眼精疲労、目の充血は、涙腺の異常や涙腺に障害を及ぼす全身疾患による場合があります。口内炎、口角炎、口唇炎、舌炎では、水痘・帯状疱疹の感染が再燃と鎮静を繰り返している場合があり、重症化した場合には医師の診療が必要です。

しみ、そばかす、日焼け・かぶれによる色素沈着で、皮膚の色素の点、特に黒色や濃い色のものが次第に大きくなったり、形や色が変化した場合には、重大な病気の可能性も考え、早期に医療機関を受診して専門医の診療を受けるなどの対応が必要です。

1ヶ月位で改善しない、慢性化する、色素斑が変化する場合は受診を考えます。

本番の形で解いてみる

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

滋養強壮保健薬の配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

  • a ビタミンB1は、炭水化物からのエネルギー産生に不可欠で、神経の正常な働きを維持する作用がある。
  • b ビタミンB2は、タンパク質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の健康維持に重要な栄養素である。
  • c アスパラギン酸ナトリウムは、骨格筋に溜まった乳酸の分解を促す働きを期待して用いられる。
  • d グルクロノラクトンは、軟骨組織の主成分で、軟骨成分を形成及び修復する働きがあるとされる。
  1. a正 b正 c誤 d誤
  2. a正 b誤 c正 d誤
  3. a誤 b正 c正 d誤
  4. a正 b誤 c誤 d正
  5. a誤 b誤 c正 d正
答えと解説を見る

正解: a正 b誤 c正 d誤

aとcが正しい記述です。bの「タンパク質の代謝」はビタミンB6で、ビタミンB2は脂質の代謝に関与します。dの軟骨成分の形成・修復はコンドロイチン硫酸で、グルクロノラクトンは肝臓の働きを助け、肝血流を促進します。まちがえやすい点:B2=脂質、B6=タンパク質、乳酸分解=アスパラギン酸ナトリウムです。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

滋養強壮保健薬に関する次のa〜dの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

  • a ビタミンDは腸管でのカルシウム吸収及び尿細管でのカルシウム再吸収を促し、骨の形成を助ける。
  • b ビタミンEの過剰症として、高カルシウム血症及び異常石灰化が知られている。
  • c 医薬部外品の保健薬では、ロクジョウを配合することが認められている。
  • d システインには、皮膚におけるメラニンの生成を抑え、皮膚の新陳代謝を活発にしてメラニンの排出を促す働きがあるとされる。
  1. aとb
  2. aとc
  3. aとd
  4. bとc
  5. cとd
答えと解説を見る

正解: aとd

正しいのはaとdです。bの高カルシウム血症、異常石灰化はビタミンDの過剰症です。cのロクジョウは医薬部外品ではなく医薬品においてのみ認められています。まちがえやすい点:ビタミンDは骨形成と高カルシウム血症、システインはメラニン生成抑制・排出促進です。

本番の形の問題(五肢択一・この節のために作った問題)

滋養強壮保健薬を購入しようとしている人から相談を受けた。最も適切な説明はどれか。

  1. ビタミンB6は、炭水化物からのエネルギー産生に不可欠で、腸管運動を促進する。
  2. 手術直後で体力が低下している人には、血行を促進する薬用酒が適している。
  3. ビタミンB2を含む製剤の服用後に尿が黄色くなることがある。
  4. 滋養強壮を目的とする薬用酒はアルコール含有量が少ないため、服用後に運転してもよい。
  5. 1ヶ月位服用して改善がなくても、滋養強壮保健薬は継続使用によって効果が得られるため、そのまま使用を続ける。
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正解: ビタミンB2を含む製剤の服用後に尿が黄色くなることがある。

ビタミンB2の摂取により尿が黄色くなることがあります。炭水化物からのエネルギー産生と腸管運動の促進はビタミンB1の働きです(B6はタンパク質の代謝)。薬用酒は血行を促進するため手術や出産の直後など出血しやすい人では使用を避け、アルコールを含むため服用後の運転操作も避けます。1ヶ月位服用しても改善しない場合は、漫然と継続せず適切な対処をします。まちがえやすい点:薬用酒は「滋養強壮に使う」一方で、出血しやすい人と服用後の運転には不向きです。

出典: 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)。このページの内容は令和8年4月一部改訂の手引きにもとづきます(確かめた日 2026年10月12日)。過去の試験の出題は、東京都・関西広域連合・福岡県の令和5〜7年度の公開問題から数えました。このページの作り方と確かめ方